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  札幌50峰、残りの5

 札幌文庫48「札幌の山々」(札幌市教育委員会編)には札幌市内の50の山が紹介されていて、最近ではこの「札幌50峰」完登を目指す登山者が増えいるようだ。Facebookの投稿で、札幌50山完登の話題が載っていたので、自分はどのくらい登ったのだろうと、札幌文庫を見ながら数えてみた。さすがに山暦40年ともなれば意識せずともそれなりには登っていて、残りは5山で、どれもが簡単に登れそうなものばかりだった。平日の天気の良い日にでも、残りを一気に登ってみようと考えていた。そもそも、私はこんなスタンプラリーみたいなことはしたくはなかったが、わずか1日で片付くならそれもありだろうと思えた。(2019.4.9)

 

 西岡・焼山(231.7m)

 西岡公園内の焼山というイメージであるが、札幌文庫によれば西岡地区全体が焼山と呼ばれていたらしく、明治期には山火事が頻繁にあったのでこんな名前になったらしい。その後、西山と呼ばれるようになり、山だけに焼山の名が残ったとのこと。現在は樹林の自然復元で豊かな森林になったと載っていた。

 相棒のサブローを連れて、朝の散歩で西岡公園へ出かけた。サブローも今年で10歳となり、往年の元気はとうになくなったようで、うんちを済ませた段階で遠くには行きたくない様子。引っ張ったがテコでも動かなかった。結局、サブローを家に送り届けてからのリベンジとした。昼食後、焼山頂上に一番近いところから行こうと地形図を探してみると、羊ケ丘カントリークラブの手前からであれば頂上まではわずか1kmであった。

 遊歩道入口が小さな広場となっていて、簡単に車を止めることができた。歩道上はまだ雪に覆われているが長靴で十分。歩き始めて15分ほどで遊歩道脇の焼山頂上に到着。よく分からないが測定器みたいなものが取り付けられていて、小さなドラム缶が3つ置かれているだけの頂上風景であった。山登りと言うには程遠いが、何はともあれ一山ゲットとした。登頂を証明するスタンプはないので、頂上風景と三角点をスマホに納めて往路を戻った。

焼山頂上にあったよく分からない測定器

頂上までは約15分だった

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 天神山(89m)

 こうなるともう山ではなかった。昔のりんご畑や水田に囲まれていた時代であれば山だったかもしれないが、今や高僧マンションや住宅地に囲まれた単なる丘である。そんな中、一番の難関は車を止めておく場所を探し出すことで、この山の回りを2周したが見つからず、ファミリーマートの駐車場に車を停めてスマホで情報を集めた。時期が早いのか公営駐車場が閉じられていたのが想定外だった。よーく見たところ、相馬神社の参拝用の駐車スペースが1台分開いていたのでそこに止めさせてもらった。長い坂を上がって神社の境内。さて、どこが天神山の頂上だろうか? いや、その前に参拝を済ませなければ単なる迷惑駐車である。参拝後、境内で一番高いところを探し回ってうろうろした。結論的には、地面の高さから言えば「平岸開村五拾年記念碑」の前が一番高かったので、そこを頂上とした。もちろん目測ではある。この山の山名は麓の天満宮に由来しているとのこと。

頂上に建つ相馬神社

平岸開村五拾年記念碑

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 荒井山(185m) 

 昔から小中学生用のジャンプ台がある山なので、どこかに駐車スペースがあると思っていたが、結局見当たらなかった。山が小さいので、カーナビでピークに一番近い地点まで行き、そこに路駐して神速で登頂しようと考えた。カーナビが示す最短地点に到着してみると、何とそこには小さいが格好の駐車スペースがあった。大倉山ジャンプ競技場ゲートのすぐ手前だが、ゲートに立っているガードマンにいちいち説明する必要はないので有難い。荒井山頂上は駐車地点からわずか80m先で、道がないので少しの藪漕ぎとなる。途中、怪しげな人工物があったが、使用されずに朽ちたままで放置されているから問題なし。荒井山の私設の頂上標識だけをデジカメに収め、すぐに下山した。

