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    沖内山(583m) ・・・ 留萌ポロシリ山に隠れた秘峰

 

   
達布山頂上から見た沖内山 (2015年12月に撮影)

1/25000地形図 ポロシリ山  

ところどころで籔が起き上がった尾根を進む
住吉炭坑の立入禁止看板横に車を止める
林道真正面には留萌ポロシリ山が見事な姿を見せる

  35年間勤めた職場を定年退職、晴れて自由の身となった記念すべき一山目が沖内山であった。長年の間、少ない休日が当たり前となってしまっていたこともあり、時間に追われる感覚がどうしても拭えきれない。これから先は敢えて気持にゆとりを持たせて山行に望む必要がありそうだ。

 沖内山、どこにでもありそうな山の名だが、小平町町史によれば語源はアイヌ語のオ・キ・ウ・ナイで、川口()・カヤ()・群生している・川()の水源の山とのこと。留萌ポロシリ山や達布山と同じ山域にあり、登山の対象としては今まであまり登られることはなかったようだ。最近ではネットの広がりでマイナーピークにも多くの人達が入るようになったが、この沖内山は意外に奥深く、ネット上にもあまり登場してはいない。敢えてそんなピークを狙ったわけではないが、以前に道内全山登頂のKo玉氏がこの山へ行こうと言っていた記憶があり、また、先日の達布山からの見事な山容が気になって今回の計画とした。

 入山口は留萌地方で唯一稼働している住吉炭坑の露天坑入口で、関係者以外は立入り禁止となっている。普通に考えれば今回の山行はここでストップとなるだろう。だが、入ってすぐに分岐があり、正確なところ立入り規制はここからだった。我々が進むのは左側の積雪に埋まるイタラカオマップ川の林道で、こちらへの歩いての入林は問題なしである。真正面に迫力ある留萌ポロシリ山の姿を見ながら2kmほど進んだところで予定ルートである尾根の末端に到着する。取付きは急斜面で雪渓にステップを切っての慎重な一登り、ここの詰めは樹林帯の籔漕ぎとなる。下山時に判ったがこのポコは巻くのが正解で、尾根の北側には雪渓がしっかりと残っており、余計な登り下りの必要はなかった。

 稜線上は籔が出ていて、地形図を見ながら斜面の雪渓をトラバースしながら進んで行く。次のコンタ210mへの登りは急傾斜の雪渓と笹薮の混成となる。雪渓は薄過ぎて頼りにならず、プラブーツでは笹も滑る。右側の斜面は雪崩か地滑りか大きく崩壊して地面が剥き出しとなっており、アイヌネギがちらちら見えるが立ち入らぬ方が無難だろう。こんなところで欲張って怪我でもしたなら本末転倒である。ここを笹薮漕ぎで登りきると、しばらくは平らな尾根歩きとなる。尾根上はところどころで笹が立ち上がっており、標高を少し落としても左側の雪渓上を進む方が効率がよいかもしれない。コンタ380mで稜線上への急登となる。標高差90m、ここを登り切るといよいよ頂上台地が見えてくるはず。いつもと違うのは時間的な余裕か、一歩一歩に焦りがなく、難なく稜線上となる。仕事生活から離れたことが気持の中に少し浸透されてきたのかもしれない。

屈曲地点を過ぎたあたりから見た頂上台地

 広い稜線は500mほど進んで90°方向を変える。この屈曲地点が沖内川の源頭で、近づくにしたがい樹木に邪魔されて見えなかった沖内山の北西へと伸びる頂上部が明瞭に見えてくる。なかなかの迫力である。おそらく天塩山地でよく見られる地滑り地形だろう。後は真正面から登りきるだけだが、頂上へと続く稜線上は雪が消えた部分もあり、横の斜面上の雪渓から登ることにする。ルートの中では一番の急登だが、雪渓は腐り気味となりキックステップがよく刺さるのがよい。背後には600m弱の山とは思えぬ展望が大きく広がる。中でも遠く鷹泊・坊主山の端正な姿が印象的だ。ステップを刻んで行くうちに頂上台地上へと飛出す。

沖内山頂上(583m標高点)に金麦を置く

 さすがに台地上の西風は寒く、4月の山を感じさせる。疎林の邪魔はあっても360°の展望が広がっている。手前に頂上らしい高みがあって、つい行きたい気分にもなるが、目指すは約200m先の緩く平らな583m最高高点。その頂上もひと息で到着となる。GPSで標高点を確認するが、回りにはもっと高そうな地点もある。思い思いに自分の納得できる最高地点を踏んで沖内山登頂とする。おかげで雪面が荒らされてしまい、標高点とは少しズレた雪面での金麦撮影。まあ、こんなこともある。知布志内山の特徴的な山容から達布山を同定、遠く日本海が見える。

 仕事から完全解放されての一山、潜在的にはつい時間に追われてしまうが、これからしばらくは何よりも自由を謳歌することだ。そんな姿勢こそが本来の私の山との付き合い方だと思っている。一山一山を大事に登ること、これからの自分のモットーとしたい。(2018.4.24)

参考コースタイム】住吉炭坑作業道入口 P 8:05 → 尾根取り付き 8:40 沖内山頂上 11:10、〃発 11:40 途中大休止 尾根取り付き 14:05  住吉炭坑作業道入口 P 14:50 (登り3時間5分、下り2時間30分)    

メンバー】Ikkoさん、saijyoチロロ3(旧姓naga)

**山行写真**

沖内山_C350尾根を登る (Ikkoさん提供)

沖内山_C500の急斜面を登る (Ikkoさん提供)

沖内山_C500の急斜面を登る Ikkoさん

飛出した頂上台地上から見た頂上付近

あと一歩で頂上到着

鷹泊・坊主山をズーム

頂上近くから見た達布山と知不志内山

 

西風を避けて頂上付近にて休憩

 

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