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    高広山(609.1m)・沼 岳(899.2m) ・・・ 道北特有の平で広い山

 

下山中に見た沼岳

   

1/25000地形図 仁宇布」「ピヤシリ山」 

道道49号線沿いの除雪スペースに車を置く
南側へ回り込むと作業道跡が見つかった

 高広山、道北でこんな人の名のような山名は聞いたことがなかった。沼岳については以前にKo玉氏が登ったという話を耳にしていたので、遠くて大変な山という印象で何となく覚えていたが、いきなりこの両山に登ることになったのは、この日計画していた山行が頓挫したからだった。当初予定していたのは入布山と文珠岳だが、計画していた南側からの林道が頂上まで13kmもの距離を残して完全に積雪に埋まっていたのには愕然とした。であればと、北側からのアプローチを探ってみたが、道道680号線(班渓〜美深)は途中のゲートで阻まれ、こちらも失敗となる。全くの目算違いである。時間ばかりが過ぎて行く。Ikkoさんも焦っていたのだろう。代替案があるとのことで、車からこの両山の地図を出してきた。正直、あまり魅力は感じなかったが、日の出前から晴天のこんな登山日和を無駄には出来ない。Ikkoさん曰くは、道道からの取り付きが近く絶対に大丈夫とのこと。しかも600mもの標高があるそうだ。えっ?と思ったが、最近の山行を考えれば600mは立派なもの。過ぎて行く時間を考えれば躊躇してなどいられない。

高広山頂上に金麦を置く  背景は入布山
沼岳へ向けて雪原は果てしなく続く
先行するIkkoさんはツボ足

 アプローチとなる沼岳林道の入口付近には辛うじて2台分の駐車スペースがあり、まずは無事にスタートとすることが出来た。地図さえ見ていないこの山だが、Ikkoさんが考えた末に決めた山なので相応には楽しめるのだろう。林道に入って少し歩くと取り付きとなり、緩い斜面を上がって行く。と、前方には壁が現れ、一見してこれを登るのは無理と思ったが、よく見てみると岩と岩の間の雪渓さえつないで行けば何とか上へは抜けられそうだった。だが、スキーを使用している私としてはちょっと厄介だ。この先、沼岳までを考えればスキーは絶対に必要。ここはスキーでも登れそうなルートを探すのが急務である。横へ回り込めばどこかでスキーでも登れそうな斜面が出て来るのではないか・・・ 思いっきり南側へと回り込むことにする。真っ向勝負を信条とするIkkoさんはそのまま急斜面に取り付いたのだろう。途中で振り返るが、やはり私一人、パーティはばらばらとなる。次の集合地点はおそらく高広山の頂上だろう・・・

 南面の笹が起きつつある急斜面を、雪渓をつなぎつつ進んで行く。急斜面だが先程のような大岩は出てこない。そうこうしているうちにラッキーにも作業道跡へと入り込む。この作業道跡、消えそうでなかなか消えない。しかも、そのうち徐々に雪渓ばかりとなり、スキーという道具には水を得た魚状態となる。ここは勝負所と張り切るが肝心の体力が付いてこないのが残念だ。傾斜が徐々に緩み、広い稜線上となる。どこかにIkkoさんの足跡があるはずと探してみたが、結局足跡を見つけることが出来ぬまま高広山頂上の広い雪面に到着となる。この山の名は読んで字のごとく、高いところが広い山ということだろう。金麦を置いて記念撮影、背後にはシアッシリ山と入布山が大きく平らな姿を見せている。この時期の晴天の空の青さと雪渓の白い輝きは感動もの。こんな日に登った山の印象としては、間違いなく良いものとなるのは当然で、隠れた名山とついインプットしてしまいそうである。 撮影を終えた直後にIkkoさんが現れた。聞けば途中で私を待っていたとのこと。Ikkoさんには悪いと思ったが、お互いがそれぞれにマイルートを選ぶことはここのところ多い。仮にこのまま待って彼が現れなかった場合、私も稜線上を下って様子を見に行くつもりだった。

