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      振峰(1049.8m)

1/25000地形図 「」  「幾春別岳」

約1km手前で車を停めるが、終点付近まで車は入れそうだ
鬱蒼とした南面沢直登沢の源頭部
頂上直下の草地に咲くフウロソウ科の植物
後芦別山群の山々は厚い雲に覆われて見えない
ピンク色のタニウツギが美しい

礼振峰は後芦別山群(百々瀬満氏命名)の絶好の展望台との情報から、一度は登ってみたいと思っていた山である。三角点が設置されているため、少し詳しく山名が記載されている地図であれば、大抵この山は載っている。ネット上に最初に登場したのは三笠・芦別の山々を紹介したページだったが、何時の頃からかそのサイトは消滅してしまった。紹介されていたのは惣芦別林道からの最短ルートであるが、登りやすく展望が良い山であるという印象を受けた。現在、この惣芦別林道からのルートはの高山植物保護のため、車の乗り入れは禁止されており、南面の奥芦別林道を使うのが一般的なようである。夕張山地西側の林道は何れも奥深く、日曜日帰りでの山行の場合、車で乗り入れることが絶対条件となる。

奥芦別林道周辺では現在も伐採作業が行われているのか、車が頻繁に通過した様子が轍からうかがえる。砂利を敷いていないためか、少しの降雨でもぬかってしまいそうで、普通乗用車の走行には少々不安がある。この日も途中で霧雨がフロントガラスを濡らし、何度も引き返しを考える。林道の途中から見えるシューパロ岳も厚く雲がかかった状態であり、引き返しのタイミングが難しい空模様である。昨年、幾春別岳への入口となった三叉路から左へ入って芦別川沿いに進む。この林道は荒れていると聞いていたが、伐採作業が行われているためか意外に奥まで入って行けそうだ。結局、終点から約1km地点まで車を乗り入れることが出来たが、地形図上の林道終点までは車が入れそうだ。林道は地形図上の終点で終わっているが、以前はさらに伸びていたようである。終点の直ぐ先は崖崩れで大きく崩壊し、それより先は整備されることもなく消えてしまったようである。崩壊地点を標高を変えないように進むと、蕗の密生した林道跡のようなところが現れ、それも直ぐに判らなくなる。

礼振峰の頂上北側には、特徴ある岩峰が見られる 三等三角点「礼振峰」
礼振峰頂上にて 崕山は縦一列で、特徴ある姿を見ることは出来なかった

入渓地点にはピンクテープを付けて行く。帰路にこの地点を見逃すと、林道まではかなりの斜度を登り返さなければならなくなる。礼振峰南面の沢の出合は直ぐであるが、見落としてしまい本流を進んでしまう。付近の左岸には予定している南面直登沢しかないが、入渓地点からは予想以上に近かったため、メンバーのだれもが見ていながらの誤通過である。思ったよりも長い本流歩きに誤りに気づくが、適当に沢が入っていた場合は間違いなくその沢に入っており、さらにロスは大きかったかもしれない。引き返しながら右岸側に出合を探す。右岸の藪の中には草がなぎ倒された跡や、ヒグマの糞も見られるヌタ場のようなところがあり、何とも薄気味悪い。林道上でも二箇所で糞を確認しており、付近には最低1頭のヒグマが活動しているようだ。

南面直登沢は平凡な沢相であり、倒木の少ない細々とした流れの中を上って行く。滝は一ヶ所もなく、礼振峰への手頃なルートと言える。明瞭な二股が現れると約2/5の行程が消化される。空模様を気にしながらの登りでは、ついつい焦る気持が先行してしまい、新ピークへの気持の高揚を味わう余裕もない。途切れそうでなかなか途切れない沢をさらに上り詰めると、最後は小さな崩壊地となり沢は終わる。源頭からは雨裂を辿るが、直ぐに二股が現れる。若干しっかりしている右側へ入り登って行くと、徐々に濃い根曲がりの藪漕ぎとなり、選択の悪さを後悔するが、左側もさほどの違いはないだろう。藪の隙間に頂上の岩壁が見え隠れしている。深い藪の中では実際以上に距離感を感じるものである。一度稜線を目指してから頂上へ向うことにする。ここはしっかり地形図を見ながら近づく場面であったが、芦別川本流で一度転んでずぶ濡れになってしまったこともあり、コピーの地形図は崩れそうで、ついついポケットから出さなかった。結果的には手前の小ピークを頂上と間違えて登ってしまう。昨年登頂しているチロロ3(旧姓naga)さんに聞いてみたところ、ここは頂上ではないとのこと。コピーの地形図は何枚もザックにしまっておいたが、余裕のないときにはなかなか出さないもので、使っている地形図くらいはしっかりとビニール袋に入れて持ち歩く習慣を身に付ける必要がありそうだ。

 隣に見える頂上部へ向かう稜線を探し、トラバース気味に進むと、いよいよ最後の登りとなる。小岩峰の右側を回り込みながら登り詰めると、今度こそは本当に三角点のある頂上である。楽しみにしていた後芦別山群の山々はガスの中で何も見えない。唯一、山が見えるが礼振峰から見える岩峰群は縦一列に並んでおり、ステゴザウルスの背中のような特徴的な姿ではない。何度か耐えかねたようにパラパラと雨が当たる。あとは本格的な降りとなる前に下るだけである。頂上からは緑に映えるピンク色のタニウツギを見ながら、沢へ向って急斜面を最短距離で下る。頂上を踏んだ達成感からか、雨やヒグマに対する恐怖心はすっかり払拭され、足取りも軽い下山となった。(2005.7.10)

【参考コースタイム】 林道(駐車地点) 6:50 → 途中出合を誤通過 → 直登沢出合 8:30 → 源頭 10:00 → 礼振峰頂上 10:40、〃発 11:05 → 源頭 12:25 → 林道(駐車地点) 13:15

メンバーsaijyo、チロロ2、Ootaさん、チロロ3(旧姓;naga)

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