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      乙部山(837m) 

  /25000地形図「乙部山」

大和牧場の一角に車を止めさせてもらう
アプローチの大和牧場を振り返る

 「乙部山」は道内には2山あり、檜山地方にある方が登山者には良く知られているが、こちらは“おとべ”とは読まず、“おつべ”が正解のようである。士別市の南東に位置し、山麓には市営の大和牧場が広がっている。道北の内陸部に位置しており冬期間の気温はかなり低く、そのため雪質は抜群でスキーツアーには格好の山と思われる。ただ、山域の広さの割りには標高が低いこともあって、ルートの取り方によってはほとんど滑る斜面がないのも事実である。

稜線上は広い広葉樹林帯

 この山は登山人口の少ない地域にあり、登山道がないことや山容が目立たないこともあって、あまり登山の対象とはされていないように思う。道央在住の登山者であれば、おそらく知名度があって、ある程度の標高もある天塩岳周辺の山々を目指すだろう。そんな意味ではこのを目指す登山者は余程の変わり者かマニアックな岳人と言えるのかもしれない。以前に地元の山岳会が士別市の境界一周を踏破したという記事を見たことがあるが、もちろん地元の山岳会であり、この乙部山は同市の最高地点でもあるので、当然と言えば当然の話だと思う。今回は道北の山々を精力的に踏破している、EIZI@名寄さんの計画に便乗する形でこの山を目指すことにする。

  大和牧場は冬期間、無人となっているようだが、牧場の施設へ通じる道路は除雪されていた。この牧場では近隣の農家からの家畜を夏期間に預かり、放牧しているそうで、冬期間は閉鎖となっているらしい。施設群の片隅に車を駐車させてもらい、建物の裏手から予定している尾根を目指すことにする。朝方晴れていた空模様も出発時は降雪状態となり、大きく崩れる心配はないが気分的には今ひとつである。進んで行く途中、銀川を渡ることになるが、谷は深そうで簡単には渡れそうになく、上流の渡渉可能なところを探すことにする。途中、ふと見ると幸運なことに橋が架かっているようにも見え、近づいてみると牧場内の連絡道路があり、立派な橋が架かっていた。

 牧場内の広いスキー場のような斜面を登って行く。尾根上まで上がると樹林帯となり、コンタ590m付近までは傾斜のある斜面に一汗かく。コンタ590m付近からは広く緩い斜面が続く。途中何回か緩い下りもあり、帰路は巻いた方が良さそうである。とは言え、概ね緩い登りが続く。 665m標高点の付近からは天候も回復し、日も差し始める。背後には日の照った上士別付近の平野が広がっている。

斜面の途中から頂上方向を望む
稜線上は広い広葉樹林帯 乙部山頂上に到達

 左寄りに針路を取り、稜線を目指す。コンタ820m付近で広い稜線上となるが、展望は利かない。ただし、新雪の被った木々の枝々と冬特有の澄んだ青い空とのコントラストが実に幻想的で美しい。ここから665mにかけての斜面がこのルートの中では一番スキーが楽しめる斜面である。

 稜線上はあまり特徴のない地形で、広葉樹林の疎林である。目指す頂上の特定は難しそうである。地形図を見る限りでは、緩いコル状の地形の向う側が頂上のある丘であることには間違いないが、ピンポイントでの特定はGPSに頼る外ないようだ。途中、20〜30m手前に少し高そうな頂上らしき地点を通過するが、目指す乙部山の頂上はもう少し先にあり、樹林に囲まれた何の特徴も無い広い平地である。後で地形図を拡大して見てみると、確かに837m標高点には正確に到達しており、改めてGPSの威力には驚かされたが、地形図上で見て、尾根の集まり方、コンタの形から判断して、一番高い地点はどうやら最初に通過した20〜30m手前の地点のようであった。

 特徴を挙げることが難しい山ではあったが、やはり自分にとっての新山域は大変興味深く、初めて訪れた頂上は新鮮味という点ではどんな名峰にも勝るものがあった。(2004.12.26)

EIZI@名寄さんの山行記録へ

【参考コースタイム】市営大和牧場 7:40 → コンタ590m付近 9:20 → 乙部山頂上 10:55、〃発 11:20 → 市営大和牧場 12:25

メンバー】 EIZI@名寄さん、saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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