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       オロフレ山(1230.7m)

ライバスキー場からオロフレ山 (苫小牧/泉田氏提供)

 1/25000地形図  「カルルス温泉」

林道に入ってすぐに積雪で路面を塞がれる
雪に埋まった林道を進む
雪に埋まった林道を進む
間違って入った崖地形
平凡な疎林帯を695m標高点目指して進む
695m標高点から769m標高点までは平な地形となる
人気の1049mピーク
気が付けば1049mピークは目線よりも低くなる

古くからの観光地である洞爺湖や登別のど真ん中に位置するのがオロフレ峠で、その分水嶺の最高地点がオロフレ山だ。オロフレ山には立派に整備された登山道が開かれており、同峠から標高差わずか300mという簡単な登りでその頂に立つことができる。標高は1231mと、この山域では最も高く、高山植物も種類が豊富とあっては、ファミリー登山の山として人気があるのは当然である。私も子供が小さな頃にはファミリー登山で一度登っているが、羅漢岩周辺の変化に満ちた光景に加え、内浦湾や洞爺湖、徳舜瞥・ホロホロ山の眺望など、簡単に登れるわりには高山的な雰囲気が十分に味わえて、想像以上に面白い山だったと記憶している。特に羅漢岩付近では、子供達のヤッホーの声がこだまして、親子で大喜びしたのが昨日のように思い出される。この当時、トンネルは既に開通していたが、峠には未だみやげ物屋や食堂が並んでいた。ただし、閑散として妙に寂しい感じだったのを覚えている。なお、オロフレの名はアイヌ語のウオロ・フレ・ペッから訛化したもので「水中が赤い川」との意味らしい。その川は蟠渓付近を流れる白水川を指しているとのこと。(そうべつエコミュージアム友の会HPより)

オロフレ山は20年ぶりの再訪で、鄙びた温泉といったイメージがある蟠渓温泉が今回の入山口である。かなり以前にはこの温泉から峠へ登る夏道があったそうで、白水川林道?から7km、約2時間と前述のサイトには載っていた。ここから登ることに決めた理由として、オロフレ峠からではツアー登山としては標高差が少な過ぎることと大滝区・門前峠からでは遠すぎること、何といっても決め手は登山口が温泉地ということだった。私の職場では年に一・二度の日曜出勤があり、天気予報で晴天が予想されている翌日(月曜日)を代休に取った。よって単独の山行となる。こんな日は出来れば良い山に登って、下山後はゆっくりと温泉に浸かって贅沢に過ごしたい、こんな私の欲求を十分に満たしてくれそうなルートであった。

国道453号線から少し入った「ばんけい温泉 湯人家」の少し手前が白水川沿いの林道の入口である。200mほど入ったドコモの中継所手前で積雪のために車両は行き止まり、ここから歩きとなる。この時期は林道の雪が解けて路面が出ていても、どこか一箇所で積雪が道を塞いでいれば、そこが登山口となる。直ぐに路面が出てきて、何度もスキーを付けたり外したりの繰り返しとなるが、それを億劫がっていては山には登れない。286m付近の最終人家は既に廃屋となっていて、林道も荒れた感じとなる。332m標高点付近の分岐で地形図を見ていなかったため、そのまま川沿いに入ってしまい崖記号の下に出る。ここは見事な断崖となっていて、春先のためか融雪とともに常時崩落しているようだ (現に私がここに立ち入っている間にも二度ほど大きな岩石が自然落下している) 。ここで川を渡渉、再び地形図に無い道路跡に出て古い取水設備跡?で終点となる。この辺りは地形が細かくて地形図上からの読み取りが難しい。林道終点は小沢を挟んで反対側の尾根上であったが読図をサボっていたために気付かなかった。517m標高点のある小尾根は若木が密集していて進み辛い。標高が落ち気味となったため、あわてて小沢へと下って林道終点側の尾根へと向かう。後で冷静に地形図を見たところ、尾根は上部で合流しており、そのまま小尾根を進んでもよかったようだ。まだまだ私のルートファインディングは甘い。林道終点付近は植林地となっていて、地形図に載っている道路記号はそのための林道である。ここからは最初のポイントとなる695mポコを目指しての本格的な登りとなり、 広い樹林帯の斜面に一汗流す。

