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      1269m峰「ピロロ岳」(1269.3m)

/25000地形図  「広尾岳」

水量もかなり細くなる
「ピロロ岳」への主稜線に出る
広尾岳登山口に車を置く
広尾西川上流を進む
コンタ700m付近の屈曲点の滝を登る
滝上部で確保の準備

 十数年前の正月、長い林道歩きを覚悟で南日高の広尾岳を目指したが、当時は広尾岳も今ほど一般的ではなく、我々にとってもどちらかと言えば知られざる山の部類であった。車から降りて登山準備をしていたところ、地元営林署(当時)の人がやってきて、付近の山の話題になった。この時の話では、広尾岳は草木が枯れ藪も薄くなる12月の積雪前がベストシーズンであり、この営林署員も半月前に広尾岳に登ったとのことであった。

この時、初めて耳にしたのが、今回の1269m峰「ピロロ岳」である。それまでは楽古岳より南の主稜線上にはエリモの豊似岳まで登山の対象としての山はないものと思っていたが、営林署の地図には「広尾岳」と立派に記載されているそうで、地形図上の広尾岳を目指そうとしていた自分にとっては、少し戸惑いを感じたのを覚えている。後で解ったが、営林署の地図では三角点名を山名として記載しているようである。どちらが本当だということではないが、「ピロロ」の方が広尾岳よりも若干高く、しかも日高の主稜線上にあるということもあり、それ以来、広尾岳の名を聞くたびに気になる山となった。

 あまいものこさんのHP「甘藷山荘」の記録によると、広尾の古名がピロロとのことである。「ピロロヌプリ」とも呼ばれているそうであるが、私は“ヌプリ”の響きが北海道らしくて好きなので、こちらの名称の方に一票を投じたい。現在、広尾岳にはかなり明瞭な踏跡が頂上まで続いているそうであり、けっこう登られているようである。広尾岳の登山口は林道の終点近くであり、少し広くなっている。そこからほんの少し進んだ林道終点が “ピロロヌプリ”への出発地点である。

林道終点からは作業道跡を利用して西広尾川の390m三股を目指す。作業道跡は雑草のため鬱蒼としていて、轍の部分だけが2本の踏跡となっている。途中、昨年の台風の影響か何ヶ所か流されていて、すっかり自然の姿に戻っている。いつものことながら、自然の破壊力には圧倒される。コンタ340mの砂防ダムを前方に見ながら作業道は90°折れてさらに続く。その後さらに進むと判然としなくなり、踏跡はあきらめて沢へルートをとることにする。ここまで来ればコンタ450m三股は近い。三俣からは傾斜が増してくる。直ぐにナメ床が現れ、変化に富んだ沢相への期待を膨らませてくれる。最初に現れるのは67mの滝で、順層であり直登も楽しいが、右岸の沢形からも容易に巻くことが出来る。滝上は小さいが廊下状となっていて難なく通過できる。右岸を巻いた場合はそのまま気づかずに通過してしまうかもしれない。その後現れる34mの滝は左岸を笹や潅木に摑まりながら通過する。

今回の反省材料の一つとして550m二股の見落としがある。パーティ内で先頭になったこともあり、ついついの勇み足である。後続の八谷さんが二股を見逃さなかったため事なきを得たが、私一人であれば大きな失敗に繋がりかねないミスである。あらかじめ地形図上の小さな沢形にも水線を入れて置くくらいの下準備は必要であることを思い知らされる。

リーダーの八谷氏 ピロロヌプリ頂上から広尾岳を望む

コンタ700m付近の屈曲点は大きな二段の滝となっている。二段あわせて20m以上はありそうである。一段目は右岸を辿り、2段目は左岸寄りを登る。高度感はあるが手がかり足がかりはしっかりしている。ここを過ぎると820m二股となる。ここは左股へ入り、次の910m二股も左へ入る。水量はかなり減るが、小滝が連続する。最初の小滝を越えると標高差約50mに渡っての小滝の連続となるが、一つの滝と考えればなかなか登り応えのあるところである。概ね易しいが、ルート取りによっては微妙なところもあり、下りは一気に懸垂で下る。おまいものこさんの山行記にあるように、スパイク地下足袋でもあれば、左岸側の藪へ入ると意外に簡単に、しかも安全に下降することも可能であろう。

この50mの小滝群を越えると傾斜も緩くなり、二股毎に付けられているピンクテープ通りに進むと、やがて藪の中に沢形は消える。笹薮は背丈を越えることはないが、意外に手強い。両側に稜線を見ながら最後の一登りである。登り詰めた主稜線上は頂上ではなく、右側に100mほど藪を漕がなければならない。頂上付近のハイ松の幹には自分のテリトリーを誇示するかのようにヒグマの糞が乗っているが、広尾岳登山口付近にも真新しい糞があり、この山域は全体がヒグマの生息域のようである。三角点のある“ピロロヌプリ”頂上からは広尾岳や楽古岳を望むことが出来る。この日の十勝地方南部には濃霧注意報が出ていて、十勝平野は雲海の下に沈んでいた。(2004.7.19)

同行したEIZI@名寄さんのページへ

【参考コースタイム】 広尾岳登山口 5:30 → 450m三股 6:40 → コンタ700m屈曲地点 7:50 → 1269m峰「ピロロ岳」頂上 10:10、〃発 10:40 → コンタ700m屈曲地点 12:30 → 450m三股 13:30 → 広尾岳登山口 14:30    

メンバー八谷ご夫妻saijyo、チロロ2、EIZI@名寄さん、チロロ3(旧姓naga) 

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