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      ポロヌプリ岳(835.2m)

西興部・道の駅付近から望むポロヌプリ岳

1/25000地形図 「上興部」

小沢の出合まではKo玉氏の4WD車で行く
小沢の水量はほとんどない

“ポロヌプリ”という山名は北海道撮影社の季刊誌「北の山脈」1979.33の「ポロヌプリ紀行」で初めて目にした名であるが、北海道的であり暖か味もあって、何となく印象に残る名称であった。当時のどのガイドブックにも載ってはいないが、響きの良さもあって以来ずっと心に残っていた。同季刊誌の記事は故三和祐佶氏が執筆しており、文面からは春山登山の楽しさが実によく伝わって来る。今回目指したポロヌプリは残念ながら氏の山行記に登場する方ではなく、南側・西興部村のポロヌプリ岳である。「大事な山・目標となる山」の語意があるそうだが、アプローチとなった中興部・六興地区から見る山姿は裾野を緩やかに広げ確かに特徴的である。ペンケ川沿いの林道は古いわりにはしっかりとしている。入口付近の牧草地の緑は美しく、空気も澄んで感じるから不思議である。牧草地を抜けると豊かな自然林となる

朝晩、寒さを感じるようになるこの時期、出きるだけ衣類を濡れぬよう、上流部までは林道や作業道、集材路を利用してのアプローチを考える。幸いなことに地形図上にはコンタ550mに沿うように破線で描かれた歩道が載っている。破線が林道となっているケースは多く、さっそく前日に車での乗り入れの可能性を探ってみることにする。宇津地区・班渓川からのアプローチでは「米田の沢林道」へ入って間もなく道路が崩れていて行き止りとなっていた。ここから破線の歩道までは少なくても歩いて2時間くらいは掛かりそうである。一方、今回利用した南側のペンケ川沿いの林道は、地形図に記された部分では車の乗り入れが可能であり、ポロヌプリ岳頂上への最短距離といえる。ただし、途中二ヶ所で施錠されているため「網走西部森づくりセンター」(北海道紋別郡興部町字興部708  TEL 01588-2-2158)にて許可を得る必要がある。

施錠されたゲート(2つ目)から少し先の土場で一夜を明かす。ここから入渓地点までは傾斜があることからKo玉氏の4WD車に便乗させてもらう。予定の入渓地点付近から昨日目指した「米田の沢林道」上部へ抜ける連絡路があることも十分に考えられるため、周囲を丹念に探してみるが見つからない。結局、水量の少ない小沢を進むことにするが、入渓後まもなく植林地へ向う歩道(起点は駐車地点であった)とぶつかる。現在も植林が行われているかどうかは判らないが、この歩道は踏み込まれていて歩きやすい。植林地の上部が前述の地形図上の破線で描かれた歩道である。破線の歩道はかなり鬱蒼としていて、既には廃道となっていた。さらに上部へ向う集材路跡をつなぎながら、予測していたよりは標高を稼ぐことができた。集材路跡の終点と思われる地点からは藪の薄そうなところを探し、頂上部をめざして直上する。

笹薮に覆われた二等三角点「班渓山」 それにしてもKo玉氏、よく見つけたものだ・・・

藪は比較的薄く、順調に標高を上げてゆく。藪山に慣れてしまうと、つかむものがない一般登山道の登りの方がきつく感じるものである。また、藪斜面では傾斜が緩い斜面よりも、ぐんぐん標高が稼げる急斜面の方が意外に登りやすい。やがて傾斜が緩くなり、コンタ720m地点で頂上西側へ伸びる支稜線上へ飛び出す。支稜線上の傾斜は概ね緩く、根曲がり竹やハイマツがない斜面は多少の藪が被っていても登りやすい。登り詰めた先に三角点の頂上があれば気も楽であろうが、頂上の肩からは平坦地の藪漕ぎである。三角点は見つかるだろうか…不安を抱きながら登って行くと、前面が開け頂上台地の一角となる。頂上付近と思われる樹木までの距離は地形図で表現されているよりは遠いように感じられる。しかも、行く手に待ち構えるのは強烈な根曲がり竹の藪であり、頂上へのルートファインディングはかなり難しそうだ。決め手は頂上から派生している尾根の確認ができるかどうかにかかる。

昨日の山行(毛鐘尻山)同様、背丈を軽く越える根曲がり竹の藪に突入する。道北特有の根曲がり竹は侮れない。途中まで目指していた目標物もすっかり見失い、どこにいるのかも判らない状態となる。何となく感じるがまま、潜在的な方向感覚のみで進んで行くが、この辺は経験がものをいう世界と言えるかもしれない。樹木の形から最初に頂上と思われた地点(派生尾根の条件はクリア)には到着したようだ。手分けして三角点を徹底的に探すがいっこうに見つからない。探す範囲をさらに広げ、次の最高地点と思われる樹木付近へと移動する。辺りは朝霧に包まれていて、遠くの展望はほとんど利かない状態である。頂上台地に到着して約一時間、ついに藪に覆われた二等三角点「班渓山」をKo玉氏が見つけ出す。

登山の容易さと比較して、三角点の“捜索”には時間を費やした山行であった。道北の低山はやはり積雪期である。「ポロヌプリ紀行」にある北のポロヌプリの時にはやはりスキー登山としたいものである。(2005.9.25)

【参考コースタイム】小沢出合P 5:40 → 植林地への歩道 5:45 → ポロヌプリ岳頂上 8:05、〃発 8:10 → 小沢出合P 9:15

メンバー】 Ko玉氏、saijyo、チロロ2

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