本倶登山(1009.4m) ・・・ポンクトサン川から
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1/25000地形図 「本倶登山」
林道終点は芝生を敷き詰めた感じとなっている |
この沢最大の3mの滝 |
770m付近 |
三角点の周りは藪となっていて見つけづらい |
沢歩きも10月に入ると日に日に寒くなり、濡れた衣類の冷たさが身に凍みる季節となる。選択する沢も出来るだけ河原が広く、水量の少ない沢があまり衣類を濡らさずに済み快適である。この時期は夏の間に生い茂ったフキやイタドリなども伸びきった状態で枯れ、藪の密度が薄くなり歩きやすくなる。
本倶登山は隣の阿女鱒岳と共に道央では“人の訪れない山”であったが、スキー登山の静かなブームによって、主だった山を終えた登山者の格好の目標とされるようになった。この山域の地形は概ね穏やかで、読図さえ出来れば難なくピークを踏むことが出来る。近頃ではスノーモビルも行き交うコースとなってしまったことは残念だ。一方無雪期は登山道がないこともあって訪れる登山者はほとんどなく、静かな山旅を楽しむことが出来るのが良い。
現在工事中の国道393号(小樽〜倶知安線)のポンクトサン川に掛かる橋脚の横から続く作業道から入る。この作業道は短く草が刈られているのか、車の轍まで緑一色であるため恐る恐る入るが、見た目よりはしっかりしている。作業道終点の広場も芝生を敷き詰めたような状態である。この先さらに集材路が続いていたのか、形跡はあるが荒れているので、適当な小沢からポンクトサン川へ下ることにする。下降地点には帰路、通り過ぎぬよう赤布を結ぶことにする。前日の雨のために予想以上の水量である。岩にはヌメリがあり、フェルト地下足袋では滑りやすい。帰路スパイク地下足袋に履き替えるが、こちらの方は滑らずに歩くことが出来た。水流沿いの枯れ藪を進むが、あまり濡れることなもく、時間的にもかなり速い。ただし、笹薮やゴルジュ状だけは水流の中を進まなければならない。秋以降の沢ルートからの登山は水流の中よりも河原の薮を選ぶこの方法の方が効率は良いかもしれない。
細い流れの割には魚影が数多く見られ、あまり人の入った痕跡を感じない。770m付近でこの沢初めての小滝群が現れる。どれもミニチュア版であり、難なく通過する。800m二股の手前にこの沢では一番の3mの滝が現れるが、階段状であり容易に通過する。二股は右股へ入るが出合は2mの滝となっている。ここを過ぎると水は枯れて、ぐんぐん標高を上げて行く。この沢は頂上へは突上げていないため、心持左へ寄っていかなければならないが、周囲の薮は濃く、沢形通り以外には進みようがない。コンタ900m付近で二股が現れ、すかさず左股を選ぶが沢形はすぐに消え、強烈な根曲がり竹の藪漕ぎとなる。計画の段階では北面であるため、藪も薄いと判断したが、ここの根曲がり竹は太く密集していて、かなり強烈である。
本倶登山・二等三角点とスーパーマグナムドライ | 下降時、ガスの合間から倶知安方面の平野が望まれた |
頂上直下の急斜面は冬期に訪れた時にはスキーを外してツボで登ったが、スパイク地下足袋を履いての登高は藪さえ無ければシールよりは快適である。遠くに雷鳴を聞き、降りだした雨に意欲を削がれるが、ここまで来れば登るしかない。頂上部が見えているだけに、その間を埋めている藪にはつい距離を感じさせられる。
頂上は藪の中である。足に引っかかるものがあり、ふと見てみると本倶登山の二等三角点である。偶然に標石を発見したが藪の中に隠れていて、見つけようと思っても見つけるのは難しそうである。あいにくの天気で視界はあまり利かないが、倶知安付近の平野や八内岳はじめ積丹半島方面の山々を望むことが出来た。(2003.10.5)
【冬期編】
1998年3月、当時目指していた室蘭岳から積丹岳への稜線つなぎの一部として、美比内山から町界の稜線をスキーで歩いて本倶登山に登った。豊羽鉱山から入山し、美比内山から余市岳に向い3つ目の大きな瘤から西進する。入り組んだ沢型に入ると迷いやすいので、忠実に分水嶺を辿る。天狗岩を過ぎた辺りから西南に進路を変え、あとは本倶登山から派生する北東の尾根に取り付き、緩やかな登りでピークに到着する。西の尾根から登った時の最後の急斜面はこちらにはなく、シールを付けたまま歩くことが出来た。
豊羽鉱山〜美比内山 2時間30分
美比内山〜本倶登山 7時間20分 (山中一泊山行)
【参考コースタイム】 林道終点 10:15 → 800m二股 11:55 → 本倶登山頂上 12:40、〃発 12:50 → 林道終点 14:30
【メンバー】 saijyo、チロロ2