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      柵瑠山(852.3m)

1/25000地形図 「藻瀬狩山」「名寄川上流」

由紀の沢出合いまで車が入る
510m二股からは鬱蒼としている

道北の山は標高こそ低いが、奥深い山が多い。とりわけこの柵留山も奥深い一山と言える。積雪期であれば十数キロメートルもの林道をラッセルしなければならないし、無雪期であれば根曲がりの強烈な藪に行く手を阻まれる。EIZI@名寄さんは持ち前の体力を生かし、上紋峠からの長い道程をスキーで日帰りしている。普通であれば山中泊は強いられる行程である。我々にはそんな体力も日程的余裕もなく、無雪期の林道を生かしての名寄川源流域からのチャレンジである。 今回の山行メンバーである地元名寄のKo玉氏が林道状況を徹底的に調べ上げる。ポンポロカナヨロ川、由紀の沢、エクヤシン沢川上流無名沢の3つのルートに的を絞るが、由紀の沢のものが地形的にも一番緩やかな感じであり、登頂を最優先としている今回の山行では、このルートからのアプローチが最も成功率が高そうである。

柵瑠岳頂上から見るポロナイポ岳(1093m)

沢は思っていたよりも水流がなく、両岸の背丈を越すイタドリや蕗のトンネルを進んで行く。ほとんど沢靴を濡らすこともなく進むと、意外なことに水流を逃がすためのエンビ管が見つかり、その上に林道跡を発見する。林道跡にはシカ道が刻まれており、ほとんど登山道状態であり、この林道終点である510m二股まで続いている。帰路、この林道跡を辿ったが、2ヶ所で崩壊しているだけで、駐車地点(由紀の沢出合い)よりも約300m上流側の林道で合流していた。林道入口は雑草で鬱蒼としているが、橋が架かっているのですぐに判るだろう。最初からこの林道跡を利用していれば、さらに短時間で頂上を陥れることが出来そうである。入渓前に少し林道周辺の観察もしておくと、意外な発見があるのかもしれない。

510m二股からは途切れそうな水流を進む。シカ道もところ所に現れ、あまり沢靴を濡らすこともない。春に、ここよりもかなり下流の札滑岳への林道でヒグマの真新しい足跡が点在していたのを見ているだけに、ヒグマへの警戒は怠らなかったが、その気配は全くと言ってよいほど感じられないのが不思議である。季節的にヒグマが移動してしまっているのかもしれないが、息を殺して我々が行過ぎるのを見送っていることも考えられる。水流が切れるといよいよ藪漕ぎ開始である。北面ということもあり、根曲がりは薄いと読んでいたが、予測は脆くもハズレる。ただし5段階評価で考えるならば3の上(5が一番厳しい)といったところであるが、久々の藪漕ぎでは疲れ方も倍増である。

柵瑠岳頂上にて
柵瑠岳頂上に到着 柵瑠岳三角点は苔に埋まっていた

笹薮漕ぎの途中、根曲がりではない植生を発見、藁をも縋る思いでそちらへ向うが、ラッキーなことに途中で沢形を発見する(帰路でこの沢形を下ってみるが、直ぐに根曲がりの藪へと消えていた) 。頂上と思っていた地点は稜線であり、頂上はそのさらに先である。稜線上の藪の中には何となく獣道と思われる形跡も感じられ、思ったよりは進みやすい。20分も進んだろうか、それ以上高いところはないと思われる頂上部に到着する。笹薮に覆われてはいるが、幾山岳やウェンシリ岳と思われる山影を望むことが出来る。数メートル先を行くKo玉氏が覆い隠すように苔が被った三角点を発見、柵留山登頂を確認する。三角点の様子を見る限りでは、夏にこのピークを踏む登山者は極めて稀で、少なくてもここ数年はだれも登っていないようだ。上紋峠方向を望むが霞んでかなり遠そうである。主稜線は頂上からの南側は、かなり標高を落としている様子であり、EIZI@名寄さんの取ったルートを常人が挑むのはかなり厳しそうだ。そう考えると、今回の由紀の沢からの無雪期のルートは、多少の藪漕ぎがあっても一番容易なルートと言えそうである。

帰路はGPSを取り出し、ついそれに頼ってしまう。GPSを携帯していると、帰路の藪の中では登りのトラックを利用すれば容易に下れるように感じがちであるが、藪尾根などの分岐付近は要注意である。藪の中の10m以内の誤差は想像以上に大きく、間違った尾根に入り込んでしまうと意外に大変である。この日は油断してしまったのか、いつものように要所々振り返って帰路の様子を確認しておく等の備えを怠ってしまった。先頭を行くKo玉氏、頭の中にはまるでGPSが組み込まれているかのように的確にポイントを押えて下って行くように感じられるが、この道具を持たなければ当たり前のことであり、そう感じた私の方に問題がありそうである。たとえ出さなくても、ある意味一人の有能なガイドが居る状態であり、ザックにGPSが入っているというだけでルートファインディングが雑になってしまったようである。(2005.9.4)

【参考コースタイム】 由紀の沢出合P 6:55 → 510m二股 8:05 → 噴泉塔 10:05 → 柵瑠山頂上 9:50 、〃発 10:15 → 510m二股 11:15 → 由紀の沢出合P 11:50

メンバー】Ko玉氏、 saijyo、チロロ2

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