距離のあるルートでは時間が気になるところ。時計はいつもザックの底にしまい込んだ携帯電話のみであるが、この日は単独ということで100円ショップで急遽買ってきた腕時計をしっかり手首に付けている。そのためかかえって時間が気になり、必要以上に時計を見てしまった。右往左往していた517m付近から695mポコまではそれなりに距離があって、昼頃までに山頂にとどくかどうかは微妙なところと一人焦っていた。ところが、硬雪の雪面では意外に距離が稼げ、思いのほか短時間で695m付近へと到達する。こうなれば頂上も射程内。695mは右側を低く巻いて、次の769mポコを目指す。左手には地元の愛好家の間では密かに人気の山となっている1049m峰が頭のみを覗かせている。次のポイントとなる769mも巻こうと考えていたが、つい本峰と1049m峰の山容をすっきりと見てみたくなり、769mはしっかり通過することにする。769m小ピークからの眺望は期待を裏切らなかった。本峰は遮るものなしに大迫力で迫ってくるし、疎林の間には頂上部が小岩峰となった1049mピークも大きな姿を現している。確かに噂のこのピークは尾根上の単なる凸部分ではなく立派に一山にカウントされてもおかしくはない山容である。特に雪の付いたこの時期であれば、ぜひとも滑ってみたくなるのは岳人だれもが思うところだろう。

目指すオロフレ山頂上が目前に姿を現す 無事頂上に到着 (背景は徳舜別・ホロホロ山)

写真だけ撮って、すぐに769m小ピークを後にする。いよいよコルからは主稜線への登りである。取付きは尾根が入込んでいるが、どれをたどっても上部の広い斜面で合流する。右手にオロフレ山の大きな山容を見ながら斜面を大きく右に回り込み、ひたすら登って行く。そうこうしているうちに、斜面はいつの間にかその大きな山容に同化して主稜線上となる。登りの雪面とは打って変わり、稜線上の波打つようなシュカブラは部分的なところでは全くシールが利かず、何度か細かく回り込んでそれを乗り越す。 蟠渓温泉からのこのルートがあまり登られていない理由の一つに主稜線西側の等高線の混みようがあるのではないだろうか。稜線上のコンタがかなり緩いため、比較で混んで見えるのだろう。実際に登ってみれば大した登りではないということはすぐに判る。むしろカリカリの主稜線を長時間歩くよりは体力的にも消耗が少なくてすむし、適度の傾斜はスキー下降にはもってこいである。

北側には青空が広がっているが、目指す南側には今ひとつパッとしない曇り空が広がっている。西側から迫ってくる雲はけっこう厚みがあって、ひょっとしたら部分的な天候の急変があるのではないか、そんな余計な想像まで頭の隅をかすめる。これも慣れない積雪期の単独行ということでの精神的な脆弱さがそう思わせているのかもしれない。気を落ち着かせて進んで行くうちに双耳の北峰を通過する。峰とは行っても見かけ上は平坦地に近く、本峰が見えて初めてここが北峰だったと気付く。本峰はさすがに立派に見えるが、斜面に入るとやはり雪原の緩い登りといった感じである。最後は東側から回り込むようにオロフレ山頂上に立つ。夏とは違って頂上の雪面上には遮るものが全くない。開放的といえば開放的な頂上風景である。徳舜瞥・ホロホロ山付近の三つのピークまでは延々と稜線がつながり、峠側には道道2号洞爺湖登別線がくねくねと続いている。1049mピークだが、ここからは尾根の単なるコブにしか見えず、あまり目にすることのない登別・丸山は加車山から北に伸びる真っ直ぐな支尾根上に丸い頭を覗かせている。つい先ほどまでの臆病カゼの特効薬はやはり頂上到着だったようで、少々薬が効き過ぎたのか、逆に意気軒高とさえなっている。人間の感情というものは自分自身のことでさえ全く厄介なものだ。頂上ビールを一人で乾杯! さあ、今度は逸る気持を抑えつつ蟠渓温泉へと下降する番である。(2011.4.11)

【参考コースタイム】 蟠渓温泉 P 9:30 → 695m標高点付近 10:40 → 769m標高点付近 11:20 → オロフレ頂上 12:45 、〃発 13:00 → 769m標高点付近 13:25 → 695m標高点付近 13:40 → 蟠渓温泉 P 14:30 (登り 3時間15分、下り 1時間30分 )

メンバーsaijyo

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