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      (565m)

 
コンタ500mピークから見た大登山

コンタ500mピークから見た大登山

    1/25000地形図「仁  

閉鎖中のフゴッペ温泉前に車を止める
蛇行している小登沢川を渡る
小動物の足跡をたどって行く
細い支稜線上にはこんな大岩が頭を出している
細い支稜線上にはこんな大岩が頭を出している
googlマップの航空写真 1/25000地形図

大登山をWeb上で検索してみたところ、小樽西部の大登山でヒットしたのはわずかに「遊びホローケル山」サトマサさんの山行記1件、あとは○○(学)登山隊とか世界三大登山鉄道とか、この山とはおよそ関係のなさそうなものばかりであった。余市町登地区を流れる登川支流の小登川の水源が小登山で、それよりも山容が大きく、標高も50mほど高い東側の山を大登山としたようである。いずれにしても地元でも知名度は低くWeb上にもほとんど登場しない地味な山である。

この山へのアプローチとしては、昨年と同様に小登山を経由してのルートを考えるが、けっこう距離がありアップダウンもある。サトマサさんが登った赤川側からの林道をたどるルートも考えたが、こちらはもっと長い。そこで考えたのがフゴッペ温泉からの沢ルートである。尾根は細くて長くアップダウンがあるため、わりと河原の広い小登沢川からのルートに白羽の矢を立てる。実はこのルートを考えたきっかけはフゴッペ温泉である。下山後、ひと風呂浴びて帰れるといった利点は何とも魅力的であった。ところがフゴッペ温泉は昨年から閉鎖とのこと。昨年来このルートで何度か計画したが、巡り合せの悪さからか、なぜかその都度戦意を喪失してしまった。メンバーが財布をなくしてしまったとか、私自身の気分が乗らなかったとか…夏場に訪れた時などはあまりに鬱蒼とした光景にシッポを巻いて逃げ帰ってしまったこともあった。苦手意識とは何とも恐ろしいものである。

春の広い稜線上は気持が良い 438m標高点付近の土場から見る大登山
コンタ500mピークの頂上には大岩が乗っている 小登山の全容も間近に

地形図上では水線が真っ直ぐになっている(右上図)ため渡渉はほとんどないと読んでいたが、これが大きな間違いであった。しばらくは順調に進むが、やはり渡渉が待っていた。スノーブリッヂの発達する厳冬期はともかくとして、この時期ではさすがに流れが顔を出している。川面までは段差があり、渡渉地点はしっかりと考えなくてはならない。渡渉自体は大したことはないが、やはり手間のかかる作業である。やっと渡渉したと思って軽快に進むとすぐにまた流れが行く手を塞いでしまった。地形図とは違って大きく蛇行しているようである。水流の細い上流では増水などで大きく流れが変ることが多く、地形図でそれをいちいち正確に表現したところであまり意味がないということだろう。この先何度続くか判らない渡渉、さすがに自分の見込み違いに嫌気が差す。メンバーの助言により比較的アップダウンの少ない左岸側の尾根へと逃げることにする。後でgooglマップの航空写真を見たが、都市部に近いこの山域ではこの蛇行をしっかりと捉えており、下調べを怠ったがための報いであった。

逃げた尾根は細くて長いが、渡渉でいちいちスキーを外すよりはまだマシだ。尾根上への手前のコンタが混んでいて最後の登りがスキーでは難儀するように思われたが、うまい具合に小動物(キツネか犬)の足跡が斜面に沿って続いていた。見ようによっては集材路跡か歩道のようにも見えてくる。そのまま無造作に足跡をたどって行くと、ラッキーなことに難なく尾根上へと飛び出した。やはりこの山の住人はこの山を良く知っているのだ。ただし、稜線上の潅木はかなり密度が濃いため、スキーを履いた我々には枝に邪魔されながらの前進となる。途中、コンタ300m辺りで岩稜となり、大岩の直下をトラバースすることになる。この山域の地形は概ねなだらかであるが、枝尾根の所々では大岩が頭を出している。そこを貫けてすぐに作業道が現われる。どちらに行っても下っているようなので、そのまま急な尾根上をたどることにする。

ひと登りで疎林となり、広い尾根上へと飛び出した。1月に登った毛無山もはっきりと見えている。荒天のために山の全体写真がなかった毛無山山行記のためにここで一枚。風は強いが視界は良好、やはり春山の空気は快適そのものだ。広い尾根は大きく右方向へと曲がってそのままコンタ500mピークへと突き上げている。このピークは帰りに寄ることとして、途中から左側を巻くように大登山へと向う。438m標高点付近は土場となっているのか、樹木が切り開かれていて広場のようになっている。この周辺の木々に付いている林班界の標識は新しいようで、雪のない時期には業務のための車も入っているのだろう。目指す大登山が目前に大きく広がっている。初めて見る大登山であるが、見る限りは山としての特徴に乏しい。どちらかと言えば林業の現場といった感じで、山はだに刻まれた作業道が何とも痛々しい。

コンタ500mピークから見る余市市街とその周辺 毛無山(左端)と遠藤山(中央)を望む 大登山頂上は樹林帯の中で展望はない

広い土場から再び樹林帯へと入り、緩い斜面を登り詰めると広い大登山の頂上である。見た感じでは東の端が一番高いようだが、ここへやって来るだれもが標高点の緯度経度をGPSに入れているのか、標高点付近の樹木にはピンクテープとバンダナが巻かれていた。辺りは樹林帯の中で展望は全くない。しかしどうであれ、苦手意識を克服できたことによる満足感は何にも換え難い。冒険とは無縁の現代社会にあって、手軽に目標をたて、週末にはそれを実行、そのことによって達成感・満足感を十分に味わうことができる。これは無尽蔵に目標山域が広がる薮山志向派ならではの特典といえる。ネットの時代、情報の広がりと共に登山の対象とされる山域も確実に広がっている。薮山(ガイドブックには載っていない登山道のない山)もそんな中では主役となりつつあるようだ。

帰路、コンタ500mで囲まれた支稜線上のピークへ立ち寄る。このピークへ立ち寄ることは全く予定していなかったが、大登山とは好対照の三角形で、頂上に大岩が露出している様子を見ているとついつい登高欲をそそられてしまった。このピークの南面にはトドマツの幼木が整然と植えられており、現場の人間は少なからず無雪期には上がっていることだろう。きっと展望が抜群なのだろうと予測していたが、全く期待に違わなかった。積丹半島の山々や余市周辺の平野と日本海、大登山や小登山の全容、真っ白な後方羊蹄山や余市岳など、高度感のある岩上からの眺望はダイナミックに広がっていた。(2010.4.4)

 【参考コースタイム】フゴッペ温泉前P 9:20 小登沢川出合 9:50 土場 11:45 大登山頂上 12:10、〃発 12:15 コンタ500mピーク 12:50、〃発 13:20 フゴッペ温泉前P 14:55 (登り 2時間50分、下り 2時間10分)

メンバーsaijyo、チロロ2

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