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     サマッケヌプリ山(1062.5m)

 

  

股落山からサマッケヌプリ山を望む

/25000地形図 「 サマッケヌプリ山・緑 」

日の短いこの時期は暗いうちから行動しなければならない
陽に輝く樹氷の枝々は幻想的だった
944m標高点付近から標津岳を望む

サマッケヌプリ山は斜里岳南側の1000mを超える4山(武佐岳・俣落岳・サマッケヌプリ山・標津岳)の中では一番奥深く夏道もないため、あまり登山の対象とはされていない。この4山は何れも標高1000mそこそこの山であるが、どの山も頂上からの眺望は実に雄大である。また名峰・斜里岳はじめ知床連山、さらに武佐岳や標津岳はどれも山容が特徴的であり登高欲をそそられるが、俣落岳とこのサマッケヌプリ山は山容もおとなしく、あまり目立たない存在である。

サマッケヌプリ山へもう少し

当初の予定では養老牛温泉からのアプローチを考えていたが、数日前に同温泉へ問い合わせたところ、養老牛温泉から先は全く除雪されていないとのことで、約7kmの林道を歩くだけでなく、標津岳も越えなければならないことになる。手元にある地形図には標津岳の西側にダム(工事中)が載っていて、アプローチとしてはこちらが短く、ネット上で情報を探してみることにする。このダムは緑ダムといい、一昨年(2002)竣工とある。灌漑を目的とし、開発局が設計・発注とのことであった。直ぐに開発局・網走開発建設部と清里町役場へ電話を入れるが、正月休みに入っていて詳しいことはよく判らなかった。大きなダムは維持・管理のために冬期間でも除雪されている可能性が高く、とりあえず現地へ向うことにする。

緑ダムへ向う斜里川沿いの道は予想通りきれいに除雪されていている。林道との分岐に着いて驚いたが、斜里川沿いの林道も先まで除雪されているようである。この除雪がさらに奥まで続いているようであれば、アプローチとしては緑ダムよりもはるかに有利であり、予定を変更してこちらからのアプローチを考えることにする。

林道の除雪は分岐から約7.5km続いていて、予定のサマッケヌプリ山への尾根取付き地点の約3km手前まで車を乗り入れることが出来た。ここでは森林管理所が魚道確保のためのダムの改修工事を行っており、重機が何台も置かれている。地形図だけでは絶対に読み取れない部分である。林道には何ケ所か“作業中につき発砲禁止”の立看板があるが、狩猟グループは平気で入っており、あちこちにシカを解体した残骸が放置されている。禁止されている鉛の散弾も使われているとのことで、狩猟者のモラルの低さには怒りを感じるが、有害鳥獣駆除制度が存在するのも現実である。

サマッケヌプリ山(左)と武佐岳(右) 三角点の棒杭が頭を出していた
サマッケヌプリ山頂上にて 斜里岳は雲に覆われ、見ることが出来ない

工事現場からは除雪されていない林道を進むが、途中には新規に魚道を確保した砂防ダムがある。斜里川は以前から魚が豊富な河川として知られていたが、砂防ダムの設置などにより個体数かなり減少しているようである。各所で同様の工事が進められているが、今のところあまり機能していないとの情報もある。約1km進むと、二ノ沢沿いにアタクチャ林道へ通じる「望岳林道」分岐となる。この林道へ入ると低い稜線の向こうに真っ白な斜里岳の姿が望まれ、この林道名の由来に頷くことが出来る。林道は約1kmの登りが続くが、朝の陽に照らされた枝々の樹氷がキラキラ輝き実に幻想的で、登りの疲れを忘れさせてくれる。

 登り詰めるとアタクチャ林道に合流する。ここから1033m標高点に向う緩やかな尾根に取付く。尾根上には集材路があちこちに通っていて、藪が雪に埋りきらないこの時期には重宝する。標高800m付近までは集材路を利用しながら登って行く。944m標高点付近からは標高を一定に保つことを意識してのトラバースに入るが、場所によっては潅木の密度もけっこう濃く、思ったようには進めない。見上げると尾根上にはほとんど潅木が見えないため、多少のアップダウンはあっても、尾根筋を辿った方が速そうである。時期的な行動時間の短さを考え、1033m標高点からは尾根上へルートを変更する。

 進行方向には1019mの小ピークがあり、その奥にサマッケヌプリ山が見え、距離的にはかなり遠く感じる。小ピークは地形図で見たところ、わずか50mほどの登りである。見た目は急峻であり高く感じる斜面も、入ってみると意外に容易であることが多い。ここは我慢のしどころで、忠実に斜面を登り、クラスト気味の斜面を忠実に下ると、いよいよ最後100mの登りである。傾斜は思ったほどでもなく、昨年の正月に登り残したピークが目前にある表現のしようのない嬉しさを感じる。時折頂上を覆っていたガスも晴れ間に変わり、約30分で一等三角点があるサマッケヌプリ山頂上に到着する。頂上からの展望は斜里岳はじめ知床の山々はオホーツク海からの厚い雲に隠れて見えないが、昨年登った俣落岳や武佐岳の美しい姿が俣落川上流部の広い樹海を挟んで望むことが出来る。「大切にしよう一等三角点」と書かれた棒杭には「国土交通省」と書かれており、それほど遠くない過去に再測量が行われていたことになる。であれば刈り分け道が何処かに残っていて、頂上まで続いているはずであるが、雪に覆われた状態ではそれを確認することは出来なかった。(2004.1.2)  

【参考コースタイム】 林道(除雪終了地点) 6:50 → 望岳林道分岐 7:25 → アタクチャ林道合流点 8:20 → 944m標高点 10:25 → 1033m標高点 10:50 → サマッケヌプリ山頂上 11:55  、〃発 12:15 →  アタクチャ林道合流点 14:15 → 林道(除雪終了地点) 15:15 

メンバーsaijyoチロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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