<戻る

      オダッシュ山(1097.7m)

国道38号線から見るオダッシュ山

/25000地形図「新 得」

登山口には駐車場も用意されている
オダッシュ山頂上にて(東京のTさん)
頂上からオプタテシケ山(右)、美瑛富士(左)、下ホロ(手前)
コンタ700m付近から前峰から北東へ伸びる尾根上に出る
コンタ700m付近から前峰から北東へ伸びる尾根上に出る

オダッシュ山の名を始めて目にしたのは夏山ガイドの第4巻「日高山脈の山々」(北海道新聞社刊)である。その後、以前に所属していた山岳会で一緒だったI氏(襟裳岬〜宗谷岬の完全踏破を目指す)との付き合いで、日勝峠〜狩勝峠の線つなぎとの名目で、日勝峠〜オダッシュ山(山中一泊)、狩勝峠〜オダッシュ山(日帰り)と図らずも2度ほどこの山の頂を踏んでいる。第一回目の山行は山中泊ということもあって、意外に楽であったが、第二回目の狩勝峠からは日帰りということもあり、体力的にはかなり厳しいものがあった。特にのっぺりとした1038m峰の通過と最後のオダッシュ山への登りはかなり辛かったのを覚えている。確かこの時はいつもよりは5cm長いスキーを履いていて、長いルートでは履きなれた短い方を使うべきだったと後悔した記憶がある。

「オダッシュ」の名はアイヌ語の解釈が幾つかあるようであるが、「川口に樺皮が多くあるところ」というのが有力とのことである。隣の狩振岳もこのオダッシュ山も、裾野が広い山麓には放牧地が広がっている。ここの裾野を通過する根室本線は典型的なループ線となっていて、大きく回りながら標高を上げ新狩勝トンネルへと続いている。94年に突風にあおられた釧路発の特急おおぞらが広内信号所付近で脱線した記憶は新しい。現在は道東自動車道の工事も盛んに行われており、将来的には道東と道央を結ぶ交通の要所となる地区である。いずれにしても1038m峰を含め、日高山脈の険しさから開放され、ほっと一息つける山域である。

今回は東京の山仲間・TAさんの来道で、テレマークスキーが楽しめる山をとのことでこの山を思い出す。十勝平野へ向っての長い滑りが楽しめる正に北海道らしい山であり、その展望も含め最高のロケーションである。函館マウンテンクラブの日高ロッヂ(日高町・千栄)を利用、一日目は上滝山〜沙流岳のツアーを楽しむ。二日目のオダッシュ山では前日の疲れもあり、予定よりも1時間遅れで日高ロッヂを出る。TAさんの帰りの便は決まっており、ひょっとしたらオダッシュ山登頂は時間的に厳しいかな…との思いでオダッシュ山登山口に到着する。無雪期には多くの登山者で賑わうこの山も、この時期には登山者が激減する。標高差約700mをラッセルして登るのであれば、所要時間は少なくても3〜4時間くらいは考えなければならない。

頂上から見る狩振岳 遠く夕張岳をズーム

ラッセル泥棒とはよく耳にする言葉であるが、最初から予定していたルートに先行者がいる場合、先行者のトレースに敢えて平行してルートをとるのもどうかと思う。先行者が自分の予定していたルートと違った方向へ向っているのに、何も考えずについて行くのであれば、正に“泥棒”と呼ばれても仕方がないかもしれない。持ち時間が少ない今回は結果的には幸運であった。先行者があり、しかも先行していたのはHYML(北海道山メーリングリスト)のメンバーである苫小牧のOh氏であった(後で判った)。程よい傾斜でジグをきり、コンタ700m付近の雪庇を上手にかわし、見事なルート取りである。ラッセルなしの登高はやはり速いもので、1040m前峰直下でOh氏に追いつく。頂上までのほんの僅かの間は我々が先行するが、単独でここまでラッセルしてきたOh氏には頭が下がる思いである。透き通るような青空に向って登り詰めると、以前にはなかった頂上標識が設置されたオダッシュ山頂上に到着する。僅か1000mの山ではあるが、新得の市街地をはじめ眼下に広がる十勝平野には意外な高度感を感じさせられる。夕張岳方向だけは木々の枝が邪魔してすっきりとした展望は得られないが、それ以外は大雪・十勝を始め東大雪の山々、目を転じれば北日高の山々が広がり、大パノラマを楽しむことができる。特に狩振岳のすっと尖った姿が印象的である。

頂上でエールを交換し、Oh氏と別れる。我々は往路を引き返して前峰から北東へ伸びる尾根上をできるだけ下ることにする。尾根上の積雪は風に飛ばされ堅雪が波打っている状態であるため滑り辛い。コンタ900mくらいからは雪質も安定し、TAさんはテレマークスキー独特のスタイルで楽しそうに滑っている。そのまま下ってしまうと安田川を渡らなければならなくなるため、コンタ680m地点付近から安田川への斜面に入る。稜線を外れると雪質はぐんと良くなるが少々重く木々も混みあってくる。もう少し手前から下った方が良かったのか、往路へ出るために、結局安田川を渡ることになってしまった。辛うじて往路のトレースへ出るが、もっと上部でこの斜面へ入ったと思われるOh氏のシュプールが既に登山口へと続いていた。(2006.1.15)

【参考コースタイム】登山口 P 9:20 → 北東尾根・コンタ700m付近 10:35 → オダッシュ山頂上 11:40、頂上発 12:15 → 登山口 P 13:25

メンバー】TAさん、saijyo

<最初へ戻る