シアッシリ山を仰ぐIkkoさん  高広山頂上台地上にて

  二人揃ったところで、さあ、次は沼岳である。先ずはコルへ向けての緩い下り、楽勝ものと快適にスキーを滑らせる。けっこう進んだと思ってGPSを見るが、沼岳はまだまだ先のよう。実感として沼岳までの距離を感じさせられる。ここはGPSなど見ずにただ黙々と進むのが得策のようだ。スキーであれば下り斜面で足を休ませることができるが、Ikkoさんはツボ足なので両方同じに体力を使う。Ikkoさんに言わせればスキーの下りは自分の足では歩かないので邪道とのこと。だが、彼の場合は入れればピークの近くまででも車を使う。これは邪道とは言わぬのか? まあ、この世界はあくまで個々の拘りが全て、これが正統といったルールなど存在しないのが良いところ。それぞれの登り方それぞれが正解である。そんなことを考えつつ進んでいるうちに距離を稼ぎ、ぐんと沼岳ピークが近づいていることに気付く。透き通るような空の青さはどこまでも広がっており、真っ白な雪面はどこまでも続いているといった感じである。

  途中、北側の山域が180°の大パノラマで展開し、遠く利尻山までも見える実に雄大なビュウポイントを通過する。この急斜面を登りきって、あと数百メートル。さらに進んで、高広山からは黙々と歩くのみだった山行も、残りわずかで折り返し地点の沼岳ピークとなる。Ikkoさんは既に頂上を踏んで、展望が開けた少し先まで行って写真撮影をしている。さすが余裕のIkkoさん。私は一足遅れで頂上到着、やれやれといったところ。「みちびき」対応のGPSは今までの経験上では2m程度の誤差。到達と表示されれば間違いなく2m以内のどこかに標石が埋まっているはず。南側が大きく開けて遠く大雪や十勝の山々までもが確認できる。だが、真正面の大きな山(ピヤシリ山)が判らない。下調べなしに来ればこんなもの。いつものことながら何の表示もない頂上なので今回はホワイトボードを持って来たが、沼岳の標高が書けない。まあ、登ったというだけで十分でしよ。

沼岳頂上にも金麦を置く

 帰りは一本西側の尾根末端まで行ってから高広川へと下ることにする。当然のことながら下りも長い。視界がない時などはGPSが無かった時代にはかなり神経を使った記憶がある。今はたとえ間違ってもすぐに修正が出来て、次の目標地点へはピンポイントで到達することができる。こちらも長い尾根、末端付近は急傾斜で高広川へと下っていた。尾根上まで伸びている作業道へと進み、最後は急斜面を横切る形で往路の林道へと下った。  

 代替案ということで急遽決まった今回のルートについて、Ikkoさんの腕に付けていた活動計では総距離16km、エネルギーの消費量は3000キロカロリーだったとのこと。沈む雪面をツボ足で歩く16kmとスキーを使った16kmではその数字は大きく変わってくるが、スキー使用であっても疲れたのは確かだった。私としては道北の山に見られるような緩く長い尾根はやはりスキーが良いと思っている。ツボ足とスキーが1つのパーティを組むとなれば、お互いを待っていたのでは足の引っ張り合いとなる。今回も何度かバラバラになったが、そもそもが単独行のIkkoさんであり、それも良しと思っていた。ただ、今後の具体策としては、山の中では携帯電話が通じないケースが多く、無線機の使用を考えようとの結論となる。(2016.5.2)

参考コースタイム】沼岳林道入口 P 8:20 → 高広山頂上 9:45、〃発 10:00 沼岳頂上 12:20、〃発 12:45   沼岳林道入口 P 16:00  (沼岳まで 登り4時間、下り3時間15分 休憩時間を含む)    

メンバー】Ikkoさん、saijyo

 **山行写真**

ザックの位置が高広山の三角点

沼岳はまだまだ遠い (Ikkoさん提供)

登る予定だった入布山も見える  背後は函岳 (Ikkoさん提供)

途中から見たシアッシリ山 (Ikkoさん提供)

GW前半に降った新雪のため雪面は真っ白だった (Ikkoさん提供)

 

沼岳への途中から薄っすらと利尻山(右側)が見えた  手前は鬼刺山 (Ikkoさん提供)

 

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