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       糠平山(1350.0m)雁皮山(1236.8m)

1107m標高点へ向う作業道から糠平山

/25000地形図  「三 岩」「二岐岳」

990mコル付近からは日高幌尻岳と戸蔦別岳の姿が望まれる
採石場に車を置くが、そこから先にはまだ雪が残っている
糠平山頂上からチロロ岳方面を望む
糠平山手前のピークの斜面にて
採石場に車を置くが、そこから先にはまだ雪が残っている
糠平山手前のピークの斜面にて
糠平山頂上から雁皮山

糠平山と雁皮山は「ガイドブックにない北海道の山50(八谷和彦著)に紹介されて以来、マニアックな山という印象がなくなった山の一つである。日高かんらん岩の採石場が岩内岳の南面にあるため、沙流川支流・岩内川沿いの林道は冬期間も除雪されている。しかも日曜日の作業は休みということもあり、登山者には絶好のアプローチを提供してくれる。

日高町や平取町の周辺はもともと雪が少ない地域ではあるが、採石場までの沿道にはほとんど雪が見られず、予定しているスキー登山は難しいように感じられる。逆に尾根取付きまでの車の乗り入れが可能であれば、ツボ足登山になった場合にはかえって有利であると期待したが、採石場から先の林道は予測に反して雪に覆われていた。何時も思うが、この時期の林道状況の予測は難しいものがあり、臨機応変の対応が必要である。

採石場の邪魔にならないところに車を置き、スキーで林道を進む。途中617m標高点付近で分岐となり、予定通りそのまま右股へ進む。分岐からすぐのところで林道は大きく崩壊し、跡形もなくなっている。昨年の台風10号の爪痕である。ここは山側の雪が付いている斜面の雪渓をつないで進む。あまり使われているとは思われないこの林道の復旧には、かなり時間がかかることだろう。河原に残っている雪渓上には薄っすらとスキーのトレースがみられる。おそらく先週のものと思われるが、一週間前のものであれば河原を歩けるほどの積雪があったということになる。以前にこの時期の融雪の進み具合を計ったことがあるが、晴天続きであれば一週間で約1m、曇天続きであれば約60cmの雪面の変化があったのを覚えている。この数字はかなり大雑把であるが、融雪が大いに進む時期であるということだけは確かである。

すぐに林道が現れ、ぐんぐん標高を上げてゆく。この林道は沢形を大きく迂回し、見た目には遠く感じるため、途中から1107m標高点を目指し右側の尾根に取り付くことにする。平凡な林道歩きよりは変化のある斜面の方を選択する。尾根上に上るまでは急傾斜であるが、上がってしまえば緩く広い斜面となる。途中から現れた作業道をそのまま進むと1107m標高点付近まで行くことが出来る。ここからコンタ990mのコルへいったん下るが、林道からそのままこのコルを目指して進んできた方が速く、労力も少なくて済んだかもしれない。

コルから頂上までは程よい傾斜の登りとなる。背後には振内山やハッタオマナイ岳付近の山々が見える。北日高の展望が開けるのはコンタ1250m付近からである。残念ながら日高幌尻岳や戸蔦別岳の頂上にはガスがかかり、特徴あるシルエットが見えないのは残念である。小ピークを巻き気味に進み、最後の斜面を登ると広く平らな糠平山頂上である。4年前の1月にチロロ川側の三島林道から登り、ここで一泊している。三島林道からの登りは楽であるが、その分距離は長い。日没と夜明けの変化に富んだ北日高のすばらしい展望は今でも目に焼き付いている。

雁皮山から1347m峰(林業界の双珠別岳) 雁皮山頂上は白樺林の中

頂上からは東に針路を取り、雁皮山を目指す。この山は派生尾根のコブにすぎないため、山名や三角点がなければ、おそらく誰も目指すことはないだろう。ほとんどアップダウンのない広い稜線はシールを外し、できるだけ登り返しがないように進む。遥か遠くに見えた雁皮山であるが、ラッセルがないこの時期、スキーを滑らせることにより意外に短時間(約1時間)で到着することが出来る。ただし、最後の十数mの緩い登りだけはシールを外しているために多少苦労する。雁皮山頂上は名前の通り白樺林に覆われていて展望はほとんど利かず、僅かに遠く1347m峰(林業界で「双珠別岳」と呼ばれている)の鋭く尖った姿を望むことができるだけである。

雁皮山の頂上からの下降は往路で通過した二股を目指す。樹木がうるさいために滑りはあまり期待できず、斜滑降と横滑りを繰り返しながらの慎重な下降である。1006m標高点付近で尾根を取り違え、修正のためのトラバースをしている途中に集材路を発見する。そこからは集材路を利用して下降するが、思ったよりは雪が付いていて楽に下降することが出来る。

私にとっては3度目の糠平山であったが、展望が良く、コースの取り方によってはスキーも十分に楽しむことができ、冬山としてはアプローチも便利と三拍子揃っている。冬型の気圧配置の日には日本海側の山の代替案として、お勧めできる一山である。(2004.4.18)

【参考コースタイム】 採石場(除雪終了地点) 7:45 → 990mコル 10:25 → 糠平山頂上 11:40、〃発 11:50 → 雁皮山頂上 12:55、〃発 13:05 → 採石場(除雪終了地点) 14:30

メンバーsaijyoko玉さん、TAさん

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