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    辺計礼山(732.3m) ・・・ ダニは多いが明るい山 

  

    

阿寒横断道から計礼山

1/25000地形図 辺計礼山

シカ柵前に車を置いてスタートする
作業道跡を利用した登山道は広くて快適

  弟子屈市街の西側には美羅尾山、辺計礼山、志計礼辺山など、10山程度の名の付いた山があるが、いずれも低山で特に目立つ山がない地味な山域となっている。よほど登る山が無くならない限りこの山域を訪れることはないだろうと思っていたが、辺計礼山については阿寒横断道の途中に小さな標識があり、以前からここを通る度に気にはなっていた。気にはなっても弟子屈は札幌から遠く、運転嫌いな私がこの山のみを目指して車を走らせるのは効率が悪く、なかなか実現とはならなかった。今回は定年退職で時間が出来たこともあり、思いきって行ってみることにした。因みに、山名のペケレはアイヌ語でペケレ(明るい)エワ(高台)とのこと。この名が示す明るいイメージが良い。

 Web上で見ていたシカ柵で登山口となる。重なるように林道ゲートがあるが、こちらは施錠されているので森林管理署の許可が必要のようだ。仕方がないのでシカ柵の前に車を置いてスタートとする。少し余計に歩かなければならないが、右手に新緑の牧草地が広がり、これはこれで気持が良い。45分ほどで登山口に到着、ここから折り返すように続く作業道跡を利用した登山道へと入る。そもそもが作業道跡なので道幅が広くて歩きやすい。ちょっと前に歩いてきた林道が見る見る小さくなって行くので、それなりに傾斜があるのだろう。倒木に塞がれているところを1ヶ所、崩れている部分を1ヶ所通過する。

途中から尾根筋となる  ダケカンバが美しい ここから沢筋の道となり、ぐんと標高を上げる
途中から尾根筋となる  ダケカンバが美しい ここから沢筋の道となり、ぐんと標高を上げる

 そうこうしているうちに大きなカーブとなり、登山道はここから沢形の中を一直線に上部へと進む。因みに作業道跡はカーブからさらに先へと続いているが、無雪期であれば藪が覆っており、間違って進んでしまうことはない。辺りは新緑のカラマツ林で、整然と並んでいる様子は実に美しい。一方、登山道は枯れて黄色くなった笹が少し被り気味になり、よく見ればマダニがズボンを這っていた。払っても、少し歩くとすぐに数匹が這う状態だからたまらない。今年もまた、この時期に入ったのか・・・巡る季節、これは避けようがない。ストックで笹をたたきながらの登高となる。この日の中ではこのあたりが一番ダニの多い区間だった。

 ルートは沢形から斜面をトラバースして尾根へと取り付く。ダケカンバの白さと黄緑色の笹、青い空とのコントラストが美しい。そんな中を九十九を繰返しながら徐々に標高を上げて行く。進む距離の割に標高が上がらないのには少しイラつく。登山でもあり、できればもう少し急な登りがあっても良いのではないかと思うが、言っても仕方のないこと。ショートカットと行きたいが、ここは籔山ではないので、勝手に踏み跡を作ってはならない。

頂上の一等三角点「邊計禮岩」
一等三角点「邊計禮岩」と金麦

  尾根に入ってからは展望が開け、少し登山の醍醐味が感じられるようになる。晴天ではあるが、遠くが霞んで、道東の名立たる山々が見えないのが残念だ。ここ数日の晴天続きが影響しているのだろう。登山道の近くには遅咲きのエゾヤマザクラが見られ、道東の山にも遅い春がやって来たことを感じさせてくれる。登山道はコンタ680mポコを巻くように頂上へと向かって行き、長い登りは概ねここで終了となる。コンタ690mを巻いたところでこの日始めて頂上が見えた。一見遠そうだが、距離は300mもない。いよいよ辺計礼山に王手と、ここでひと息入れる。

この日一番多かったミヤマスミレ 遅い春を感じさせるエゾヤマザクラ

 休憩地点から15分ほどで難なく頂上に到着。ぐるり360°の開けた展望は感動ものだが、はっきりと見えるのは隣の美羅尾山と眼下に広がる牧草地くらいのもの。とりあえずは晴天に恵まれたことで良しとしよう。標石は大きな一等三角点で、久々に見るとやはり巨大に感じる。裏辺計礼山へも足を伸ばしたいところだったが、マダニの動きが気になる時期でもあり、ダニに喰いつかれてまで今すぐに狙う必要などない。ともあれ、チロロ2さんが居ることでもあり撮影用の金麦で祝杯!とする。

 今回、道東自動車道を利用して驚いたのは、白糠どころか阿寒までつながっており、目指す弟子屈がぐんと近くなっていたことだ。こうなれば気分的にもかなり楽になったので、今後は是非ともこの周辺の小さな山々にもダニが静かになる頃を見計らって訪れてみたい。(2016.5.20)

参考コースタイム】シカ柵ゲート P 8:30 辺計礼山登山口 9:15 辺計山頂上 11:30 、〃発 12:10 辺計礼山登山口 13:40 シカ柵ゲート P 14:10 (登り3時間、下り2時間 休憩時間を含む)    

メンバーsaijyoチロロ2

**山行写真**

新緑の時期、登山道からのカラマツ林が美しい

ここから15分で待望の頂上

頂上風景 全体に霞んでいて美羅尾山くらいしか見えなかった

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