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      ポンヤオロマップ岳(1405.2m) 

登山道途中から見るポンヤオロマップ岳

    1/25000地形図「ポンヤオロマップ岳」

傾いた三角点。周りの土が長い年月の間に流されてしまった
頂上から望むペテガリ岳。さらに8kmの道程である。
ペテガリ橋が登山口
登山道は途中から藪で不明瞭になる
いよいよポンヤオロへの急登となる

ポンヤオロマップ岳はペテガリ東尾根上のコブに過ぎない山といった印象を受けがちだが、日高の名立たる山々からもその支稜線上にぴょこんと飛び出した特徴的な姿が望まれ、山脈全体でも目立った存在となっている。遥かなるペテガリ岳の東尾根登山道は、静内側からのアプローチが閉ざされてしまった現在、同山への最も確実な登山ルートとなっている。そんなこともあってか、この山はペテガリ登山の通過点として踏まれることが多いようだ。登山口から約6km、ペテガリ岳ともなると約14kmというから、夏の暑い時期でなくてもこの登山道をたどるのだけは遠慮したいところだ。「ヤオロマップ」の語源は「支流の危ない川」とのことであるが、歴舟川上流のヤオロマップ川と比較して、そのミニ版ということでポンヤオロマップの名となり、その水源の山がこのポンヤオロマップ岳ということになるようである。

大樹町の名所となっている坂下仙境を目指し、そこからさらに林道を進んで行くとペテガリ橋で登山口となる。当初は久々のカムエクを予定していたが、今回は始めての秋の大型連休ということもあって、札内川七の沢手前の車止めには多くの車がひしめいていた。静かな日高を楽しみたい我々としてはさすがに萎えてしまった。副案であったポンヤオロマップ岳へと急遽山域の変更を決めるが、さすがにこちらも狭い駐車スペースは先客で満杯となっていた。

登山道は日高特有のジグザグ急登から始まり、尾根上へと抜ける。急登が収まったと思いきや、さらに鉄梯子が二ヶ所続けて現われる。登山道開削の当時はそれだけ専心な整備が行われていたということだろう。大樹営林署の名も朽ちた標識に見られるが、現在は役所としての新たな整備は行われていないようである。効率化のためとはいえ資金力のない山岳会まかせでは、訪問者の少ない登山道はやがて荒廃といった運命をたどって行くことだろう。

1121m標高点への登りから笹薮が被り始め、次のコンタ1060m・小ピークを越えるまでこの状態がしばらく続く。普段は訪れる登山者が少ないのか、被った笹のために登山道はかなり不明瞭である。時期によっては間違いなくダニの餌食となるだろう。藪に慣れない登山者であれば何とも心細い感じとなるだろうが、たとえ外したとしても尾根上を歩いてさえいれば必ず登山道に出くわすので、あまり神経質になる必要はなさそうだ。

植生が変り、笹が消えると登山道は再び明瞭になる。ポンヤオロマップ岳が鋭角的な姿で現われて徐々に近づいてくるが、近くなったと実感できる辺りまでくると、両側がスパッと切れ落ちた痩せ尾根上にいることに気付く。樹林帯の中であるために高度感をあまり感じないが、よくよく見てみるとこけてしまった場合にはとんでもないことにもなりそうだ。現にこの山行の数日後、コイカクから縦走してきた登山者がペテガリ側の尾根上から転落死したとのニュースが流れていた。やはり、長い縦走では疲労も相当なものだったのだろう。山はいかなる場合でも、時間的にも体力的にも常に余裕を持ち続けることが不可欠である。

ポンヤオロマップ岳頂上にて
頂上手前からピリカヌプリ(左)とソエマツ岳(右)を望む ポンヤオロマップ岳頂上に到着

ポンヤオロマップ岳への急登は実に上手い具合に登山道が続いている。岩壁が現われたかと思えば回り込むように、急登になれば程よい具合に足場がありフィックスロープもあるが、これは補助程度と考えた方が無難である。登って行くほどに日高山脈の名立たる山々の展望が開け、つい山座同定に時を忘れてしまいそうだ。さらに登り詰めると高度感のある頂上へと到着する。三角点が傾いているのには驚かされる。設置した当時はしっかりと地中に埋まっていたのであろうが、厳しい気象条件の中、次第に周りの土が流されてしまったようである。大雪山の小化雲岳や北日高の春別岳でも同様の光景を見たが、地形によっては三角点であっても回りが少しずつ風化してしまうところもあるようだ。登頂を実感するための証としても、いつまでもしっかりと埋まっていてほしいと思っているのは私だけではないだろう。

木々に邪魔されてはいるが、やはり展望は第一級である。ペテガリ岳のカール群を始め、ルベツネ岳、特徴的な1599m峰など、日高主稜線の山々が目を楽しませてくれる。特に目に止まったのが先日登ったピリカヌプリであるが、こちらは少し移動しなければしっかりと見ることはできない。今回の副案として考えたきっかけは、やはりピリカヌプリから見たこの山が特に気になる存在だったことである。そんな意味で、満足感は当然のことながら、何となくほっとした気分も味わわせてくれる山行となった。(2009.9.20)

 【参考コースタイム】登山口P 7:05 → 1121m標高点 9:25 ポンヤオロマップ岳頂上 11:35、〃発 12:10 1121m標高点 13:50 登山口P 15:40 (登り 4時間30分、下り 3時間30分)

メンバーsaijyo、チロロ2

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