私設の頂上標識

車を止めた大倉山ジャンプ競技場への道路まで80m

 

 手稲富丘・丸山(141m)

 札幌文庫48をチェックしていて気づいたが、こんなところに山があったとは、仕上げのこの段階まで知らなかった。地形図にも山名が載っており、ずっと以前から地元では丸山として認知されているので、これは立派に一山である。

 適当な駐車場所はないものかと、車でこの山の南側の住宅地をうろうろしたが結局見つからなかった。北側の住宅地も探し回ったがやはり見つからず、テイネハイランドスキー場へと続く道路を進んで行ったところ、道幅が意外に広いことに気がついた。通行量もかなり少なかったので、そこの端に車を置くことにした。

 駐車地点から薮に入るとすぐに広い雪面となった。以前は何かの工場か何かがあった跡のような感じである。そこを突っ切ると丸山へと続く尾根が現れ、そのまま進んで行くと尾根が細くなって踏み跡が明瞭になってきた。こんな分かりづらい山だが、けっこう多くの人に登られているのだろう。登り詰めたところで何かの標石と私設の「丸山」標識が出てきて頂上到着となった。頂上からは木々の間から市街地が広がっている様子が見えた。私が知らなかった山である分、ちょっとだけ儲かった気分だった。

頂上に近づくと山らしくなる

何の標石か分からないが、金麦を乗せて1枚

 

  神社山(237m)

 この山の駐車問題はもっとも深刻だった。山の周りを2周したが、住宅が密集していて止めようにも止めようがない。ゴミステーションがあったのでその手前あたりはどうかと探ったが、道路が狭くて明らかに迷惑駐車となる。神社山からほど近いところにある動物園の駐車場は1700円の定額料金で、1時間300円の小刻み料金なら利用したかもしれないが、小1時間で700円では高過ぎる。結局、この日の神社山は諦めることにした。この日はリーチで良しとした。

 それから9日後の4月18日、藻岩山・旭山記念公園コースを登る前に、公園駐車場に車を置いてサクッと神社山に登ることにした。よくよく考えてみれば、旭山記念公園から歩いてもたいしたことではなかった。この神社山は小さな頃からよく知っていた。親父が日本画家だったこともあり、当時の札幌神社の依頼で絵を描くために親父がスケッチに行くとのことで、私もそれについて行った。神社真正面の社殿の上に聳える山が気になり、親父に聞いてみたが、それが神社山だった。子供心に登ることなどとてもできない凄い山だと思っていたのは半世紀以上も昔の話である。

 神社山の目星を付けていた取付き地点には、「無断立入禁止〜北海道神宮」とあり、連絡先まで書いてあったが、立入る目的が登山じゃ聞いてみるだけ無駄というもの。申し訳ないとは思ったが、不法侵入させてもらった。近所の人が花を植えているようで、踏み跡が敷地内にちょっとだけあった。不法侵入は私だけじゃない…… 後は藪漕ぎ10分ほどで神社山の頂上に立ち、札幌50峰の完登を果たした。各ピークにスタンプでも設置されていればスタンプ帳に記録し、未だ完登していない人間に自慢したくなるところだが、残念ながらこれは100パーセント自己満足の世界。50峰完登に満足感を感じないといえば嘘になるが、ミイラ取りがミイラとなっては本末転倒である。

 下山はスタート地点で近所の人に「ほら、下りてきた」と白い目で見られるのは嫌だから、そのまま頂上の尾根筋を逆方向に下った。踏み跡が続いていたので、ちゃんとしたところに下りるのだろうと思いきや、徐々に怪しくなり、最後は全くの薮となって民家の裏庭に飛び出した。はっきり言って傍目からはかなり怪しく、この民家の住人が見ていたなら、不法侵入で通報されるだろう。下山途中、クマゲラを2羽ほど見た。昔からの緑が残る自然そのままの森なので、ここで営巣しているのかもしれない。

神社山を望む

神社山で見たクマゲラ

神社山頂上

【コースタイム】 省略

メンバーsaijyo

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