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 ぺトウトルンペ山(795.8m) ・・・明治時代・道庁20万図より

二回目の山行から一週間後、初冠雪となったペトウトルンペ山

1/25000地形図幌加」「総 進」

ペトウトルンペ山の名が載った明治時代20万図(あまいものこさん提供)

 「辺止釣運瓶山」、この山の山行予定をメンバーへメールしたところ、件名の漢字を見て、中国からの迷惑メールか文字化けした怪しいメールと見えたらしく、危うく削除されるところであった。しかし、じっくり見ていると、“辺境に止まり、瓶を釣り上げ運に恵まれた”とも読み取れ、それはそれで何となく様子が目に浮かびそうで、面白い当て字といえる。正解はぺトウトルンペとのことで、明治時代の道庁20万図に登場するとあまいものこさん(甘藷山荘管理人)が教えてくれた。現代的な言い方をすればペトツルンベに他ならない。語源は「二つの川に挟まれたもの」だそうで、ペンケとパンケの両惣富地川に挟まれた山という意味だそうである。パンケ惣富地川はその後の砂金採取によって砂金沢川と名を変えている。現在、山名の名残としては、設置された三角点のみに「辺止釣運瓶」の名が残っている。この山、北竜町側から見ると尖った山に見えるが、ピンネシリ山と重なっていて見えづらい。また、新十津川市街からも手前の稜線と微妙に重なりあっていて見えづらく、浦臼側へ少し車を走らせるとやっとその頂上が確認できる。

ピンネシリ山の広い駐車場を使わせてもらう

ピンネシリ山の砂金沢コース・登山口に車を置き、少し戻るとホロカソッチ沢出合となる。水量があるので、長靴であれば、登山道から藪漕ぎで右股沢出合を目指す方が靴を濡らさなくても済みそうだ。右股沢は水量が少なく、蛇行しながら少しづつ標高を上げて行く。水流は二股ごとにぐんと少なくなりながらも、細々と続く。今回、沢の遡下降が始めての息子も同行するが、初回としてはこのくらいの方が良いのかもしれない。滝は途中400m二股を過ぎて、12mのものが一つだけ現れる。徐々に斜面が急になり、沢形は面に消える。710mコンタでのコブを目指しての藪漕ぎとなるが、登りの藪は主にイタドリと潅木で、比較的楽である。ただし、脆い斜面ではイタドリの根元につかまりながら、だましだまし登らなければならず、後続への落石には注意しなければならない。

山行中、唯一の1〜2m二段の滝

  稜線を越えると根曲がり竹の強烈な藪漕ぎとなる。登りは良いが、下りは方向を間違えてしまいそうだ。700mコル付近から徐々に標高を上げ、頂上が近づく頃には藪の丈も低くなり、視界が開けてくる。背後には滝川・砂川の市街地を望むことができる。さらに標高を上げると開けた頂上到着で、藪の濃さを考えると十分な達成感が味わえる。西側には樹木があって、神居尻山の方向は確認できないが、晴れていれば、木々の間からは群別岳を始めとする暑寒連峰を望むことが出来るだろう。また、ピンネシリはひと回りも二まわりも大きな姿で目前に現れる。あまり期待しなかった頂上展望であったが、思いのほか良い眺望には十分に満足させられた。(2007.8.19)  

  【偵察メンバーあまいものこさん、キンチャヤマイグチさん、Luckyさん、チロロ2さん、saijyo、saijyo jr

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ぺトウトルンペ山へ登った面々

ピンネシリ山の広い駐車場を使わせてもらう

ホロカソッチ川右股沢の流れは細い

 偵察山行から二ヶ月、完全に色付いた木々の葉には晩秋への気配が感じられる。アルバート・ハモンドの落葉のコンチェルトという曲があるが、秋色の光景とけっこうマッチしており、曲の真意とは別に、移り行くこの季節にはせつなささえ感じられるメロディーである。この日は曲のイメージとは打って変わり、18名もの藪山好きがピンネシリ登山口に集結、賑やかに恒例・藪漕ぎ山行のスタートとなる。登山口の駐車場は我々の車で埋め尽くされ、季節外れの賑わいを見せる。この日訪れた他の登山者には、さぞかしピンネシリ山が人気の山と映ったことだろう。だが、我々が目指すのはピンネシリ山ではなく、ガイドブックどころか地形図にさえ名がないぺトウトルンペ山で、ピンネシリ山には駐車場と登山口だけを拝借させてもらうことにする。登山道を5分も歩くとホロカソッチ川へ向けての藪漕ぎ突入地点である。

