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     境山(849.9m) 

奔別岳から望む境山

/25000地形図  「芦別湖」

420m二股への途中、作業道上に車を止める
間違えた二股の左股は4〜5mの手がかりが少ない滝となっている
奔別岳へは水量の少ない沢となっている

境山という山名の山は道内には二山あり、一つは十勝連峰である。今回登ったのは三笠の旧奔別炭鉱の奥に位置する境山で、以前の地形図に載っていた三角点は廃止となってしまったのか、最新の地形図では三角点や標高の記載がなくなったようである。辺毛山・美唄山から続く山並はこの境山を経由して三芦トンネルへと続き、幾春別岳から夕張山地の主稜線へと続いている。標高846mと1000mにも届かない低山であり、奥まっていることもあって、この山を目指したという話は聞いていない。地元に山岳会でもあれば登られることもあるのかもしれないが、一般的には登山の対象とはならないようである。

辿ってきた尾根を振り返る

アプローチは工事中の三笠〜美唄線で、市立博物館付近から左へ入る。途中、通行止めのゲートがあり、そこが奔別川沿いの林道の入口である。直ぐに奔別鉱の換気口?と思われる古い坑道の入口が現れるが、立入禁止となっている。右岸左岸へと渡り、約30分の林道走行で境山南面から直登する沢の出合であるコンタ300mの橋に到着する。沢沿いには作業道が入っていて、直ぐに砂防ダムが現れる。RV車であればさらに奥までの乗り入れも可能であろうが、普通車であれば出合までが無難なところである

出合からは作業道が420m二股付近まで続く。今回一番の失敗は作業道を進みすぎたため、この二股を見過ごしてしまったことである。作業道終点から入渓し10分位で左股が4〜5mの滝となった二股が現れるが、ここを420m二股と勘違いしてしまった。地形図上で左股の方が水量があることは知っていたが、実際に入ってみて、水量がほとんどないことには疑問を感じながらも左股へ入ってしまう。計画では境山に登頂してから稜線を藪漕ぎでトレースして奔別岳へ向うつもりでいたが、結果的には最初に奔別岳へ向うことになる。

地形図上、現れるはずである570m二股を確認できないまま、いくつかの枯れた小滝を微妙なバランスで越えて行く。急斜面であるため標高だけはぐんぐん上がって行き、やがて沢形は藪に消え、草付き斜面を攀じ登ると稜線上に飛び出す。登っている途中で進行方向を確認すべきであったが、それすらも怠ったため、登り詰めた稜線上の現在位置が全く判らない。藪の中からでは視覚による情報量も乏しく、勘に頼るほかない。少なくても境山近辺にいるものと信じ込んでいたため、針路を左へ取ることにするが、これが後で悔いを残すことなる。結果的には右側へ進んでいれば、コブ一つ越えた先が奔別岳であった。視界がわりと利くところまで進んで地形図と照合してみると、遥か前方に境山が確認される。藪に覆われた稜線上での彷徨は許されず、進んでしまった以上は目標を境山一本に絞る以外に選択肢はない。獣道と思われる踏跡も所々に見られ、概ね藪は薄いが境山までの距離はけっこうありそうである。途中標高811m標高点を確認する。

境山頂上に到達 境山からは水量は少ないがしっかりとした沢を下る

コルから境山への登りは強烈な根曲がり竹に山ブドウのツルが絡み、一進一退である。遠くからは樹木も少なく笹原が草原にも見え、いかにも快適そうに見えたが、こんな斜面は曲者であり、得てして背丈を越える笹薮に被われていることが多い。ここは辛抱以外にない。やがて前方の茂みの先が明るくなり、頂上部に飛び出したようである。稜線上の一番高い地点までさらに藪を漕ぎ、何とか境山の頂上に到着する。藪だらけで三角点を確認することは出来ないが、市町村界の境界石を頂上手前で発見する。夕張岳から芦別岳への主稜線上の山々やシューパロ岳、1415m峰、中岳などの後芦別山群の山々が見える。刈り分けられた形跡は全くなく、登山者がこの頂上を目指して登って来ることは、ほとんどないようである。

当初の計画通り往路を戻ることも考えるが、時間的にも体力的にも余裕はなく、予定では登ることになっていた沢筋を逆に下ることにする。興味は420m二股と間違えた地点の位置確認である。沢形はしっかりとしていて、途中数ヶ所の二股を確認する。沢は両岸が迫っているところもあるが、目だった滝は一つもない。高度計が420mに近くなった付近で二股に出るが、明らかに二股と判る地形であり、とても見逃すとは考えられない。右股を少し登って位置を確認をするが、往路でみた地形とは明らかに違い、現在位置すら不安になる。ひょっとしたら境山登頂さえ間違いで、全く別の山の別の方向に降りてしまったような気にもなり、何度もコンパスで方向を確認する。登山開始地点までの標高差が百数十mまで迫った地点で左岸に作業道を発見するが、作業道に入ってもまだ半信半疑であり、スパイク靴の足跡を見つけた時点でやっと往路に戻ってきたことに納得できる。

