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      古発山(708m)

遠藤山への途中から見る於古発山

1/25000地形図古発山」「小樽西部

「おたる自然の村」入口の広場に車を停める
この時期、いたるところにタニウツギが咲き乱れる
意外に地味な於古発山頂上
意外に地味な於古発山頂上

 「おこばち」の名は以前からよく目にしていた。山名が山そのものの知名度よりも先行している感があるが、小樽市内のリゾート地である「おたる自然の村」が隣接し、多くの市民がその麓でキャンプやパークゴルフなどを楽しみ、そのセンターハウスが「おこばち山荘」となれば、その名が先行しても当然と言えるかもしれない。“おこばち”とは、「北海道の地名」(山田秀三著)によると「川を少し上がると二股になっていたので、ウコバシ(急流が走りよる)が訛ったのではないか」とのこと。いずれにせよ、柔らかなイメージで、何となく親しみを感じるネーミングである。下山後、おこばち山荘・資料室で知ったが、於古発山や毛無山は150万年前には火山だったそうである。現在はかなり穏やかな山容で、とても太古の光景など想像できない。

  今回は登山道登山ということもあり、於古発山、735m峰(遠藤山)、毛無山の三山を計画する。「おたる自然の村」前の登山口を利用、混合林の美しい森林に歩を進める。登山口では、登山遠足にやって来た小学生の団体とその引率者で、かなりの賑わいを見せていた。静かな登山を楽しむためには子供達に追い越されぬよう、少々ピッチを上げる必要がありそうだ。道内では、どこの山でも植林地が多く、トドマツ林が多いように感じられるが、ここの森林ではエゾマツが比較的多いように感じられる。都市部の山の方が、意外に自然林が残されているのかもしれない。

  621m分岐で、この日初めての登山者と行き交う。天狗山からやって来たようである。ここのコースのメインとなる登山口は天狗山からなのであろうか。天狗山へのコースの方が幹線といった感じに見える。於古発山へは緩い登りを繰り返し、さて頂上と期待に胸を膨らますが、えっ…ここが頂上か…?といった感じの、単なる通過地点であった。しかも、少し遠藤山側へ下ると、林道脇に飛び出してしまう。山へ向うためのアプローチにでも、突然、置いてけぼりを喰わされたような感じである。さすがに林道へは行かず、歩道を遠藤山へと向う。遠藤山への登りで少し登山の雰囲気が戻ってくるが、ほんの一登りである。背後に見える於古発山が、やっと山の様相で姿を現す。

毛無山への作業道は倒木により茨の道となる

  遠藤山の頂上には一等三角点も設置され、山の頂上といった雰囲気を感じるが、木々の葉が生い茂るこの時期には何も見えない。積雪期にもう一度訪れてみたいものである。木無山へ向うはずのルート表示がなぜか塩谷丸山へとなっている。急な登山道を一気に下ると左側には先ほどの林道終点と思われる土場が広がっている。土場から林道へ出てみることにする。少し下ると、左方向へ向かうかなり荒れた作業道がある。ひょっとして、ここが毛無山へのルートなのだろうか?半信半疑で進んでみるが、直ぐに終点のような様相となり、行き止まりのようだ。であれば…と、塩谷丸山の表示に沿って歩道を下って行くが、これも目指す毛無山とは徐々に方向が違ってくる。やはり先ほどの荒れた作業道が正解なのかもしれない。

  再び荒れた作業道へ戻る。トドマツの倒木が行く手を塞いでいるが、よくよく見てみると、確かに作業道跡のようである。行くか止めるか迷うところだが、迷う時にはとりあえず進んでみるのが「地図がガイドチーム」である。ハイキングコースから、いきなり薮山登山の現場へワープしてしまった感がある。枯れた倒木は細かく硬い枝が最大の障害となる。幾つか、倒木を突破するが、行けども行けども倒木は続いている。唯一、タニウツギが咲き乱れ、心を癒してくれるのが救いである。倒木の密度が薄くなることに期待、さらに進むが一向に状況は好転してくれない。加えて、毛無山へは下りということもあり、心の準備がないままでは、気力も湧いてこない。行程の2/5ほど我慢で進むが、先の見通しが立たず、さすがにリタイアである。まだ行けるかな…と思いつつ、持ってきた木無山頂上で飲むはずだったビールで喉を潤す。さあ撤退だ。帰路は緩い登りとなり、倒木の山を見上げるだけでうんざりする感じである。急がず、あわてず、着実に引き返す以外にここを抜け出す手立てはなさそうだ。辛抱強く、一本一本前進あるのみである。何とか飛び出した遠藤山の林道では、さすがにほっとさせられた。

  今は於古発山から遠藤山、そして塩谷丸山へ下るのが一般的なコースとなっているようである。遠藤山から木無山へ向う地形図上の実線で示された林道は、数年前の台風18号によるものなのか、かなり荒れている。木無山は見た感じでは魅力に乏しいし、登ってみたいとも思えない。ただし、後ろ髪を引かれる思いで撤退して来た以上、倒木が雪に埋まる積雪期にでも再チャレンジしなければならないようである。(2008.6.22)

【参考コースタイム】「おたる自然の村」入口 9:00 於古発山頂上 9:50 遠藤山頂上 10:15、〃発 10:35 → 毛無山への作業道引き返し地点 11:30 → 「おたる自然の村」入口 13:10   (各地点での休憩時間含む)

メンバー】saijyoチロロ2

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