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   牛山(539.0m)

 
滝野霊園から望む「野牛山」・・・私にはどう見ても牛には見えない

滝野霊園から望む「野牛山」・・・私にはどう見ても牛には見えない

 

    1/25000地形図「空沼岳」

園内のかなり整備されたトイレ
園内には立派な標識も整備されているが…
仕切り直しで支笏湖道路から野牛山へ
こんな感じではこちらからの登山者はほとんどいない

野牛山、文字だけ見れば牧草地にホルスタインが佇んでいるような、何とも北海道的でのんびりとしたイメージである。つい最近まで知らなかったが、この山の読み名は“のうし”ではなく“やぎゅう”が正解だと盟友であるKo玉氏から教えてもらった。私は山を始めて30年になるが、始めた当時には存在しなかった山名で、名前がついたのはそう古い話ではないように思われる。国営滝野すずらん丘陵公園がこの山に隣接しており、ひょっとしてこの施設の整備の過程で、青少年山の家なのに山がなければ格好が付かなく、便宜上、三角点(点名;野中山)が設置されているこの山に白羽の矢を立てたのではないだろうか。野中山ではインパクトに欠けるため、見ようによっては牛が寝そべっている形にも見えるので、“やぎゅうさん”とした経緯をつい想像してしまう。あくまで私の想像だが、仮にそうだとすれば施設ありきの考え方で、少々安易すぎるのではないだろうか。北海道に野生の牛など生息せず、“やぎゅう”では何の関連性もない。景観を損ねるどこかの企業看板みたいなもので、不釣合いも甚だしい。留寿都の貫別山がやはりMt.イゾラ(意味不明)に名前を変えてゲレンデスキーヤー向けにデビューしているが、過去など全く無視したご都合主義の命名では山が哀れである。野牛山も本来の点名が示すように野中山とすべきであろう。

過去に、駐車スペースが近所迷惑とか入山料の支払いとか、山ヤの車の止め方がいろいろトラブルのもととなっていることもあり、青少年山の家・野牛山登山のページを参考に、施設内の南第一駐車場に車を停めることにする。ゲートで野牛山登山の旨を伝えると、なにやら電話の様子。駐車料金の400円を支払うと、入場料(大人400円)も合わせて請求される。トラブルよりはまだましか…と施設内に車を駐車、案内表示に従って野牛山を目指す。登山道へと下って行くと、何とバラ線まで巻き付かせた背の高いフェンスで仕切られ、扉は厳重に施錠されているではないか。フェンスの途切れるところと探すが、行けども行けども周りの笹薮が綺麗に刈られていて、立派なフェンスが延々と続いていた。これで兵士でも立っていれば、まるで国境といった雰囲気である。結局登山道へは出られず終いとなる。料金を徴収する前に、今日の目的を伝えているのだから施設内の状況をもう少し詳しく説明する親切さがあってもよいのではないかと思った。これで国営なのだから、何ともあきれた話だ。文句の一つも言いたいところであったが、さらにもたもたしていたのでは野牛山はますます遠くなる。支笏湖道路へとすぐに施設から出る。

二つの頂上標識。壊れたものは片付けるべき

ラルマナイ川へ向って下る急カーブの手前が野牛林道入口となっている。NTTドコモの中継施設があって判りやすい。入口には何やらヒグマ注意の看板が取り付けられているが「とりあえずは注意だけはしたよ、いいね…」といったところだ。この林道にはバイクが頻繁に出入りしているのか、ゲートの横にはタイヤ痕が残っている。おそらく、だれも来ない林道でライダーがモトクロスでも楽しんでいるのだろう。幅の広い平らな林道が続いていて、とても山登りといった雰囲気ではない。この日は雨天予報であるが、ちょうどこの時間帯は小康状態といったところ。いつ降りだすかは判らないので早足で登山口へと向う。1.5Kmくらいも進んだだろうか、頂上まで0.5Kmの札幌市教育委員会の看板を見る。

登山道へ入ると道自体はしっかりとしているが、両側からはかなりの笹が被っていて、雨後のためにずぶ濡れ状態となる。青少年山の家の登山概念図で、ここの登山道には×印が付けられていたが、Web上でもここから登っている記録は見当たらず、積雪期の記録ばかりである。昨年のクマ情報も貼り出されており、好き好んでここの藪を漕いで登る登山者などいないのかもしれない。おそらく今後は廃道化の一途をたどることだろう。稜線が見えるところまで上がると登山道は一部明瞭になるが、頂上が近づく頃には再び被り出す。頂上には三角点と頂上標識が立てられていて、位置的なものか木々の間から見える眺望は良い。すずらん丘陵公園や滝野霊園、札幌の市街地、石狩湾までもが望まれる。青少年山の家が建てたものか、倒れて粗大ゴミとなった大きな標識もあり、景観上、速やかに片付けてほしいものである。

山仲間同士の会話では、一度登るとその山をどこからでも指呼できるようになるとよく言われる。不思議なもので、私は藻岩山の観光道路沿いに居を構えているが、出勤途中や犬の散歩の時には朝に夕にこの野牛山を眺めていたようである。灯台下暗しとはよく言われるが、山名と視覚に映る山とが今回の登山を通して初めて一致することになった。道内の数多くの山々を登ってきた自分としては何とも片手おちな話だが、少々感動的であったのは正直なところである。(2009.11.1)

【参考コースタイム】

牛林道ゲート前 11:30 南登山道入口 11:55 野牛山頂上12:10 、〃発 12:20 南登山道入口 12:30 牛林道ゲート前 13:00

 (登り40分、下り40分)

メンバーsaijyo、チロロ2

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