今回のように地形図には載っていない作業道を利用する場合、慎重に周りの地形を読まなければならなかった。高度計で標高は読んでいたが、作業道が流れよりもけっこう高い位置を通っていたこともあり、頭の中で考えた誤差と実際とは少し違っていたようである。 標高差の“だいたい”は水平距離に直すと “かなり”となることを奔別岳未登頂という結果で、しっかりと思い知らされた。(2004.8.29)

境山から夕張山地の展望

【後日談】後日判ったが、420m二股を“520m”と間違って覚えていたため、高度計を見て二股の位置を勘違いしてしまった。作業道は420m二股の手前までで、往路で現れた420m二股はまだ標高が低いと考え、見落としてしまったようである。また、下りでも実際の520m二股を往路で通過した二股と考えてしまい、辺りの様子の違いに慌ててしまったようだ…

 

【参考コースタイム】直登沢の出合・登山口 7:50 → 作業道終点 8:20  → 稜線上 9:40 → 境山頂上 11:40、〃発 12:05 → 420m二股 12:55 → 直登沢の出合・登山口 13:45 

メンバーsaijyo、チロロ2

 

 10年後のIkkoさんの記録(2014年7月) ・・・沢や林道状況は変わるもの

10年経つと左股の倒木 (上記写真) も苔むしていた

「地図がガイド」チームが10年前に訪れた、奔別岳と境山に行ってきました。林道の初めは悪路ですが、問題はありません。4km入ったところで、林道が崩壊!!!何ということだ!!!! 仕方ないのでここから歩くことに・・・・ 奔別左岸2号作業道まで5.2kmあることがGPSで判明・・・・トホホ。
奔別左岸2号作業道までの崩壊箇所は6っ箇所ありました・・・・しかも大崩壊です。林道崩壊後、奔別左岸2号作業道までの林道は動物の楽園で、羆の糞が新旧交えて100m置きに落ちていて、一人で歩くにはちょっと気味が悪 かったです。鈴を鳴らし、笛を吹きこちらの存在をアピールしました・・・おかげで羆に会うことはなかったです。奔別左岸2号作業道は入り口から50mで崩壊!その後も沢水などで数か所崩壊していました。C400のカーブで林道が右へカーブするところから、直進の林道があったのでそちらに進むと、そこも大崩壊していて、直接沢に降りることがで きました。

  そこからC420二股はすぐでそれを右に入りました。ホームページ通りの2段の滝があり、それを直登し、すぐの2股を左に入りました。その後の2股を左に入ると、水量も少なくなり、高度を上げると源頭になりました。灌木と笹と蕗の斜面を詰めると、コルに到着・・・・そこから右方向に藪尾根を進んでいくとピークらしいところに到着です。すでにここで12時を回っていまた・・・・登頂までに4時間が経過してました。時間がないので、すぐ藪尾根を戻り境山に進路を取りました。この藪尾根はアップダウンと灌木+根曲竹+つる植物があり、意外と手強いものがありました。
ここの山域はひとが入ることが無いので、立派なアイヌねぎが尾根中生えていて、ちょっとびっくりしてしまいました。春であれば取りきれないほどになっていたでしょう。

  境山へのコルに到着したのは14時と、2kmを2時間費やしたことになります・・・・ そこからの登りの距離は400m、標高差100mが凄かった・・・・濃密な極太の根曲竹とつる植物のオンパレード・・・・ここでは1時間・・・・・・です。ヘロヘロになりながら山頂に着いたのは15時でした・・・時間がないので三角点も探さず、休憩時間も撮らず、即!沢に向かって下降開始です。山頂部も藪が濃いので、沢筋がどこかわからないので、GPSを頼りに藪を漕ぎました。やっとも思いで沢筋を探し、急斜面を転げ落ちるように降りるました。

  saijyoさんはこの沢は滝も無く難なく降りれると言っていたので、安心して行くと・・・・・目線には沢が消えていました。そうです・・・・その先には滝がありました。3段15mの滑滝でした・・・・ということは降りる沢が違ったということです。左岸を灌木に掴まりながらクリアしたら、その先も滝らしきものが数か所ありました。なので、山は何があるか分からないのが面白いところです。そんな沢を堪能しながら、やっとの思いでC420二股まで戻りました。その後、日没までに何とか車まで行こうと足早に歩きましたが、5.2kmの道のりはどう頑張っても1時間はかかります。途中、1回休憩を入れ最後の給水をして、駐車地点に戻ったのは18時過ぎでした。結局、10時間の山行になってしまいました・・・・・

 

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