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    班毛山(722.1m) ・・・ 旧下川鉱山の奥に位置する山 

 

パンケ越峠から班毛山を望む

1/25000地形図 新下川

              頂上を目の前にして、Ikkoさんとmocoさん
  鬱蒼とした林道の先に凸スペースが出てきて助かった
   水が切れてからは笹薮こぎとなる(mocoさん提供)  
     頂上から望む札滑岳(奥)と蕗の山(手前)

 マイナーな山へ行く場合、その多くはアプローチとなる地区が以前は栄えていたが今は廃墟といった例が多い。その多くが産業構造の変革によって閉山、離農等で人々が去ってしまったというものである。班毛山も同様であった。班毛山(ぱんけやま)は奥深い山で、アプローチをどこからとするかでけっこう悩まされた。道道101号(下川愛別線)から入る落合の沢からのルートはgoogleの航空写真では南側で植林作業をやっているようだが、その現場からピークまでは長時間の籔漕ぎを強いられそうだった。しかも、南西側の籔が濃いのは経験からも推測できる。そこでIkkoさんが提案してきたのが、旧下川鉱山側からの北面から登るルートである。下川パンケ川上流の林道を使うことができれば至近距離まで近づくことが可能で、北面であれば藪も薄いと思われた。

 下川鉱山は今も後処理のために、少数の人員で管理されているらしいが、その奥の旧住宅街はルピナスのみが群生しており、人々の生活の場が消えてしまったことを印象付ける。舗装道路には横断歩道の消えかけたペイント、継ぎ目には雑草が繁殖、旧住宅跡地は今や完全に森林帯と化し、最盛期には3000人もの人達の生活の場となっていたとは思えない雰囲気であった。旧住宅街の道路終点がこの日の山行のスタート地点だ。悪路には滅法強いIkko車に便乗して怪しい林道をスタートする。Ikko車がなければ、こんな時期にこの山をやろうなどとはならないだろう。

 どこで崩れているか判らない林道を進み、さらに鬱蒼とした支線林道へと入る。崩れかけたぎりぎりを車幅いっぱいで通過、轍さえもフキの葉で覆われた道をさらに奥へ奥へと進んで行く。Uターン地点はどうするんだろう? そんなことを心配しながら進んで行くうちに以前は凸帯だったと思われる草地に出る。息を殺して見入っていただけに、正直、ホッと一息だった。予定の取り付きまでは200m程度、十分過ぎる到達地点である。こんな山行ではアプローチが核心部、これで班毛山は“こっちのもの”と思えた。

 取り付き地点で橋が完全に崩壊、手前で車を止められたのはラッキーだった。班毛山北面に消える小沢を予定ルートとしているので、橋の残骸の手前に小さな二股を見つける。現在地そもそもが上流であり、さらにルートが小沢とあっては流れはかなり細い。この流れでは長靴で十分、背丈ほどのフキやイタドリに覆われた様子は密林探検さながらである。土管が放置状態で現れたが、おそらく先ほどの橋が崩壊した時に、この枝沢に流れ込んで閉じ込められたのだろう。少し進むとかなり古そうな砂防ダムが突如現れ、堰堤の端からダムの上へと抜ける。流れはその後も細々と続き、地形図には表現されていない二股を二つ通過して完全に斜面に消える。

       三等三角点「班毛山」と金麦
       班毛山頂上にて(mocoさん提供)

 いよいよここからは籔斜面である。籔は道北特有の濃いイメージはなく、やはり北面というのが良かったのかもしれない。先頭を行くIkkoさんは、昨夜は遅くまで飲んでいたこともあって、いつもの元気はない。もっとも、それでちょうど私とのバランスがとれるというもの。斜面はけっこうな急傾斜、振り返るとそれなりに山並みが広がっている。ここから見える名のある山は「蕗の山」くらいのもの、実にマニアックな山旅である。我々は下草が比較的薄い樹林の下にルートを取るが、右側の緩い沢形には背は低いが寝曲がり竹が密生している。数メートルの違いで使うエネルギーに大きな差が出るものと思いつつIkkoさんを追う。距離的には短いので見る見る標高が上がり、蕗の山の山塊の右側に札滑岳と思われる見事な山容が姿を現した。藪の向こうは空の気配、あと少し! その辛い時間帯を乗り切って稜線へと飛び出した。(v^ー°) ヤッタネ!

 飛び出た稜線は頂上の少し左側だった。あとはGPSを使ってピンポイントで三角点を探し出す作業である。今のGPSは精度が高いので、簡単に見つかるものと思っていたが、目的地到着となってもなかなか見つからない。少々焦りを感じたが、mocoさんの「あった!」の声にホッとする。見ると標石は地面すれすれで顔を出しており、落葉に隠れていたとのこと。頂上到着は明らかだったが、この確認はやはり1つのけじめである。

 下り、頂上から真っ直ぐに取り付き地点の小沢を目指す。頂上直下は草地の雪崩斜面であった。ピンポイントであれば、ここを通っていたのだろう。藪が無い分こちらが楽だったかもしれないが、つかまるもののない微妙さがある。林道に止めた車まではわずか50分ほど。何ともあっけない下降となる。パンケという山名の平凡さ、山の位置する奥深さや標高を考えれば、低山への強い拘りがあるIkkoさんがいなければ凡そ目指すことのなかったマイナーピークである。そんな意味では貴重な一山ゲットとなった。(2016.6.12)

参考コースタイム】林道 P 9:30 → 班毛山頂上 11:20、〃発 12:15 登山口 P 13:05 (登り 1時間 50分、下り 50分 休憩時間を含む)    

メンバー】Ikkoさん、mocoさん、saijyo

 

 **山行写真**

かなり鬱蒼とした小沢出合付近

小沢を往く (Ikkoさん提供)

倒木地点で小休止

急斜面を登る (mocoさん提供)

班毛山頂上に到着

正面は無名ピーク  右手に札滑岳と蕗の山 (Ikkoさん提供) 

景の山並の右端がウエンシリ岳 / 班毛山頂上から (Ikkoさん提供) 

 

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