<戻る

      珊内岳(1091.1m)

尾根上から望む珊内岳

/25000地形図 「ポンネアンチシ山」

滝ノ沢川出合の橋の上に車を止める
.940への途中から余別岳、ポンネアンチシ山を望む
頂上手前の小ピークを下降する
珊内岳の南にある1000m峰「赤石山」から珊内岳を望む
林道から、登って行く尾根筋を望む

珊内岳は積丹半島の中で余別岳、積丹岳、ポンネアンチシ山に次ぐ、第4番目の1000m峰で、バリエーションルート志向の登山者にとって、必ず登りたい山の一つである。「北海道の山と谷」上巻(北海道撮影社刊)に記載されているルートは沢からだけであり、そのどのルートをとっても中級以上の難しい沢であり、簡単には頂上を踏ませてもらえない。一方、冬期のアプローチとして考えたのが古宇川沿いの大川林道である。この林道から辿るのがピークへの最短ルートであるが、稜線までの尾根筋は何れも急峻であり、ルート取りが難しい。道道998号から分かれる林道の除雪は期待出来ないため、以前に入った時には5〜6kmの道程をラッセルして、林道終点に1泊し珊内岳へ登った。この時に使った尾根筋を今回もトレースすることにする。今回は幸運なことに「ガイドブックにない北海道の山50」の著者である、八谷和彦さんから滝ノ沢川出合いの林道分岐まで除雪が入っているとの情報をもらい、日帰りが可能と考え予定を変更する。  

神恵内温泉998駐車場で、はまなす山岳会のメンバー3名、札幌山岳倶楽部のメンバー1名、人気サイト「一人歩きの北海道100名山sakag氏・函館と合流する。山行当日、大川林道の途中に小さな崖崩れによって出来た雪の山が林道を塞いでいたが、各自が持参していたスコップで除雪し、無事に滝ノ沢の分岐まで車を入れることが出来た。ここから林道終点までは23km・約1時間である。

林道終点からの取りつきはいきなり急登である。ポンネアンチシ山へ向かっていると思われたスノーシューの踏跡も尾根上で合流し、今ではこのルートが珊内岳への手軽なルートとなっていることを窺わせる。コンタ550から650までの標高差約100mはルート中一番の難所である。雪崩のデブリ?と思われる、恐ろしい雪溜の周りには楽しそうなスノーシューの足跡も点々と続いており、急斜面にはシリ滑りの跡まで登場し、とても理解し難い光景である。この光景については下りの時に状況を理解する。午後からの気温上昇のため、腐ってしまった斜面で私もシリ滑りをしたが、私の周りの雪が表層雪崩を起こし何処までも低速で流れ下って行った。つまりここ数日間の陽気は表層雪崩をも腐らせていたのである。積雪量も南東面のために比較的多く、厳冬期の気温が低く新雪が積もった状態では、地形的には本格的な表層雪崩がいつ起こってもおかしくないということである。このルートは春山のみの限定ルートと考えた方が無難かもしれない。

この斜面を登り終えると岩と雪の立体感のある光景が広がる。再び、雪崩そうな広い急斜面が現れトラバース気味に慎重に登る。ここを通過すると傾斜も弱まり、あとは歩くスキーのような世界となる。コンタ770mピークは北東側を巻く。右側の遠くには半島の主峰である余別岳周辺の山々が圧倒的なスケールと美しさで姿を見せてくれる。.940までは多少傾斜のある登りだが、一息である。

珊内岳頂上にて “弘法筆を選ばず”sakagu氏はどんな雪質もOK

珊内岳は.940ピークに登りきって初めて姿を現す。ここからは遠く感じるが、見た目程遠くはない。屏風山分岐と.1031は右側を巻き気味に進むと効率は良いが、あまり低く巻くと細かい沢形が現れ、苦労することになる。また、前回登った時には視界不良で苦労したが、視界が利かない時にはここの平坦地形は迷いやすいので、忠実に稜線を辿る方が無難である。.1031の次に現れる小ピークは巻きづらく、稜線上を歩いた方が無難である。下り気味の少し細い急斜面は横滑りで通過する。最後の登りは広い緩斜面となり、ここを登り詰めると少し小高い珊内岳頂上である。頂上からは360°の展望が開け、鉞岳や大天狗の特徴的な姿も望むことが出来る。

下降のスキー滑降は、この時期、標高を落とすと雪も腐って重くなり、苦労させられる。しかし、しっかりとしたスキーの基本技術を持っているsakag氏や明田氏にとっては正に“弘法筆を選ばず”で、雪質には全く関係なしに美しく楽しそうに滑っていた姿が印象的である。

後日分かったが、丁度同じ日に西側の海岸側から、八谷さんも同じ珊内岳を目指していたそうだ。アイゼン・ピッケルを使っての山行とのこと。北西風による積雪量の微妙な違いが影響しているのかもしれない。 (2003.04.05)

「一人歩きの北海道100名山」珊内岳のページはここから

    川林道滝ノ沢川出合P 7:32 → 林道終点 8:38 → .940 11:03 → 珊内岳頂上 12:15〃発 12:50川林道滝ノ沢川出合P 15:23

メンバーaketaさんitakuさんsakai(以上「hamana山岳会」)hayasiさん(sapporo山岳倶楽部)「一人歩きの北海道100名山」sakag氏、saijyoチロロ2

<最初へ戻る