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      塚岳(1353.2m)?・オムシャヌプリ(1379m)

 
途中から見る野塚岳(右)と野塚岳西峰(左)

途中から見る野塚岳(右)と野塚岳西峰(左)

/25000地形図  「楽古岳」

920m二股からは楽しい登りである
920m二股からは楽しい登りである
核心部は急な登りであるが、手がかりがしっかりしている
オムシャからの下り、最後はこの滝の上に出る
野塚トンネル入口から入渓する
コンタ790mの滝は雪渓に覆われていた
920m二股を左に進むとガレ場となる
主稜線から野塚岳を望む
主稜線から野塚岳を望む

南日高の国道236号「天馬街道」周辺の山々は、同国道と日高自動車道(苫小牧東〜厚真) の開通によりアプローチが非常に楽になった。沢のシーズン始めは近郊から・・・といつも考えていたが、札幌から約3時間で行くことが出来る同山域は、国道付近がすでに上流部であるため、ピークまでの標高差が少なく、沢の“おいしいところ取り”が容易に出来る。札幌近郊の沢と比較してもスッキリとして明るく、シーズン初めの格好のゲレンデである。今年は3年前にもトレースした野塚岳〜オムシャヌプリを計画した。例年以上の積雪だったのか、二オベツ川上流には2ヶ所に予想外の大きな雪渓が残っていて、躊躇させられる。

野塚トンネル横から二オベツ川に入渓する。トンネル横には「室蘭開発建設部・野塚トンネル第一電気室」が立っているが、この建物は河原からかなり高い位置(7〜8m)にあり、以前は“河原へ下りる鉄梯子”があったが、今年はなかった。何らかの理由で撤去されたのであろうが、登山者にとっては不便になった。下流へ約50m進んだところに河原まで1m位の場所があり、そこから河原へ下りる。川の対岸には護岸のためのブロックが積まれており、この上は平らで歩き易い。二オベツ川沿いにはかなり明瞭な踏み後が見られ、このルートの人気の高さが伺える。

コンタ720m付近で、最初の雪渓が現れる。雪渓の状態(厚さと位置)を確認し、恐る恐るここを通過する。過去数回の遡行では雪渓を見たことがなく、地形的にも、この先、標高を上げると次々と同様の雪渓が現れることが予測され、進退を相談するが、とりあえずは次の雪渓を見ることにする。

小滝を越えると程なく次の雪渓が現れるが、かなり広範囲にわたっており、いつも直登していた78mの滝(コンタ790m)も雪渓に覆われ、上部のみが顔を出している。この滝は水際のすぐ左岸側を攀じ登るのだが、取り付きは雪に埋まっていて、途中からは取り付くことが出来ない。高巻きルートを探すと右岸に明瞭な踏み跡があり、この滝の通過には、多くの登山者がこの巻き道を使っていることがわかる。

この滝を通過すると小さな滑滝が現れ、920m二股である。あまいものこさんのHP甘藷山荘・野塚岳」では、左股をそのまま詰めて崩壊地から通称“野塚平”へ登る状況が書かれているが、我々はいつも登っている右股へ進むことにする。ここからの登りは小滝が連続し、沢登りの醍醐味を十分楽しむことが出来る。どの小滝もしっかりとした手がかりがあり、ザイルを必要とする個所はないが、下降を考えた場合には懸垂の支点となる樹木が少ないこともあり、一つ一つの滝をクライムウンしなければならず、登りよりも数段難しい。以前には初心者を連れ、沢の右岸側の尾根上を藪漕ぎで下ったこともあったが、920m二股へ降りるところでザイルを使った記憶がある。現在は野塚岳から主稜線上を南下し、コンタ1220mのコブから二オベツ川へ踏み跡を辿る通称「下降尾根」を下るのが一般的なようである。

最後の詰めはほとんど藪漕ぎもなく野塚岳のピークへ到達する。途中からガスがかかってしまい、日高側の視界が利かないのは残念である。

野塚岳からは下降尾根の頭へ向けて割と明瞭な踏み跡を辿る。コンタ1220m(下降尾根の頭)への登りの途中で、踏み跡は右側へ向かって行くが、我々はそのまま頭へ向かう。主稜線上の踏み跡は途切れがちであるが、以前との比較では明瞭になりつつあると言ってもよい。1232mピーク付近からは大きな岩が現れる。所々で視界の利かない藪の中を進むが、総じて藪は薄い。最低コルからオムシャヌプリまでは標高差200mであるが、縦走路全体(野塚〜オムシャ)を考えるとほんの一登りである。野塚岳から約3時間でオムシャヌプリ頂上に到着する。東側にオムシャ東峰が見えるが、予想以上に時間を費やしてしまったため、今回は本峰のみである。

オムシャからの下りは、野塚トンネル手前のパーキングへコンパスをきり、尾根上を強引に下ることにする。前回の山行では、パーキング正面のルンゼ状の小沢へ上手く入ることが出来たが、今回は藪尾根上で予定のルートから少し右側にずれてしまい、緩い沢形地形へ入り込んでしまう。尾根上へ戻るにはトラバース気味に進まなければならず、時間を要するため、そのまま下ることにする。地形図で確認したところ意外に急峻な沢で、滝が出て来る可能性はあるが、30mザイルを持っているので下降は可能と判断する。途中、この山で初めてのヒグマの糞を確認する。この沢は傾の割には滝がなく、ぐんぐん標高を落として行く。進行方向には「下降尾根」が見える。滝はないものと安心するが、この小沢の終点で滝上に出てしまう。覗き込んだところ、15m前後の感じであり、30mザイルでは微妙なところである。左岸が草付の斜面なので、草を根元から掴みバランスを保持しながら地下足袋のスパイクを利かせ慎重に降りる。結局、ザイルなしで下降することは出来たが判断の甘さは反省しなければならない。.665標高点で右岸から合流する川には水煙を上げる1015m位はある2段の滝が見え、この滝上でなかったことにはホットする。この滝も以前渇水期に登り、見た目程困難ではなく割と楽に登った記憶があるが、下降はいやらしそうな様子である。合流点から下降尾根末端付近を通って、程なく登路のルートへ出る。

尾根を使っての薮漕ぎ下山は、未知の沢に入り込むことが充分考えられ、下降はザイル1本ではなく、少なくても最低2(20m30m)は必要であることを痛感させられた。(2003.6.22)

 【参考コースタイム】 野塚トンネルパーキング 5:30 → 920m二股 8:18 → 野塚岳頂上 10:10、〃発 10:41 →  .1232標高点 12:31 → オムシャヌプリ頂上 13:43 → .665標高点 15:59 → 野塚トンネルパーキング 16:40 

メンバーsaijyoチロロ2

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