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   ペタヌ山(460.8m)

車窓からペタヌ山を望む

1/25000地形図 「礼文華峠」「豊 浦」

道央道の函渠を潜って林道へ
作業道跡を見失った地点から目指すペタヌ山が見えた
ペタヌ山の頂上台地へ向けて黙々と進むメンバー

ペタヌ山、思わず力が抜けてしまいそうな山名であるが、低山とはいえなかなか登りづらい山であった。ペタヌはアイヌ語で二股を意味するらしく、道内随所に見られる二股山を和名としなければ、全てがペタヌヌプリとなっていたのかもしれない。ペタヌ山はそんな意味では珍しくない山名である。この山は、最初はなめてかかっていたこともあって、金山との一日二山で考えていた。それというのもgoogleの航空写真では明瞭な林道が西側にあり、それに入ることさえできれば山懐深くに車を乗り入れることが可能と思っていたからだ。だが、実際に偵察したところでは、道路の回りの植生が薄いということのみで、林道自体はかなり荒れている様子。しかも採石場との関連でゲートがあって行き止まり、同じ道道からのスタートであれば、地形図に載っている“ゆっくり歩きで低山を楽しむ”山ちゃんの辿った林道の方に分があった。山ちゃんの山行記を参考に豊浦のホーマックニコットで剪定鋏を購入する。もちろん、これはツルによってにっちもさっちも行かなくなったときの対策である。

  先日、金山の帰りに偵察に入ったIkkoさんによれば、車は道央自動車道下の函渠へも届かなかったとのこと。であれば実質道道32号線からのスタートといっても良い。藪山ピークの落とし方として、いかに作業用の道路跡を利用するかも大事な要素である。そう考えれば、アドバンテージなしの真向勝負となる。とりあえずは地形図上の点線で表記された林道へと入る。もちろん、80万キロ以上を走破した百戦錬磨のIkko車ですら止めてしまった林道など普通車で入れるわけもなくなく、単に駐車スペースの確保のためであった。

 確かに駐車スペースの先では雨裂が往く手を塞いでいた。だが、歩きとなれば話は別で、しばらくは“一級国道”が続く。山ちゃんが挑んだ6月では時期が悪い。雑草達にはこれからという勢いがあり、薮蚊やヌカカも一番元気の良い時期である。ましてやうるしが勢いを増す時期でもあり、とてもそんな時期に向かう山ではない。とは言っても、我々が同じ時期に向かっている別の山も大差はなく、単に山名の違いくらいかもしれない。この日は一昨日に初雪が降ってしまい、マイナス要素としては1つ加わってしまった格好だ。それでも、雑草は枯れているので、当面の敵は笹薮のみである。林道は順調にコンタ130mの二股へと続く。笹薮漕ぎとなったのはそこを過ぎたあたりからで、それでも作業道跡らしき残骸も見られ、それなりには快調に進んで行く。

背後には神々しく内浦湾が見えた (Ikkoさん提供) ズームで撮った幌扶斯山
金山(一番右)も望むことが出来た (Ikkoさん提供) Ikkoさんが見つけた三角点を囲む面々… ペタヌ山頂上にて

 途中、作業道跡を見失う。もう終わりなのか、単に見失っただけなのかが判らない。一見歩きやすそうだったのが沢で、地形図上の点線も沢沿いなので沢へと向かうが、深雪が被った枯れ草が覆っていて歩きづらいことこの上ない。右岸側に平らな地形があったので偵察に斜面を上がってみたが、道らしき形跡はやはり左岸側にありそうな様子。結局、再び左岸側の斜面へと登り返す。藪漕ぎの途中で作業道跡を見落としていた。その後はわりと明瞭になって、ペタヌ山の南斜面を巻くように続いていた。頂上へはどこから取り付くかである。結局、回り込んだ先の緩い斜面から笹薮へと突入する。

 笹薮にツルが絡んで歩きづらいのは確かだが、それほどではない。斜面の傾斜が徐々に増してくる。最近この手の山行が多いためか、ここの籔が標準的と感じられるのは単に慣れからかもしれない。内浦湾を見れば、雲間からの日差しが筋となって海面を照らし、聖書の挿絵のような西洋風の神々しい光景を作っている。先日登った幌扶斯山は正に倉の連なり、とても400m程度の低山とは思えない眺望が広がっている。上り詰めた地点でメンバーが集まり立ち止まっていた。頂上到着!… 一瞬嬉しくなったが、単に待っていただけ、さらに頂上台地上を歩かなければならないようだ。歩くこと10分、少し高くなった広い籔の中で頂上到着となる。だが、ここからが勝負、三角点の確認作業である。

 いつものようにメンバーが散らばって三角点探しの開始である。薄っすらと積もった雪面から標石を発見するのは容易ではない。私のGPSはみちびき対応なので、画面を思いっきり拡大、三角点マークの中に現れる小さな丸に照準を合わせる。後で考えれば、ちょっと機械に頼りすぎだった。探すこと15分、Ikkoさんのストックの先がカチッと標石を捉える。砂漠の中から針でも拾うような話だった。彼は設置者の目線から常識的に考えていたのだろう。過去の幾多の頂上標石を考えれば、経験則上からも自ずと設置場所くらいは想像されて然るべきであった。

大西山到着の証拠写真

  下山はどこを降りても同じ、頂上から真っ直ぐに下降することに決める。けっこうな急斜面の下りとなるが、笹にさえ掴まっていればどこでも降りることは可能である。初雪が降るこの時期の濡れ対策としては、セブンイレブンで売っている緑色のゴム手を持ってきたが、さすがに雪の付いた笹籔では冷たさこの上ない。やはり、もう一枚薄手の手袋がほしかった。案の定、途中からはツル植物に行く手を阻まれて、動きが完全に止まってしまった。やはりこの山のツル植物は一筋縄では行かないようだ。さてさて、いよいよ秘密兵器の登場である。ツル植物には滅法強く、カマや鉈の比ではない。やはりこんな場での剪定バサミは実に効率が良い。

 豊浦町には七つの名が付いたピークがあり、下山後は車道のすぐ横に三角点があるという大西山へと向かう。Ikkoさんが以前に登頂したピークで、この日は皆の案内のために二度目の登頂とのこと。このピークの直ぐ横を通る林道は走りやすく、普通乗用車でも難なくピークまで走ることができた。カーナビにも大西山は載っているので、ルート案内も可能だろう。三角点設置の場所は道路脇の単なる茂みに過ぎないが、道路も含めた山全体を見れば立派に大西山である。何はともあれ、このピークにて、豊浦・全7山登頂にリーチがかかった。あとは小花井山を残すのみである。(2014.11.16)

参考コースタイム】  道央道手前 P 7:25  ペタヌ山頂上 10:40、〃 発 11:10 → 道央道手前 P 12:50 (登山時間 登り3時間15分、下り 1 時間 40分)

メンバーIkkoさん、遠山さん、mocoさん、saijyo、チロロ2

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