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 里(404m)

下山後、道道からは里山が見えた

1/25000地形図   「上芦別」

六線沢林道の途中に車を置く
作業道はオオハンゴンソウで塞がれていた

 里山とは、広辞苑によると「人里近くにあって人々の生活と結びついた山・森林」となっているが、ここ芦別の里山はその普通名詞と固有名詞との界が曖昧になった山といえる。点名の付け方が安易だといえばそうかもしれないが、山域が芦別の市街地に突き出し、以前には林道や作業道が発達していたようで、地元にとっては里山そのものだったのだろう。標高が低く山容も地味とあっては、登山の対象としては決して魅力的な山とは言えない。だが、何かの機会には一度踏んでみようと思っていた。今回は、午前中に笠森が終わってしまったこともあって、Ikkoさんが既に偵察を済ませていたこの山にも登って行こうということになった。もちろん登山道など無いので、我々としては作業道跡を利用して藪漕ぎでそのピークを狙おうという計画である。

作業道を上がって行くと、そんなには古くない感じ (Ikkoさん提供)
作業道を上がって行くが、そんなに古くはない感じ (Ikkoさん提供)

                                                                 

  入山口は六線沢林道で、ゲートからは1kmほど入った作業道跡に車を止める。この作業道、はたして使えるものなのかどうかは判らない。道路跡の路上にはこの時期特有の雑草の定番・ オオハンゴンソウ が咲き乱れ、いかにも今は全く使っていないと言わんばかりである。どこへ向かうものなのかは全く見当が付かないが、とりあえずはピークに少しでも近づくようであればラッキーと、この道路を進んでみることにした。Ikkoさんによれば、この山域の尾根上の籔はあってないようなもの。要はどこからでもピークが踏めるらしい。さすが、芦別市域の低山に精通したIkkoさんの見解と言えそうだ。であれば、ピークに少しでも近づくことができればこっちのものである。

                                                                                       

 作業道跡は入口のみを除いて、そんなに古くはなさそうだ。方向的には最初は逆方向へと進み始め、目論見は失敗したかに思えたが、その後は折り返して登り始め、248m標高点へと近づいて行った。結局、248mピークを巻く形でさらに奥へと続いていた。積雪期に付けられたと思われるピンクテープが木々の高いところに見られ、登山目的でも登られているようである。当然のこと、ひょっとしたらこのままピークまで続いているのでは… と期待を膨らませたが、コルを過ぎた地点であっけなく途切れてしまった。後で判ったが、この作業道の始点からすぐのところで古い分岐があり、夏草が密生した荒れた感じの作業道跡があり、こちらがピーク付近まで続いているのではないかと思われる。ただし、積雪期の利用ならまだしも、こんな時期であれば何とも汚そうで、とても利用しようなどという気にはなれない。

                                   

 作業道終点から尾根上に上がると、明瞭なシカ道が里山頂上方向に向かって続いている。途中、前述の古い作業道跡と並行するが、こちらは夏草が生い茂っている。今現在も現役として活躍しているシカ道の方が遥かに歩きやすい。里山にはピークが二つあって、本来であれば404mの標高点が頂上である。もう一方は三等三角点「里山」が埋まるピークで、とりあえずはシカ道をできるだけ利用して、そのまま404m標高点を目指す。鬱蒼とした樹林帯を登り詰めて行くうちに404m標高点がぐんと近づく。単なる樹林帯の中の標高点であり、GPSを取り出してピンポイントの地点捜索にかかる。大木を過ぎた特徴に乏しい笹薮の中で目的地到着。とりあえずは里山をゲットしたようだ。次は150mほど離れた三角点である。

里山頂上はこんなところ 三等三角点「里山」 こちらの方が頂上らしい

                                                                                                                           

 ko玉氏からの情報によれば里山は“展望の山”だったはず。少なくとも最高標高地点には展望など何も無く、見えるのは樹林と雑草のみであった。となると、三角点ピークに期待がかかる。Ikkoさんによれば、Ko玉氏が持っているGPSの機種はIkkoさんの使っているものと全く同じ、IkkoさんのGPSでは里山頂上は三角点ピークとなっているようだ。比較的薄い藪を漕いで三角点ピークへと向かう。ピーク間際で先ほどの荒れた作業道跡に飛び出す。これは下山時に利用させてもらうこととして、まずは三角点ある。そこから間もない地点でGPS上では三角点到着となる。この場合、私の自慢のGPSでは2m以内に必ず三角点が埋まっている。だが、今回の第一発見者はIkkoさんだった。ここのところの好調さから、つい策に溺れてしまった感がある。やはり人間の感覚というのも疎かにはできないようだ。

                                                                                                                                              

 三角点から少し進んだ地点からは星の降る里大橋、旧芦別レジャーランドの五重塔や観音像が見える。奈良時代や平安時代の旅人であれば、都が見えたと大はしゃぎする場面である。もちろん、私としても深い籔の中の頂上到着というのが多く、この意外性は感動ものだった。展望の山、これは少々おおげさかもしれないが、私と同様に数多くのマイナーピークを狙い続ているKo玉氏であれば、確かに一角とはいえ多少なりとも展望があれば、展望の山である。里山の歴史を私は知らないが、芦別市の最盛期には山菜採りやキノコ狩り等で、きっと貴重な山となっていたに違いない。里山という極身近な山名からもそう感じられた。(2014.8.17)

 

三角点ピークから見る芦別市街

【参考コースタイム】 六線沢林道 1405 里山頂上 1440 三等三角点「里山」14:50、〃発 15:10 六線沢林道 1545 (登り 45分、下り 35分)

メンバー】Ikkoさん、saijyo

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