<戻る    

   野花南岳(905.8m)近藤山(876.9m)

    1/25000地形図「島ノ下」「奥芦別」

三笠から富良野への国道452号・道道135号沿線エリアには数多くの薮山があり、今までにそのほとんどを踏んできたが、今回は残る二山(野花南岳、近藤山)を日帰りで計画する。8月にこの両山にチャレンジした折にはあいにくの雨となり、降りしきる雨の中を偵察こそしたが、そそくさと帰ってきた。アプローチとなる近藤沢川林道は見かけよりはしっかりとしているが、数ヶ所は降雨の際にはすぐにも崩れそうな感じで、帰路を絶たれぬためにも天候が安定した日のリベンジと考えていた。両山とも、車高の少し高い車であればピークまで約1kmの至近距離まで近づくことができ、どちらか一山に丸一日を費やすには少々もの足りない感じである。

小沢は途中からは集材路跡になる

野花南岳は野花南川の水源の山ということになろうが、この川が直接頂上へ突き上げているわけではない。もっとも、少しエリアを広げて山全体で考えれば、確かに水源の山といっても間違いではないだろう。近藤山の山名については調べがつかず、今は先送りするしかないが“近藤”は明らかに和名であり、おそらくは人名なのではないかと思われる。今後、機会をみてじっくりと調べるつもりでいる。  

林道終点は野花南岳への小沢の出合となっている

野花南岳へ

近藤沢川林道は道道135号の富芦トンネル手前(三笠側)約1.5kmが入口となる。林道に入って少しの間は、左側が切れ落ちていてあまり気持ちの良い感じはしないが、路面自体は見た目以上にしっかりとしているので走行に支障はない。夕暎山への不惑沢林道分岐を過ぎると少々荒れてくる。結局、終点まで車を乗り入れるが、終点広場は野花南岳へ突き上げる小沢の出合となっている。水流はわずかで、上手に歩きさえすれば長靴でも十分に登れそうな感じである。地形図上では距離が短く、下手したら滝に行く手を阻まれるかともしれないと思っていたが、行けども行けども何も現われず、平凡な小沢が続くのみである。小さな二股となったので一休み、地形図を出したところ、既に行程の半分が終了していた。

野花南岳頂上にて 黄緑色の四角錘となった三等三角点「野花南岳」

そこからはむしろ沢形が広がったように感じる。何となくではあるが、原型をとどめていない集材路のようである。そのまま登って行くと、明らかに道路跡と思われる古い集材路が横断しており、登って来た集材路跡?と合流する。藪の薄そうなところと集材路を横へと移動、倒木を利用して再び薄い藪漕ぎを開始する。倒木周辺ではカバアナとムキタケをゲット、さすがに人がめったに入らない山域、忘れられた秋がそこにはあった。頂上までは距離にしてわずか100m程度、かなり上部まで集材路が入り込み、最盛期には山全体で伐採作業が行われていたように思われる。頂上への距離が縮まると俄に根曲がり竹が鬱蒼としてくるが、既に100mを切っていればどんな藪も気にはならない。最後は平らな笹薮となり、その中に苔で覆われて見事なほどに黄緑色の四角柱となった三角点を発見する。第一発見者はやはり臭いの判る男・Ko玉氏であった。展望はあまりなく、夕張中岳の鋭角的な山容と既に白くなった芦別岳周辺のみが判る程度である。以前、冬の尻岸馬内山から見た時には、懐の深そうな大きな山といった印象で眺めていたが、今日のルートでは山登りというには少々はばかられる感じである。下りは登り以上にあっけなく、わずか30分で車に到着する。予報では低気圧が日中に北海道を通過、どこで崩れてもおかしくない空模様である。ゆっくりとはしていられず、すぐに近藤山へと向う。  

林道を近藤山へと移動する
木の上から近藤山頂上を見る。見づらいが中央にKo玉氏

近藤山へ  

近藤山へと向う支線林道はわりと新しく、出来上がってあまり時間が経っていないように感じるが、普通乗用車で終点まで乗り入れるには少々無理がある。終点は広場となっていて、さらに小沢沿いに集材路跡が続いている。この道路跡はいくらも進まぬうちに二股となって左側の小沢へと消えて行く。我々の入った右股にも細々とシカ道が続いていて、雑草の枯れたこの時期では難なく進むことができるが、ヒグマの糞は数ヶ所に見られ彼らの生活圏であることには間違いないようだ。

稜線が近づいたと確認できる辺りまで登ると集材路跡に飛び出すが、この小沢は頂上へは突き上げていないので、稜線上・約500mは藪漕ぎで進まなければならない。できるだけ藪を漕がなくてもすむよう、この集材路を使って水平移動した方が得策とも考えるが、稜線まで出てしまった方が良いとの意見もある。まあ、集材路と藪が入り乱れるこの手の山行で、そもそもこれが正解といったルートを見つけ出すことは至難の業といえる。大方はひらめきとその結果が納得できたかどうかということになるだろう。ただし、何度か訪れて別ルートからでも登ってみれば、妥当な線も見えてくるだろうが、何度も訪れる山でもなさそうだ。

この日の我々の選択は稜線からのアプローチとする。稜線上は笹薮で、出来るだけ右に左に根曲がり竹を避けてルートを選ぶが、植生は如何ともし難く、最後は3m越えの根曲がり竹を掻き分けての近藤山頂上到着となる。頂上は濃い藪の中で、今回の三角点探しではキンチャヤマイグチさんに軍配が上がる。三角点探しの名人を差し置いての発見で見せた彼の笑顔は何とも印象的であった。頂上展望はなく、木に登ってかろうじて芦別岳付近や夕暎山あたりの山影が見える程度であるが、これも近藤山の顔である。何れにしても藪山の手強さを感じさせるこの日二山目の終了地点であった。(2009.10.18)

【参考コースタイム】林道終点 9:10 → 野花南岳頂上 10:15 、〃発 10:20 →  林道終点 11:00   支線林道終点 11:25 → 近藤山頂上 13:10 、〃発 13:30 →  支線林道終点 14:20

 (■ 野花南岳 登り1時間5分、下り 30分 ■ 近藤山 登り1時間40分、下り50分)

メンバー】Ko玉氏、キンチャヤマイグチさん、saijyo

<最初へ戻る