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   三毛別(296.7m)

1/25000地形図「三 渓」

Ikkoさんが突入した沢から見上げる三毛別 (Ikkoさん提供)
豊水橋の袂に車を置く

「熊嵐」(吉村昭著)といえば三毛別だが、今回登った山は三つの三毛別山のうち「奥」も「山」も付かないそのものずばりの「三毛別」である。「三毛別山」という点名は別にあり、そこと区別するためにこちらは点名がそのまま三毛別となったのだろう。三毛別羆事件山本兵吉が巨大羆を射止めた「射止橋」手前から苫前ダムへと向かう途中にある低山で、名前が名前だけに里山の割には気持的にはつい萎縮してしまう。だが、この日は春近い晴天模様とあって、開放感たっぷりの陽気の中、この山へと向かうことができた。前日、一足先に偵察に入ったIkkoさんによれば、苫前ダムの関係上、道道1049号線から先も除雪されており、豊水橋の袂に除雪スペースもあるとのこと。この時期の山計画は駐車できるかどうかで成否が大きく左右されることが多く、そんな意味では成功したも同然と思えた。

 当初の予定では、Google Earth情報からは南西側の沢筋には林道があり、それを使えば難なく三毛別の一番緩いと思われる南西面に取付けると見ていた。ところが豊水橋からは道路を1.3kmほど歩いて戻らなければならず、結局目の前の尾根に取付くことにした。取付きからは順調に尾根へと標高を上げる。だが、狭い尾根の硬い雪面とあっては、スキーの私としてはこのルートの下降は遠慮したい。さらに尾根上へと上がると、狭い上にアップダウンの連続となる。小さな山と、気持の中では半分馬鹿にしていたが、地形が意外と複雑で、実際の距離の割には遠く感じられる。小さなコブを巻いて行こうと思っていても、地形の関係でそう容易くはない。細い尾根筋には潅木が密生しており、密度の薄そうな左側の斜面をトラバースしつつ進んで行く。

駐車地点から取付くことにした

  そうこうしているうちにIkkoさんが三毛別が横に見えていると声を掛けたようだが、猪突猛進と評されている私にはその声は届かなかった。再び促されてふと見ると、深い沢を挟んだ向こう側に見えるのが三毛別とのこと。私が考えていた方角とは少し違うように感じたが、GPSを見れば確かに方向的には間違っていない。進む尾根はさらに続いているようで、回り込むあたりの稜線は意外に遠い。正攻法は尾根伝いだが、このまま進んで行くのは正直言って億劫だった。谷底まで下って、そこから取付いた方が速いのではないだろうか?と、つい思った。そのままトラバース気味に進んで行くうちに、谷底もかなり近くなる。そうなれば、実際のところは判らないが、直接取付くのがベストな選択と感じるのが人情というもの。私の上部をトラバースしているIkkoさんはそのまま進んで行くとのこと。

三山シリーズ完登の「金麦」  奥三毛別山を遠く望む 三毛別頂上は意外に開けている
頂上から望む札足辺山 下りの斜面から「温根山」左 と「仙松山」右  (Ikkoさん提供)

 Ikkoさんと別れ、私とチロロ2さんは谷底へと下る。山行中にパーティが分かれることについては良いはずはない。だが、そもそもが単独行のIkkoさん、この日の晴天では危険度も低く、その方がお互い納得できそうだった。谷底はV字地形で、三毛別への登り返しも容易ではなさそうだ。そうこうしているうちに、三毛別へと入って行くデブリに埋まった小沢に到達する。雪面の安定状態や気温から考えて雪崩の危険性はかなり少ない。V字状の雪面を左右からの落雪に気を配りながら進んで行く。目指す三毛別はやはりたかだか200m台の低山で、すぐに擂鉢の底のような源頭となる。頂上は正面だが、一番緩そうな左端から稜線上へと上がる。見えていたのはコンタ260mのポコで、この手前から擂鉢状の淵を大きく回り込み、ひと頑張りで待望の頂上到着となる。  

 

谷底から三毛別へ向けて小沢にルートに取る

 ふと見ればIkkoさん。一足先に頂上に到着している。尾根上をそのまま進んだとばかり思っていたため、悪いがこの勝負はもらったと思っていた。聞くところによれば、我々の入った小沢の1つ上部の小沢から入ったらしい。我々の辿った小沢よりは狭く、稜線間際ではかなり斜面が立っていてヤバかったとのこと。体力のある彼のことだから、休まず一気に勝負に出たのだろう。負惜しみではないが、ルート的には私の選んだ方が正解だと思っている。だが、何時の時も油断は大敵だった。頂上からは苫前ダムの向こう側に奥三毛別山や小天狗山が望まれる。低山のわりには頂上らしく、十分に満足感を得ることができた。綺麗な雪面を探して金麦を置き、奥三毛別山をバックに記念の一枚。三毛別三山、記念別三山、古丹別三山、総仕上げの一枚である。  

 下りは広い南西面斜面を下ってGoogle Earthで見た林道から道路へ向かうことにする。明瞭な林道がこの斜面に写っていたことが決めてで、沢に沿った林道の存在は100%確実である。作業道跡と思われる雪面をひと滑り、直下の沢へはかなり急な作業道跡となるが、沢沿いにも細々とそれは続いていた。二股からはgoogle Earthで見た林道が現れる。なぜかIkkoさんはこちらが最短距離と、尾根越えで車の駐車地点へ向かうとのこと。彼はまだまだ余裕ということだろうか。二回戦は最初から負けと諦めていたが、車から500mほど手前の路上に突然Ikkoさんが現れた。こうなればスキーVSつぼ足、遅れ気味だった私だが、最後は妙に速いIkkoさんを半馬身差で征してゴールとなる。(2015.2.22)

参考コースタイム】  豊水橋 P 7:50 → 三毛別頂上 9:40、〃 発 10:00 → 豊水橋 P 11:00  (登山時間 登り1時間50分、下り1時間)

メンバーIkkoさん、saijyo、チロロ2

三毛別_直登沢からパノラマ

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