ペトウトルンペ山頂上からはピンネシリ山が大きく望まれる

 突入地点には古い倒木があり、ナメタケがびっしりと生えているのには驚かされる。いきなりのお土産に、参加した主婦層の間からは歓声が上がり、キノコに詳しいキンチャヤマイグチさん鑑定の許、山を忘れ採集に励む。二匹目のどじょうは普通はいないものであるが、この日は違う。急斜面を下り二股からホロカソッチ川右股沢へ入るとすぐに二匹目(ユキノシタ)が現れ、三匹目も現れそうな気配である。こうなると進行役の私としては山行の遅れが心配になるが、そこはベテラン揃いの18名、歩き出すと速い速い、さすがにそこらのツアー登山の団体さんとは中身が違う。大所帯とはいえ、1人の遅れる者もいない状況ではそれを口実に休憩することもままならないほどだ。桂の巨木が発する甘い香りの中、時期外れの陽気に汗を流し、下草が枯れて歩きやすくなった川原に黙々と歩を進める。

 18名のパーティが通った川原は、薄っすらと踏み跡になっている。意外な速さに400m二股を見落してしまう。読図に長けたメンバーが入っているということで、つい彼方まかせとなり、地形の観察が曖昧になってしまった結果である。次のポイントとなる400m二股を340m二股と勘違いしてしまったが、左股へ入って直ぐに最後尾にいたあまいものこさんに呼び止められる。8月の偵察山行に参加していた彼が言うには、こんな地形は見ていないとのこと。どんな時も鋭い観察力を保ち続ける姿勢には脱帽である。すぐに右股へ修正、少し進むと見覚えがある2m二段、ルート中ただ一つの滝が現れる。ここを過ぎると二股となり、水流が切れることを思い出す。フェルトからスパイク靴へ履き替えることを口実に、予定していた休憩を入れるが、パーティ全体の雰囲気としては休む気などもうとうないようである。

頂上から望む尾白利加山(左)と群別岳(右)・・・・望遠使用
頂上から尾白利加山(左)と群別岳(右)をズーム

先頭グループもしばらくは上部で止まってはいたが、しびれをきらし藪の中へ消えてしまう。どうやら、休みたかったのは私ひとりのようであった。夏場には根元にしっかりつかまったイタドリも今は枯れ草となってしまい、四足で這うように登るしかない。薮が幾分濃くなると稜線上への到着となるが、薮漕ぎの本番はここからである。帰路を考えEIZI@名寄さんが木の高い位置にピンクテープを結ぶ。GPS主流の時代にあっても、ポイントに標識を残すのは基本であり、効果的な手段であることに変わりはない。

話は逸れるが、強烈な根曲がり竹の藪漕ぎでは、油断すると顔を傷つけるどころか眼球に致命的な打撃を与える危険性があり、水中眼鏡を持参する薮ヤもいるとのこと。今後、私も反射神経が鈍ってきたと自覚したら、考える必要はありそうである。スピードダウンを予想していた強烈な根曲がり竹の藪であるが、多勢に無勢でなんのその…不安感などメンバーにはまるでなく、意外に薄いね、聞いていたよりも大したことないね等、拍子抜けするような言葉が飛び交い、みんながみんな普通といった様子で楽しんでいる。最後は強烈な薮漕ぎで展望の頂上に立つ、といった引き立て効果に期待していた私としては、あまりに淡々と進んで行く様子に、いやいや軽い軽い…と気持の中で強がるよりほかに術がなかった。三角点「辺止釣運瓶」を取り囲む面々の笑顔は、皆ピクニック気分そのものであった。(2007.10.28)  

【参考コースタイム】 ピンネシリ山登山口 735 → 710mポコ 10:05 → ペトウトルンペ山頂上 10:40 、〃11:30 → 710mポコ 12:05  ピンネシリ山登山口 1355 (登り 3時間5分、下り2時間25分)

  【メンバー 熊ぷ〜さん、sakag@函館さん、EIZI@名寄さん、Ogi@旭川さん 、八谷さんご夫妻、Akeさん、Sakakさん、kobayaさん、橘井@枝幸さん、fujimoto@低山大好きさん、スガワラ@北野さんご夫妻、あまいものこさん、Luky@美唄さん、キンチャヤマイグチさん、marboさんsaijyo

 【参加した皆さんから写真を頂きました】
    ぺトツルンベ山頂上にて一息(Akeさん提供) 回収出来ず・・・・ツリーイングをサボった付けが・・・ (スガワラ@北野さん提供)

ルートを間違え、相談する参加メンバー (fujimoto@低山大好きさん提供)

道なき道を進む  (fujimoto@低山大好きさん提供)

沢中にて休憩のひと時(fujimoto@低山大好きさん提供)
sakag@函館さんのペトツルンベ山へ EIZI@名寄さんのペトツルンベ山へ あまいものこさんのペトツルンベ山ヘ
marboさんのペトツルンベ山へ lucky@美唄さんのペトツルンベ山 yoshidaさんのペトツルンベ山へ

 

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