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      ペラリ山(718.5m)

 

日高の牧場とペラリ山

/25000地形図ペラリ

作業道跡が続くが、2箇所で崩壊しているので車は通れない
登山口には広い駐車スペースがある
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登山口には立派な標識も・・
この時期、オオサクラソウが咲き乱れる

  ペラリ山、実に面白い山名である。語源はアイヌ語の「高い崖」というのが有力のようだが、正確なところはよく判らない。現代感覚で考えれば、坊主山とか木無山の極まった姿をつい想像してしまいそうな名前である。この山が登山の対象となったのはそんなに古い話ではないようだ。日高山脈の展望の山として名高いピセナイ山への道路が崩壊、同じ山域内にあるこの山に白羽の矢が立ったとのことである。確かに、この山へのアクセスでは崩壊しそうな場所もないし、登山ルート自体も既存の作業道や集材路を利用すれば、短時間で作ることが可能だったと思われる。ただし、頂上の展望をピセナイ山と比較するなら、位置的なものや標高、樹林が邪魔することなども含め、やはり見劣りすることは否めない。

 火曜日という平日休みでもあり、札幌からの日帰り登山ということで、割りと短時間で登ることができるこの山を選ぶ。桜の開花は盛りを終え、変わって八重桜が満開の時期へと季節は移る。新緑の濃さが少しずつ増し始める晩春の道道111号を一路、静内ダムへと向って車を走らせる。ただし、ダムまで進んでしまっては行き過ぎで、道路地図を見ながら「御園」を過ぎた辺りで右折する。ここからが難しい。途中の案内板の隅に「ペラリ山へ」と手書きで書いてあったので何となく方向は判るが、途中で間違えてしまい行き止まりとなる。やはり下調べくらいはすべきであった。仕切り直しで怪しげな道路を進んで行くと、さすがにガイドブックにも登場する山、登山口には立派な標識が立っていた。

 登山口からは作業道跡を歩いて進む。さすがに平日とあっては他の登山者は誰もいない。眼下には緑の牧草地が広がっており、いかにも平野と日高山脈との境目といった感じである。作業道跡は途中二箇所で崩壊している。道路脇から見下ろすとつい目が眩みそうである。だが、たとえ落ちても慌てなければ直ぐに止まりそうな傾斜ではある。周囲は太平洋岸のみに見られるミヤコザサが繁っており、その柔らかな生え具合はまるで公園の芝生のような光景を作り出している。ついついその中へ写真を撮りに入ってみるが、ズボンには早速マダニが這っていた。これからの季節、ダニの確認作業だけは何を置いても優先しなければならないようだ。

下草はミヤコザサで、柔らかな光景を作り出している 登山道は尾根上、斜面を横切っているのは作業道跡
ペラリ山への最後の登り 天測点とペラリ山頂上

 歩き始めから45分で再び登山口の標識が現れる。ここまで、地形図上では歩道を示す点線となっている。504mポコへと、この作業道跡が続いているものと思っていたが、この点線の続きは新たに刈り分けられた登山道となっており、作業道跡はそのままさらに奥へと続いている。地形図上の登山道はあまりあてにはならないというのが登山界の常識ではある。地形図なのだから、林道や登山道が多少曖昧な記載であっても問題とはならないのかもしれないが、ハンディGPSが普及している現在、もう少し正確であっても良いのではないかと思う。もっとも、これだけ判りやすい標識が立っていて、ここで間違える登山者などいるはずもないが。

 きれいに刈り分けられた登山道は504mポコへと続き、俄かに山登りの雰囲気となる。登山道は地形図上の点線が示すように右から左へと巻くように続いていて、山行中一番の急登が楽しめる区間でもある。30年も山をやっていると自ずと自分のペースを知るもので、504m頂上へは意外と簡単に到着する。林間にはペラリ山頂上が見え、誰もが一息入れたくなるポイントとなっている。登山道は美しい疎林の中を一旦鞍部へと下り、さらに頂上へと向かって行く。途中、何度か集材路跡に出る。先ほどまでの作業道へは当然つながっていると思われるが、すべてが作業道と集材路のみであれば登山ルート自体がつまらないものになってしまうだろう。その点、この山のルートデザインはそれなりに考えられた感じがある。沿道にはオオサクラソウが咲き乱れ、こんな光景が楽しめるのもこの登山道ならではといえる。

最後は頂上へ向って一直線である。登りきるとまず天測点の大きな箱型の標石が迎えてくれる。道内には数箇所設置されたそうだが、電子基準点が主流となった現在では既にその任を終えたようで、心なしか寂しそうにさえ感じられる。私が出会った天測点は馬追山に続き2箇所目である。その少し先に一等三角点がある。さらに続く尾根上は歩きやすそうなミヤコザサに覆われていて、つい日高山脈の展望を見に行ってみたいと思ったが、間違いなくマダニの餌食になりそうなので止めることにする。横山三山は頂上まで進んでしまうと樹木に邪魔され見えづらく、全容を眺めるにはちょっと手前あたりが丁度よい。

 ホームページを立ち上げてから277山目となった。札幌近郊では登っていない山を探し出すことが難しくなったというのが本音である。樽前山、風不死岳、恵庭岳、小漁山、積丹岳、後方羊蹄山など、未だUPしていない山もあるが、どれも以前には登った山ばかりである。ガイドブックでいつもお目にかかっていても、今回のペラリ山やピセナイ山など、一度も登っていない山はやはり新鮮そのものだ。多少遠くても、登山道があれば目的の山へは短時間で登ることができる。ガイドブックを埋める登山があってもよいのではないだろうか…そんなことも考えさせるペラリ山行であった。(2009.5.19)

【参考コースタイム】ペラリ山登山口 9:35 二つ目の登山口標識 10:20 → ペラリ頂上 11:10、〃発 11:50 → 二つ目の登山口標識 12:15 ペラリ山登山口 12:50  (登り 1時間35分、下り 1時間)

メンバーsaijyo、チロロ2、m.saijyo

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