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       天狗(1222.1m)

送毛トンネル入口から幌天狗を振り返る 

 1/25000地形図  「浜 益」「雄 冬」

途中で現われる廃車、今は1つのポイントとなっている
745m標高点付近を必死で登るチロロ2さん
最初の転回場所に車を停める
わりとしっかりとした作業道跡を進む
尾根上は広い雪原、やはりスキーがほしい

幌天狗の名は最近良くWeb上その他で目にするようになったが、これは三等三角点「幌天狗」がそのまま通称となって広まっているようだ。ここまで広まったのであれば正式名称となっても良いのではないかと思うのは私だけではないだろう。群別岳・南西尾根のひとつのポコと見るのはアバウトに過ぎる。幌天狗、群別岳、奥徳富岳、それぞれが独立した山と見てもよいほど高さ大きさは拮抗している。送毛トンネルを浜益側に貫けた時に見える三山は、険しい群別岳を筆頭に丸みのある幌天狗、大きく広がる奥徳富岳と三者三様の姿で出迎えてくれる。幌天狗の展望が抜群であることは知っていたので、この山を訪れるとすれば晴天の日と決めていたが、勤め人はそんな贅沢を言ってはいられない。今年のGW後半には晴天の日が続くとの予報が覆ったのは2日の午後のことで、4日は雨80%との予報に変る。そりゃあないだろう!と、予報機関への恨み節を呟いたところで仕方がない。日程の都合上、現地へと向かうことにした。

大して下調べもしていなかったので舗装が切れて直ぐに現われた林道を幌川沿いにそのまま進んでしまった。後で調べたところ、尾根上へと向かう点線の道路は直ぐに右へ入るとのこと。この道路は廃道となっていて笹が被っており見つけづらいらしい。幌川沿いの林道は半分ほど雪が被っているためにぎりぎりの運転となる。我々の車は最初の転回場所までが限界であったが、Ko玉氏のオフロード車はさらに奥まで入って見事雪渓にハマってしまった。群別岳への沢登りでこの林道を利用しているチロロ2さんが間違えに気付いたのはそれからだった。車の底の硬雪を除去、何とか脱出には成功したが、けっこう時間を浪費してしまう。最初の転回場所は右上へと向かう作業道跡入口となっていて、藪漕ぎとなっても良しとする我々パーティはこれを利用して尾根上へと直接向かうことに決める。ここで問題となるのは足回り、スキーが良いのかスノーシューか、結局選んだのはスノーシューだった。これもしっかりWeb情報でも読んでいれば迷うことなくスキーを選んでいただろう。

作業道跡はわりと新しくしっかりとしているため、つい怪我の功名と期待したが、最初のカーブを曲がって直ぐに期待の道路は終了してしまった。ここからは薄い籔を漕いで稜線上へと抜ける。直ぐに雪田となって、さらに一面広い雪原となる。スキーを置いてきたことを悔いても取りに戻るわけにもいかず、だからといってスノーシューを付けるわけでもなくツボでそのまま進んで行く。雨天予報通りで何時降り出してもおかしくない空模様、雷鳴さえなければ良いかと、耳だけは超高感度モードである。509m標高点付近を通過、樹木の下に人工物を発見する。見れば廃車のようで、もしかして白骨化した遺体でもあるのでは…と、恐る恐る覗いて見るが何もない。後で判ったが、Web上にも載っていた。廃棄物処理法の数度の改定で施行規則そのものが強化された影響か、こういった不法投棄がどこの林道、廃道でも見られるようになった。

広くて緩い斜面はどこまでも続く感じである。視界が利けばまだしも、視界のない中ではただ黙々と歩くのみだ。745m標高点で細くなった稜線上を右にカーブ、浜益岳付近の斜面が低い雲の中に一部分のみ姿を現している。さらに左へと針路をきると再び単調な雪原歩きとなる。地形的な変化が現われたのは1044m標高点手前の急斜面で、ガスの中ではけっこうな登りと感じる。キックステップでバランスを考えながら慎重に登るが、視界が少し回復した下山時の印象では大した斜面ではなかった。1044mから先は完全にぶ厚いガスの中、視界の全くない雪原歩きとなる。足首が変に痛くなる。中途半端に足が沈むために何時もは使わない筋肉に思わぬ負荷がかかっているのかもしれない。私はワカン、ほかのメンバーはスノーシューを背負っているが、全員相変わらずツボ足のまま、だれも背負ってきた道具を使おうとはしない。私にすれば、こんな緩くて広い斜面でスキーを置いてきてしまった以上、大きく沈み込むことさえなければワカンもツボも大して変りはない。装着に時間を費やすくらいなら、少しでも先に進んだ方が精神衛生上も良い。仮にスノーシューであっても然りである。Ko玉氏曰く「スノーシューを使えばもっと早くて楽だ」と…? しかし、言っている本人もツボのままでは説得力も今ひとつである。

幌天狗頂上は深いガスの中 ここまで下れば、あとは林道を下るだけ

にわかに尾根が狭まり、幌天狗のピークがいよいよ近づく。右側には雪庇が出ていることも予想されるため、潅木の際を慎重に進む。GPSでは既に頂上到着となっているが、さらに5〜6m進んで正に頂上と思われる高みに到着する。ここ以上高いところはないので間違ってはいないだろう。晴れていれば大パノラマが広がるところだが、この状態ではガス以外には何も見えない。そうは言っても初めての山、当然のことながら登頂に勝るものはなく、無事の到着にまずは安堵。

下りもそのままツボで、長い長い雪原歩きとなる。子供の履くおもちゃのミニスキーでも良いから、とにかく滑るものが欲しいというのが正直なところ。745m標高点のカーブ付近でスキーのトレースを見るが、後続の登山者はこの天候で止めたようだ。スキーを方向転換、下りのシュプールとなっているが、初ピークでもなければこんな日に登ることはない。賢明な判断といえる。作業道への籔漕ぎは止めることにして途中の適当なところで幌川沿いの林道へと下ることにする。廃車の付近でシュプールと別れ509m標高点へと向かい、最後は広い沢形の雪渓が残る急斜面を下って林道へと飛び出した。登り約4時間半、下り約3時間半、実際以上に長く感じる山行となった。Ko玉氏が言うようにスノーシューやワカンを使えば、もう少し時間を縮めることができたのかもしれないが、この時期の幌天狗への足回りはやはりスキーをおいて他にはないようであった。(2011.5.4)

【参考コースタイム】 幌川沿い林道 P 8:45 → 745m標高点付近 11:10 → 幌天狗頂上 13:10 、〃発 13:20 → 745m標高点付近 14:55 → 幌川沿い林道 P 16:00  (登り 4時間25分、下り 3時間40分 )

メンバーKo玉氏、saijyo、チロロ2

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