<戻る

      ルチシ山(754m)

 
コンタ720mからルチシ山を振り返る(右側の奥)

/25000地形図 「えりも」

林道は途中に渡渉があり、乗用車はそこまでだ
尾根上はミヤコザサが敷き詰められており、歩きやすい

尾根の途中から袴腰山が望まれる

ルチシ山は襟裳岬に近い日高山脈の最南端の1山である。この山の標高754mは名前が記載されている道内の山の中ではだいたい平均に近い高さであるが、海抜90mからのスタートであるため標高差は660mあり、内陸の山であれば1000m級のちょっとした山登りに匹敵する。また、襟裳岬周辺は風が強いことでも有名であり、山の高さの割に気象条件は厳しい。えりも町の大和地区から町道に入り、アベヤキ川沿いの林道から北側の尾根に取り付くことにする。

 アベヤキ川沿いの林道は2ヶ所ほど川の中を車で通過しなければならず、普通乗用車ではいささか厳しい。最初の渡渉地点に車を置いて、取り付きまで歩くことにする。低気圧の襟裳岬沖通過で風雪高波警報が出ている日高地方であるが、襟裳地区は強風ではあるが時折あられがパラつく程度で、12月に入っても相変わらず晩秋の装いである。尾根一つ隔てた北側の二カンベツ林道側からはエゾシカを追っての銃声が鳴り響く。こちらの林道には作業中のため発砲禁止と書かれた立札があり、何となく安心させられる。林道の途中で1台のRV車が我々を追越す。室蘭ナンバーであるから地元の人間であろう。服装は登山のスタイルであるが、強風のためルチシ山は止めて林道のクルージングにでも切り替えたようである。この時期の登山者が珍しく見えたのか、車を止めて我々にヒグマへの注意を促し、山腹を巻くように走っている作業道へそのまま走り去る。山行中、エゾシカが三頭連立っているのを見るが、ヒグマの方はその痕跡すら見当たらない。

頂上から見る襟裳岬方面 ルシチ山頂上に到着
頂上からは、豊似岳(左)とオキシマップ山(右)が望まれる 寒風を避けて、頂上の風下で休憩

.166標高点から少し進んだ地点から尾根に取り付く。尾根にはジグを切って作業道が続くが、尾根上の藪も薄く直線的に登っても大差はない。この周辺は北海道に多く分布するチシマザサ(ネマガリダケ)は少なく、雪の少ない地方に広く分布するミヤコザサが斜面を覆っている。この笹は冬期には葉の縁が白く枯れるため、笹薮全体を見れば市松模様のような独特な光景である。また、丈が1m以下と低く、いつも強烈なネマガリダケと格闘している我々にとっては、まるでじゅうたんを敷き詰めたような快適さを感じる。

標高400m付近で集材路は消える。しばらく平坦地が続き、やがて尾根も広い斜面に吸収される。斜面全体がミヤコザサで覆われた急斜面であるが、程よく潅木もありそれに捉まりながらの登高である。コンタ610m付近で西尾根上に飛び出す。ここから頂上までは明瞭なシカ道が尾根上に続くが、強い西からの寒風にさらされるため、尾根の少し風下側を進むことにする。頂上まではけっこう遠く感じるが、草木が少ないぶん、見た目よりはかなり近い。

頂上からは、襟裳岬や豊似岳・オキシマップ、日高の主稜線に続く山並みが臨まれ、日高山脈の南端を実感する。山々は何度も雪雲に霞み、日高山脈最南端にもいよいよ冬の到来である。周辺には、地形図上に名はないが、見事な形の山が見え登高欲をそそられる。来年の同時期にまた、薮山を求めて登るのも良さそうである。下山は、コンタ610m地点から登路を辿らずそのまま尾根を下りて、コンタ420mから林道を目指して下降する。天気予報では最悪の予報であったが、意外に晴れ間もあり、晩秋から冬へと変わる変化に満ちた瞬間を十分に楽むことが出来た。 (2003.12.7)  

同行したEIZI@名寄さんのページへ

【参考コースタイム】 林道(渡渉地点) 7:15 → 尾根取付き 7:45 → 西尾根(コンタ610m) 9:25 → ルチシ山頂上 9:45、〃発 10:10 → コンタ420m下降地点 12:40 → 林道 11:20 → 林道(渡渉地点) 12:00

メンバー saijyoチロロ2、チロロ3(旧姓naga)、EIZI@名寄さん

<最初へ戻る