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    ペンケヌーシ(1760.1m)

穏やかな山容のペンケヌーシ岳を望む

1/25000「ペンケヌーシ岳」

南峰(1733m)標高点にて
花びらが黄色く透き通るキバナシャクナゲ
南峰(1733m)標高点にて
入山口の滝は融雪のため見事な瀑布となっている
しばらくは判然としない登山道を進む
ペンケヌーシ岳南峰とチロロ岳

ペンケヌーシ岳は北日高の支稜線上にあり、日高山脈の中では高峰といえる。1700mを少し超える山であるが、山容はおとなしく、日高特有の急峻さはない。最も一般的な登山口である六ノ沢林道終点が既に1100mを超えているため、標高差は600mくらいしかないが、高いだけに高山植物は豊富である。地元日高町では比較的手頃なこともあって、町民登山の山として利用している。アプローチであるパンケヌーシ川沿いの林道は台風や大雨の度に必ずと言ってもよいほど寸断されるが、それほど自然が豊富であると言える。この林道から登れる山としてはこのペンケヌーシ岳をはじめ、チロロ岳、ルベシベ山、止別岳、春別岳、雲知来内岳など数多く、北日高の山々への一つの拠点となっている。

チロロ岳の登山道がある曲がり沢、ルベシベ山へのアプローチである五ノ沢を過ぎ、次の六ノ沢がこの山の入口である。六ノ沢林道は傾斜があり、落石も多く荒れ気味であるが、終点の滝近くまでは車が入る。今年の道内の山は残雪が晩くまで残っており、そのせいか入口の滝は見事な瀑布となっていて驚かされる。前回訪れた10数年前のこの林道は整備されたばかりだったのか、滝の上まで車が入り、登山口が広場となっていて仮設トイレなども設置されていた。夏山ガイド(北海道新聞社刊)も創刊されたばかりの頃で、初めてガイドブックに登場したこの山は、高山植物の女王と言われているコマクサが見られる山とのことから“花の山”といったイメージが広がり、週末毎に多くの登山者で賑わっていた。

今年の豊富な雪渓を辿って、普段では容易に入れないこの山の南峰を踏むのが今回の主目的である。沢沿いの踏み跡程度の登山道は所々に雪渓もあって判然とはしない。登山道を気にしなければ全く問題ないが、必要以上に付けられたピンクテープにはついついそれを意識させられる。途中で横断する二箇所の林道までは以前と比べ多少明瞭化している感じである。何度もの渡渉を考えると、登山靴では少々不便である。この場合、濡れることが前提の沢スタイルの方がはるかに機能的かもしれないが、上部で現れる雪渓歩きを考えるとそうも行かず、結局“水陸両用”のスパイクシューズを選択する。

標高が上がって行くにつれ、雪渓の占める割合が増してくる。雪渓の踏み抜きを避けるため、傾斜のある藪斜面側を歩く。特に流れの上の雪渓は注意しながら標高を上げて行くと源頭部となり大雪渓である。濡れたスパイク靴の冷たさに我慢しながら、利かないキックステップでさらに大雪渓を登って行く。結局、南峰の岩峰の基部付近まで雪渓は続いていた。岩峰付近はよく例えられる日本庭園のようであり、コケモモがじゅうたんとなっていて、その中に咲き乱れるキバナシャクナゲの黄色く透明感のある花びらが美しい。岩峰が地形図上の1733m標高点である。見回すと周辺はもっと高く見えるから錯覚とは恐ろしいものである。とりあえずは、高く見えたコブまで行って休憩とするが、やはり標高点のある岩峰が明らかに高い。付近はペンケヌーシ本峰と比べ、高山の趣きを感じさせてくれる別天地である。

ペンケヌーシ岳本峰頂上にて 遠くウェンザル湖を望む

南峰からは出来るだけ雪渓をつなぐようにルートを考える。同行の八谷氏は登山口で雪渓の様子をデジカメに収めていたが、これは現地に入ってから残雪利用のための参考となるそうである。デジカメの便利性を生かした上手い使い方である。一部ハイマツ漕ぎとなるが、直ぐに雪渓へ出て難なく登山道に合流する。この山の登山道は上部では明瞭である。キバナシャクナゲを楽しみながら緩い登路を辿り、立派な標識の立った頂上に到着する。南峰の背後にはチロロ岳、それに続くルベシベ山への日高特有の山襞が美しい。また、春別岳の北面の荒々しい姿が見事である。

7〜8年前であるが、このペンケヌーシ岳へのウェンザル川三の沢からの登山道開削の可能性を探り、北面からの登頂を目指したが、かなり上部まで作業道、集材路が入っていたのを覚えている。集材路最上部まで辿り着き、そこから藪を漕いだが強烈なハイマツ漕ぎとなり登頂は断念している。今回は雪渓が頂上直下まで続いており、ウェンザル側からのアプローチも楽しかったかもしれない。遠く眼下に日高町の知られざる人造湖・ウェンザル湖が美しく映っていた。(2005.6.19)

【参考コースタイム】 六ノ沢登山口 8:50 → ペンケヌーシ岳南峰頂上 11:10、〃発 11:35  → ペンケヌーシ岳頂上 12:30、〃発 13:00 → 六ノ沢登山口 14:45

メンバーhachiya、M.hachiya、saijyo、チロロ2

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