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      毛山(811.2m)

 

/25000地形図  「文 珠」

林道はしっかりしていて、予定の地点まで車を乗り入れることが出来た
木々の葉も落ち、尾根筋も歩きやすい

“辺毛”が、道内では多い地名“ペンケ”の当て字の一つであることを、山行前日にsakag氏(一人歩きの北海道100名山)と話をするまで気付かなかった。“ペンケ”にはエキゾチックな響きがあるが、“辺毛”となると辺境で不毛なものを想像させる。一方、割と一般的なところで“弁華”というのもあるが、こちらは少し豊かなイメージである。いずれにせよ語源は同じ「上手にある・・・」と思われる。

11月という1年で最も山域選択の難しい時期である。選択の条件として、アプローチの林道がしっかりしていて積雪前で通行可能なこと、沢歩きになっても長靴で歩ける水量であること、そのためには上流部からの入渓であることなどが挙げられる。この山はリンクルミリオンの道路地図(1000)とインターネット「国土地理院・地図閲覧システム」を利用して探し出した山であるが、上記の条件に適った1山だった。3週間前に通った道道115号(砂川〜芦別線)から入る林道がアプローチとなるが、この道道は11月に入ると降雪の有無に関わらず閉鎖となってしまう。滝川の土木現業所に問い合わせてこのことを知り、あわてて国道452号からのアプローチに変更した。幸運なことにこちらには途中に採石場があり、少なくてもそこまでは入れるだろうと考える。そこから予定の入渓地点までは少し遠いが、歩いても届く距離である。

辺毛山の頂上は樹林の中である やっと見つけた、辺毛山二等三角点
三角点と間違えた市町村境界の標石 頂上の北側はすっかり雪化粧である

この林道に実際入ってみると道幅が広く、路面の凹凸も綺麗に埋められ、ダンプカーも頻繁に入っているようである。ひょっとしたら冬期間も除雪されていて、周辺の山々の冬期間のアプローチとして使える可能性が高い。結局、採石場を過ぎて道は少し狭まり、多少荒削りにはなるものの、入渓地点までは意外に簡単に車を乗り入れることが出来る。

入渓予定の沢は水量こそ少ないが、薄らと雪化粧した状態ではさすがに長靴でも遠慮したい気分である。木々の葉もおおかた落ちて歩き易そうに見えるので、藪尾根にルートを変更する。標高差300mでは、沢詰めの最期の藪漕ぎとあまり変わらず、登頂へのおいしい部分のみの山行である。スパイク長靴のピンはしっかり地面に刺さり、ぐんぐん標高を上げて行く。薮は薄く、所々鹿道もあり歩きやすい。西高東低の典型的な冬型の気圧配置のため12月中旬並の気温であり、小雪が舞って視界は利かない。時々山影は見えるが、もともとが無名に近い山域であるため、番ノ沢山くらいしか判らない。途中に“シカの寝床”と思われる、雪が丸く融けて土が出ているところがある。林道入口に狩猟可能地区の標示があったが、普段は人のあまり入らない、野生動物の楽園なのであろう。前方が明るくなり、約1時間で樹林の生い茂った頂上である。

この頂は上砂川、歌志内、芦別の3市町村の境界となっているためその標石があり、三角点と間違える。真ん中の十字が対角線状に入っているのが腑に落ちず、納得できる三角点を手分けして探すが、なかなか見つからない。結局、見つかった場所は最初にあるはずであると思ったところの直ぐ横であった。落ち葉の下に隠れていて、表面が地面と同じ高さであるため、足には引っかからなかった。

ガイドブックにない山の楽しみ方は、山選びとそれをどう攻めるか計画することで大半を占める。そう考えると十分に満足できる一山であるが、単に登山の対象として考えた場合、やはり“弁華”よりも“辺毛”の方が当っている感じの山である。(2003.11.9)

「一人歩きの北海道100名山・辺毛山」へ

【参考コースタイム】 尾根取付き 7:50 → 辺毛山頂上 9:00、〃発 9:20 → 尾根取付き 9:50

メンバーsaijyoチロロ2、nakayama、sakag氏

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