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   ポンネアンチシ(1145m)余別岳(1297.8m)

登って行く尾根から見るポンネアンチシ山

/25000地形図 「余別」「ポンネアンチシ山」

尾根上から見える屏風山
余別岳頂上にて
大川林道、スタート地点にて
858m標高点付近にて
ポンネアンチシ山から余別岳
余別岳頂上から後方羊蹄山とポンネアンチシ山(手前)

 ポンネアンチシ山は、積丹半島の最高地点である余別岳から見ると出尾根のコブに過ぎないが、南側からは鋭鋒で実に美しい姿を見せてくれる。アプローチは昨年の珊内岳と同じ大川林道である。この林道もネット情報のためか、この時期の入山者が目立つようになった。大川林道はコンタ120mの滝ノ沢橋まで除雪が入っていて除雪終点からは珊内岳、ポンネアンチシ山、余別岳など積丹半島の主だった山への日帰り登山が十分可能である。これらの山々の無雪期は困難な沢の遡行によってしか頂上を踏むことができず、登頂のみに拘るのであれば雪の固まる春先は意外に簡単に登頂できる唯一の期間と言える。以前にこの山を目指したときには、当丸峠から稜線伝いに辿ったが、アップダウンが激しく、到達するのに丸一日を要した。

大川林道から珊内岳へのルートとして使われる940m標高点へ向かう尾根の一本奥の尾根が今回のルートである。林道終点から尾根に取り付く305m二股までは途中から林道が消滅してしまうため、右岸を少し高めに巻く方が楽である。沢の上流部はまだ雪に埋まっていて、心配していた渡渉もなく目的の尾根にはすんなり取り付くことができた。

尾根の取り付きは急斜面であるが、雪が腐っていればキックステップで簡単に登ることが出来る。尾根上コンタ440m付近までは藪がうるさくスキーを外したが、そこを過ぎると快適な登りとなる。遠く岩内湾の向こうに雷電山付近の山々が白く浮かぶ。コンタ550mからはスキー登高も可能となる。斜面は広く、暖かな日差しを浴びながらの雪面登高は正に春山ならではの醍醐味がある。  

  885m標高点からは主稜線上となり、一気に視界が開ける。やや傾斜がある斜面を巻き気味に通過すると地形図上コンタ940m付近の痩せ尾根となる。ここは地形図上のシュミレーションでも気になっていたところであるが、意外に幅がある。雪庇はこの時期、落ちるところは落ちているが、面倒でもスキーを外しツボ足で通過した方が楽である。私はここにスキーをデボしたが、余別岳まで足を伸ばそうという計画であれば、帰路を考えてスキーは持って行くべきであった。

  尾根筋は林道から山容を見て想像を巡らしたほどの傾斜はなく、意外に簡単にポンネアンチシ山の頂上に到達する。林道から見て尖って見えたピークは頂上手前の小ピークであり、本当の頂上はここから約100m先の大岩があるところである。ピークへ拘りがあるのであれば、いっそのことこの大岩へ上がってしまえば完璧と言える。

ここから余別岳まではかなり遠く感じるが、地形図を見るかぎり、それほどの距離はないはずである。同行したsakag氏(一人歩きの北海道100名山)はポンネアンチシ山の頂上から余別岳とのコルまで一滑りで到達してしまうが、我々は痩せ尾根にスキーをデボしたためにツボ足で追っかけねばならず、距離の差は歴然である。やはりスキーとは利用する人間の力量を差し引いたとしても、相当に便利な道具であることには違いない。

この標高では樹木もなく、ハイ松は雪の下に埋まっていて、あたり一面は広大な銀世界である。余別岳へはコンタ1260mピークの東側を巻いて頂上とのコルへ出る。ここからは標高差約60mの登りで積丹半島の最高地点である余別岳頂上に到着する。さすがに積丹半島の盟主であり、山容の風格も然ることながら展望も第一級である。半島内のすべての山々はもちろんのこと、遠く天塩山地から海に浮かぶ道南の狩場山までが望むことができる。特に積丹岳と海を隔ててその上に見える増毛山地の山々とのコントラストが印象的である。

ポンネアンチシ山へ 余別岳から積丹岳と増毛山地(後方)

頂上からの下りはスキー組には “水を得た魚”状態である。最初はツボ足組と歩調を合わせていたが、途中からは一揆に我々がスキーをデポした地点まで滑走して行った。デポ地点で全員が合流し、sakag氏の“スキー板への重心の置き方”などのワンポイントアドバイスを参考に、それぞれの力量でコンタ440mの尾根末端付近まで思いっきり滑りを楽しむことが出来た。遅くまで雪が残る積丹半島の山々は正に春山スキーのメッカと言える。 (2004.4.11)

【立て看板】

二十数年前の話になるが、この山で遭難騒ぎがあったのか、となりの積丹岳頂上にこの山に向うことに対して自制を求めるための立看板が設置されていた。冬や沢を知らなければ余別岳は遠い存在である。残雪期に積丹岳へ登ると、この山へも簡単に届きそうな気がしてくる。そんな登山者の心情を巧みに突いた看板であった。一見簡単そうに思えるこの時期のルートファインディングであるが、ひとたびガスがかかると引き返しは容易ではない。当時の私は積雪期の登山を知らなかったこともあり、5月のクレパスだらけの斜面を見て、看板の忠告通り早々に退散した思い出がある。  

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【参考コースタイム】 滝ノ沢林道分岐(除雪終点) 6:10 → 尾根取付(305m) 7:50 → 858m標高点 10:05 → ポンネアンチシ山頂上 11:25、〃発 11:40 → 余別岳 12:30、〃発 12:45  → 858m標高点 14:05 → 尾根取付(305m) 14:35 → 滝ノ沢林道分岐(除雪終点) 15:20

メンバー】 sakagさん、EIZI@名寄さん、ko玉さん、saijyotakata、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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