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   登突山(352.9m)鬼鹿山(366m) 1/25000地形図 港 町 ルペシュペナイ川 

           ルート図

林道の途中に車を置いた
登突山直登沢(大椴子川)はこんな感じ

登突山頂上に到着

  旭川O氏から誘われて、天塩山地西部の低山へ行ってみることにした。この山域を訪れるのはしばらくぶりである。同行者がO氏となれば心強い反面、体力的にもメンタル的にも乗りに乗ってる薮山界の実力者、心してかからなければならないと少し緊張しつつも集合場所の小平町セブンイレブンへと向かった。O氏は薮山界のプリンスとも呼ばれているほどのナイスガイ。プリンスと呼ぶには年齢的に少々薹が立っているかもしれないが、ジャンキーな人間が多いこの世界にあってはその爽やかさが際立つ。もっとも、この2年半の間はKo玉氏になり代わり彼の著書を手がけてきたこともあって、私自身その残像がまだ消えきっていないのかもしれない。

 予定よりも1時間ほど早くセブンイレブンに到着したので準備をしていたところ、スパイク長靴が破れていることに気付いた。以前に使っていた短めの軽い方を持ってきたのが失敗だった。思えば、この靴は破れていて使っていなかったのだ・・・ 早速、セブンイレブンでガムテープを購入、補修していたところでO氏が現れた。聞けば、私よりもかなり早くから現地入りしていて、既に林道の偵察を終えてきたとのこと。さすがだった。

 小平の温泉施設の駐車場に私の車を置いて入山口となる大椴ダムへと向かった。林道は意外と奥まで続いており、予めO氏からもらっていた地図からかなりの歩きと想像していただけに、最初に登る登突山までが意外に近かったのには驚いた。もっとも地図が緑色のレリーフ図だったので、何となく20万図をイメージしてしまった私の勘違いではある。薮山からしばらく遠ざかっていたこともあり、感覚的にボケてしまったようだ。体力だけでも維持しようと、今年は時間の許す限り札幌近郊のメジャーな登山道を歩き続けてきたが、決められた登山道ではほとんど地形図を見ることもなく過ごしていた。やはり薮山本番ともなれば一般的な登山とは大きく違う。

一等三角点「登突山」と金麦

 この山域は山名のある低山が多く、しかもそれらが作業道でつながっているから新ピークのゲットがしやすい。もっとも、地形図上の作業道が実際どうなっているかは行ってからのお楽しみだ。私は目の前の小沢から直接稜線上の作業道を目指してみてはと提案したが、O氏は作業道の様子がどうなっている分からない以上、登突山直登沢(大椴子川)が確実と考えているようだった。河原に下りてみると流量はたいしてなく、破れた長靴でも十分。先導するO氏はできるだけ渡渉がないようルートを選んでくれたので助かった。

 考えてみれば今シーズンの沢はここが始めて。唯一の沢山行だが、沢山行と呼ぶにはいささかしょぼいかもしれない。途中、小滝(2m)が一箇所。210m二股を過ぎるとすぐに源頭となって水が涸れ、あとは100m200mほどの軽い薮漕ぎで稜線上となって、すぐに登突山頂上に到着した。途中、天塩山地の主稜線のほか、名だたる数多くの山々が背後に広がっていた。中には三毛別山や奥三毛別山、佐官別山といった自分にとっては思い出深い山も含まれているはずなのだが、なんせどれも特徴に乏しい低山、見たところどれも同じである。山行としては意外な短さだったが、目の前の一等三角点登突山」を見ているとやはり満足感でいっぱいだった。例によってレプリカ「金麦」を乗せて1枚。やはり〆はこれに尽きる。 

作業道分岐から (正面の繁みが鬼鹿山頂上) 頂上に埋まっていた林班界の標石と金麦

◇◇◇

 ここからは鬼鹿山への長い薮漕ぎが待っている。作業道への下りは背の低い笹薮で、これならいけると思ったが、作業道に出ると薮は多少被ってはいたが立派に道路だった。

帰路、林道から見た登突山 (頂上は見えない)

 結局、山行らしい山行はここまで、あとは道路を歩くだけとなった。道中、新刊「北海道の山と谷3」等の話に花が咲いたが、同書の道北担当はO氏である。薮山と思っていた鬼刺山や釜尻山など、ヤブ山界では名峰の類の山々がさりげなく紹介されていて、最初に見た時は「おっ!」と思った。O氏の肩書きは「道北ヤブ山会」となっているが、勝手に名乗っただけらしい。それが名だたる山岳会と並列関係で並んでいるのだからこれも感動ものだ。そんな経緯を聞いているだけですっかり時間を忘れてしまった。さすが道北ヤブ山会のトップリーダー、この世界のプリンスだ。

 鬼鹿山まではあっと言う間だった。道路の分岐正面のこんもりした樹林帯の中である。分岐からはちょっとの薮漕ぎで鬼鹿山標高点に到着、三角点は設置されていないが林班界の標石が埋まっていた。札幌であれば私製の頂上標識が誇らしげに飾られているところだが、人里離れた天塩山地西部の低山地帯ともなれば普通の人は訪れない。うるさい頂上標識など無く、あるがままにすっきりしているのが心地良い。

 下山はそのまま引き返し、途中から道路を下って行くだけだった。O氏の車であればそのまま鬼鹿山へは入れただろうが、それをやってしまってはお終いである。道路を下って行く途中、一等三角点の「登突山」らしき山並みが正面に見えたが、O氏によれば頂上は影になってこの位置からは見えないとのこと。たった今登ってきた山でさえ同定が難しい。それが、この天塩山地西部・低山地帯の良さでもあった。(2019.10.22)

【コースタイム】 林道駐車地点 8:20  登突山頂上 9:45、〃発 10:05 鬼鹿山頂上 11:15、〃発 11:20 林道駐車地点 12:30   (山行時間 4時間10分)    

メンバーO氏、saijyo

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