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      三頭山(1041m)

 
せいわ温泉・ルオントから望む三頭山

/25000地形図三頭

途中、水墨画的な光景も
道の駅に車を停める
息子が入山者名簿に記帳
二頭目を登って、やっと本峰が現れる

 天塩山地には1000mを越える山が三つあり、一つは最高峰のピッシリ山(1032m)、あと一つがこの三頭山で、三つ目は山名こそ無いが小平蘂岳の南側の1000mを少し超えるピークである。概ね低いこの山域にあって、三頭山の1009mは高峰である。ただし、この天塩山地は高さではなく奥深さがその最大の魅力であり、そう考えれば登山道があるこの山は、山域には珍しく手頃な山で、未知という面からの魅力の乏しさは否めない。過去に幾つか登っているこの山域の山は、いずれも積雪期か藪漕ぎである。三頭とは三つの峰のことで、ヒグマが三頭という意味ではない。山域のイメージで言えば後者に分がありそうではあるが…

以前にこの山を訪れたのは15年ほど前で、せいわ温泉ルオント開業の年だった。国道275号は未舗装であったが、そんな景観の中で西欧風の洒落た建物が現れたのにはびっくりした。三頭山への登山口は国道の脇にあり、当時としてはマニアックな山の登山口に綺麗な温泉施設が隣接しているというだけで、妙に新鮮さを感じた記憶がある。現在の登山口は以前の登山口からひと登りして下った鞍部にあり、一線川林道から車で行くこともできる。途中にはトーテンポールのような案内標識が建てられているので判りやすい。標識の“三頭”の文字のすぐ上に彫られた熊の顔は、暗にヒグマヘの注意を喚起しているのだろうか。

最後のひと登りで頂上着
最後のひと登りで頂上着 長留内岳をズーム
立派な岩壁の大天狗岳も小さく見える 鷹泊・坊主山の山容は美しい

登山口からはいきなりの急登となるが、登りきるとすぐに落ち着く。以前にはわりと新しく感じられた登山道も、その後、多くの登山者に踏み込まれたのか、かなり風格が出てきたようにも感じられる。今や、この三頭山もメジャーな山の仲間入りをしたということだろう。もっとも、北海道100名山(北海道新聞社、山と渓谷社)にも登場するのだから、当然といえば当然である。登山口の入山者名簿を見てみると、我々の前に入った登山者は10日前。やはり登山者が少ないのかと思ったが、580mの雨煙別コースとの分岐にはしっかりとキャブオーバー型の車が停まっていた。ウィークディにも関わらず登山パーティが入っているようだ。おそらくはガイド登山のパーティであろう。政和コースと比べ、約4kmほど車を乗り入れることができるこちらのコースが主流となっているようだ。おかげで、分岐手前付近には登山等の脇に立派なタケ○○が頭を出しており、これから登るというのに、登る前からザック一杯の収穫である。

 分岐からの登山道はしっかりとしており、尾根上へ忠実に続いている。7合目の「深山オンコ」付近からはカタクリやエゾエンゴサクなども現れ、標高と共に季節が少し逆戻りしたような感じである。雪渓が随所に残っており、滑らぬよう注意が必要だ。850m付近は斜面の中に登山道が付けられていて、少々不安定である。ここを過ぎると「胸突き八丁」と呼ばれる急登となって9合目へと抜ける。辺りはフウロソウ(またはチシマフウロ)やヨツバシオガマ、シラネアオイ等が咲き乱れ、青色の花々が独占している感じである。頂上までは数百m、心配していた天候も回復傾向にあり、日も差し始める。一頭目を過ぎると主稜線上となり、小平蘂岳や釜尻山方面の稜線が雲間に姿を現す。二頭目を過ぎれば頂上は目と鼻の先だ。最後は雪渓を登り詰め、広い三頭山の頂上に到着する。

 以前に登った小平町の大天狗岳が遠くに見えるが、なかなか手強い山であったにも関わらず、標高が低いこともあって、鳥瞰図を見ている程度である。南側には美しい山容の鷹泊・坊主山、その手前には隣の長留内岳が見えるが、こちらは見ようによってはお猿の頭のようにも見える。Web上では利尻山や大雪山、増毛の山々も見えたとあったが、この日のこの天候ではここまでで精一杯といったところだ。平日利用の登山であったが、札幌からの日帰り往復となれば、せいぜい夏道を使っての登山しか考えられない。それ以上を望めば、私の年齢では確実に翌日の仕事にひびいてくる。ともあれ、仕事をしているはずの時間帯に登る山は、どんな山であれ素晴らしさが倍増する思いであった。(2009.6.16)

【参考コースタイム】政和コース登山口 8:40 雨煙別コース分岐 10:15 → 三頭頂上 12:05、〃発 12:30 → 雨煙別コース分岐 13:45 政和コース登山口P15:05 (登り3時間25分、下り2時間35分*登りも下りもタケノコ採りの時間を含む)

メンバー】チロロ2、saijyo、m.saijyo

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