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      帯広岳(1089.0m)

帯広岳は人里に近いが、付近にはヒグマの生息密度が濃い

 /25000地形図 「上美生」

林道はなおも続くが、車は.305m付近まで
現在、帯広岳登山口の看板からの登山道はない
登山道など見当たらず藪漕ぎとなる
.739m付近を越えると、やっと雪渓が現れた

日高山脈、ピパイロ岳から伏美岳・妙敷山へと続く支稜線上の末端にある1000m峰が帯広岳である。周辺の山々に比べ目立たない存在であるが、道新スポーツ・ふるさとの山めぐりにも紹介されている。昨年12月、雄馬別川沿いの作業道からスキーを持たずに入り、季節はずれの深雪のため時間切れ敗退となってしまった。ツボ足による歩行は思いのほか時間を要してしまう。尾根上には人里からは近いにもかかわらず、ヒグマの足跡が縦横無尽に残り、この足跡をも利用させてもらうが、.521までしか進めなかった。今回の山行は季節的には日照時間も長く、行動時間としては十分である。

 ルートは昨年と同じ「登山道」を使うことにする。車は.305までしか入れないが、この作業道は川沿いにさらに続く。約10分も歩くと帯広岳登山口の立派な看板がある。後で判ったが、このルートでのアプローチを考えるのであれば、そのまま作業道(地図上1.5m未満の道路になっているが今は林道となっている)を進みコンタ540mの尾根乗越しまで登ってから尾根に入る方が効率は良い。看板には地図上の登山道を示すように赤いビニールテープの矢印が貼ってあり、その方向に進むが、踏み跡も刈り分けも全く見つからず、最初からいきなり藪漕ぎである。前回のルートを思い出しながら進み、何とか尾根末端に取付くが、登山道らしき形跡はやはり見つからない。この付近にはウルシが多いのか、翌日には腕も足も腫れ上がり、今シーズン最初のウルシの「洗礼」を受ける。結局、前回の到達地点である.521を過ぎても登山道はなく、帯広岳登山道は既に廃道であることを確認する。

コンタ540mで前述の広い林道を通過する。ここからは少し踏み跡らしい状態となるが、すぐにまた藪漕ぎとなる。コンタ690mには朽ちた「第二展望台」の標識が落ちていて登山道が全盛だった当時を偲ばせてくれる。「道新スポーツ・ふるさとの山めぐり」は19985月の記録であり、この時点でも「道が途切れがちで、ササヤブをこぎながら登る」となっている。5年間整備がなされなければ、登山道は完全に消滅してしまうのだろう。その点、林道や造材路の寿命はこれよりは長く、廃道となっていても登山ルートとしての利用価値は十分にある。

一等三角点「面別山」 帯広岳頂上には立派な頂上標識がある

「第二展望台」からも相変わらずの藪漕ぎであるが、ところどころに雪渓が現れ、少し歩きやすくなる。何処かで雪渓が現れることを期待しての我慢の藪漕ぎであったが、夏期のこの「登山道」は全て藪であり、あまりお勧め出来ない。標高900m付近でやっと雪渓が続くようになり、造材路も現れる。新しいピンクテープが更に下の造材路へ下るように方向を示している。帯広岳へのルートはこの時期、北側のペンケ川沿いの林道を利用して、この集材路へ入り登られているのであろう。集材路をつないで頂上を目指す方が、廃道になった登山道を辿るよりも遥かに効率が良いようである。

 集材路からは、雪の腐り出していない日陰の北面斜面を選び、頂上まではキックステップでゆっくり登る。登山口からの予定外の藪漕ぎにより、約4時間30分を費やしての登頂である。頂上は写真では知っていたが、樹林に囲まれ展望はほとんどない。僅かに十勝幌尻岳の姿が木々の間に望まれるくらいである。帯広岳頂上を示す、大きく立派な標識には帯広市・帯広観光協会・帯広山岳会の名が連名で記載されており、登山道開削当時の力の入れ込みようが伺える。憶測だが、この山は一般的な見方をすれば、日高の名峰群を前にして標高も展望も見劣りする山である。剣山のような特殊性にも乏しく、何時までも登り続けられるほどの魅力はなかったのではないだろうか。

下山は同じルートを辿る。登りで苦労した笹藪も下りでは下を向くため、登路での苦労が嘘のようである。コンタ540mの作業道の尾根乗越しからは作業道を下る。ここにもヒグマの足跡があり、付近の生息密度の濃さを感じる。この作業道は途中数ヶ所に渡って崩壊しているが、すぐに続く作業道が現れる。しばらく歩くと登山口を示す看板に到着するが、この看板に貼り付けられたビニールテープが示す「登山道」はすでに廃道となっているので、間違い防止のために剥すことにする。この作業道の沿道には福寿草が多く、遅い春を感じさせてくれる。(2003.5.3)  

※ 後日、八谷和彦さんから次のような書き込みがありました。帯広岳の登山道は、地形図では東側に書いてありますが、北側にもあるのではないかと思います。北麓の森に入るところに「登山道」の看板があり、ずっと林道〜造材道、作業道があり、頂上のすぐ北、100mもないところまで続いていましたので、夏ならこれを登山道としているのではないかと思いました(私は冬にここを登りました)。

【参考コースタイム】 車止め 9:28 → 帯広岳登山口看板 9:40 → コンタ540m尾根乗越し 11:10 → .739m 11:53 → 帯広岳頂上 13:49、〃発 14:08 → .739m 15:02 →コンタ540m尾根乗越し 15:32 帯広岳登山口看板 16:08 → 車止め 16:18

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