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  三等三角点「中ノ沢」(1086.6m)通称;「大江山」(1172m) 

                       ★★★ 札幌150 1/25000地形図 余市岳  

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11年前には既に朽ちていた橋を知らずに渡った

急斜面を登りきる

 Ikkoさんからこの山名を聞いたときに、いったいそれはどこなんだ? と思った。出どころは札幌150峰で、美比内山から余市岳へと続く稜線上にある三角点と標高点である。地形図には三角点の点名がそのまま山名として載っている例は多く、この「中ノ沢」は運悪く地形図に載らなかっただけかもしれないが、実際この山へ行ってみて、これが一般的に言う「山」とは思えなかった。大江山も確かに展望はあったが、麓から見ての評価で言わせてもらえば、単なる稜線上の突起に過ぎない。個人的には“スタンプラリー用”なのか知らないが、なんでも○○山にすれば良いという発想はいかがなものかと思っている。

 この2ピークであれば美比内山からなら、ラッセルのないこの時期であれば簡単に踏むことができるだろうと思った。ただ、せっかくの機会なので、千尺高地から余市岳への縦走でのエスケープルートを考えてみたくなった。この間のエスケープはあまり聞いたことがなかったからである。以前、南岳を狙ったときに白井川本流から取り付いたことがあり、その取り付き地点までは過去に行っており、中ノ沢と大江山の中間に位置する1048m標高点へと続く派生尾根を利用してみてはどうかと思った。

 豊羽鉱山は13年前に閉鎖したが、後処理のための業者が今でも入っている。とりあえず、立入禁止の看板が出ている手前に車を止めた。白井川本流の右岸側に点線で描かれている林道はすぐに消えてしまい、右岸側の斜面を林道の形跡を探しながら進んで行ったところ、完全に斜面に消えてしまった。地形図を確認したところ、川に近いところかと思いきや、川から4050mくらいの高さに林道があった。ここを通過したのは10年以上も前の話しで、人間の記憶というのはあてにならないものだ。その後、雪崩れそうな斜面のトラバースが続いた。この間、本流にはゴルジュがあったり滝があったりと、変化に富んでるためと思われる。

 コンタ610mの二股手前で林道は左岸から右岸へと移るが、かなり脆そうな橋が架かっている。11年前のときには両側の柱と主桁はつぶれた状態でも残っていたが床板は無く、橋の残骸だと思っていた。このときは12月だったので、橋の上に十分な積雪が無く、それに気付いたようだった。今回は大量の積雪にカモフラージュされ、残骸であることには全く気づかなかった。まずIkkoさんが渡ったが、山行前に11年前の写真を見ていれば、決して渡ったりはしなかっただろう。高さも川面から10mくらいはありそうで、知らなかったとは言え、怖い話しである。

三等三角点「中ノ沢」が埋まっているのはこんなところ
大江山への途中、定山渓天狗岳が見えた

 この橋を渡り、川面が近づいたところで、今度は右岸から左岸へとスノーブリッヂを渡って尾根に取り付いた。遠くから見たときは無理っぽかったが、実際取り付いてみると登って登れなくはない。かなりの急斜面で、途中で積雪がパックリ割れて、全層でズレていた。できるだけ尾根上の樹林近くを登ったが、最後はさらに傾斜が増して、樹林の無い雪面となった。ここを登りきればこっちのもの。ここから1048m標高点のピークまでは単に長いだけの広く平らな尾根上となる。

◇◇◇

 1048mピークが近づくと尾根が細くなってきた。急登してから先は平凡な雪面歩きが続いていたので、唯一の変化らしい変化といえる。1048mピークからはまずは○等三角点「中の沢」を目指した。この頃から地吹雪模様となり、さすがに国境稜線の厳しさである。「中の沢」は広々とした雪原で、地吹雪がさらにひどくなったが、強風の合間にちらっと定山渓天狗岳が見えた。三角点の位置をGPSで確認、すぐに次の目的である「大江山」へ向かった。

天気は回復傾向、途中から大江山が見えた

 「大江山」は正直言って面倒くさかったが、ここまで来たら登らなければ山行は終わらない。1048mピークへ戻り、今度は北へと続く稜線を目指す。1つポコを越えると「大江山」への登りとなる。100m少しの登りであるが、さすがに疲れが出てきて足が重い。稜線上は吹き溜まっていて、ワカンでも脛くらいまで埋まったが、突然何もなくなって妙に足が軽くなったりもした。傾斜が緩んで少し行った先が「大江山」頂上だった。

余市岳の西側に続く岩壁をまとった稜線が印象的だが、余市岳は終始分厚いガスの中。晴れていれば、遮るものなしの大展望間違いなしと思われるだけに残念だった。

 下山は往路を引き返した。1048mピークからの長い尾根歩きが行き詰ったところで再び白井川本流への急斜面となる。かるく30°以上はありそうで、転がり落ちて行きそうな感じであるが、気温が上がって雪が腐った分だけ雪の崩れ方は鈍く、見かけの派手さとは裏腹で本格的に雪崩れる心配は全くない。ただし、時期や条件によっては雪崩斜面となるので、縦走中のエスケープルートとしては不向きである。山行全体を通して思ったことは、単に札幌150峰の2ピークを狙うのであれば、やはり美比内山からの往復が良いということであった。(2019.4.6)

大江山頂上へあと少し

 

大江山頂上に立つIkkoさん

【コースタイム】 豊羽鉱山手前 P 8:40  610m尾根取付き 10:05 1048m標高点 11:45 三等三角点「中ノ沢」12:20 1048m標高点 12:50 大江山頂上 13:50 1048m標高点 14:20  610m尾根取付き 15:15  豊羽鉱山手前 P 16:15 

(山行時間 7時間25分)    

メンバー】Ikkoさん、saijyo

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