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       砂岳(892.3m)

 

/25000地形図 「信砂御料」

恵岱岳から見た信砂岳
道道の路肩に車を止める
尾根の頭付近にて

信砂岳(のぶしゃだけ)は暑寒別山群の東側を形成する山々の中では最も北に位置する山である。冬期間はアプローチが容易であることもあり、スノーモビルも縦横無尽に入り込んでいる。頂上部は広く平らであり、今風に言えば札幌ドーム約35個分の広さである。視界が悪いときには往路を見失いやすいので、標識を残して置く必要があるが、見失ったとしても、どこからでも道道に出ることができるので、別ルートを下れば、車の回収に手間取るくらいのものであろう。

御料峠から約3.5km増毛側に下った路肩に車を止める。ここから562m標高点のある北東へ伸びる枝尾根を目指し、できるだけ登り返しがないように沢形をコンタ400mまで進んでから尾根上へ登る。弱い気圧の谷の影響で天気はめまぐるしく変わり、尾根への登高中は雪雲に覆われ真冬の装いとなるが、尾根上に出る頃には青空が広がり、日も照って春の陽気となる。遠くに留萌・ポロシリ山や鷹泊の坊主山の白い姿を望むことが出来る。尾根上は樹木も疎林で、春風がそよぐ白い斜面は気持がよく、何とも楽しい気分である。

前方に見えるのが信砂岳頂上 頂上はこの日一番の悪天となる
尾根の下降中、日が差してくる 春風が吹く尾根上は心地よい

頂上台地の端へ出ると、山の頂上付近にいるというよりは高原にでもいるかのような感じである。天気は再び下り坂となる。この地形での頂上の特定は難しそうであるため頂上にあわせてコンパスを切り、出来るだけ真っ直ぐに進むことにする。緩い丘を登りきると前方遠くに少し小高くなった頂上付近が見えてくる。頂上まではほとんど傾斜はなく、原野でも歩いているかのようである。スノーモビルが23台入っているが、おそらく御料峠の待避場に車を止めていたグループであろう。すぐ隣には恵岱岳もあるが、この山は地形的に複雑でありスノーモビルでのルート取りが難しいためか、先日訪れた時にはスノーモビルのトレースは見られなかった。彼らが目指す目的地はどうやらこちらの山だったようである。

頂上が近づく頃からさらに天候が悪くなり、頂上到着時には北よりの寒風も吹き出して冬山そのものである。頂上は若干高くなっている。西側の地形を見て、地形図と照らし合わせて検討するが、頂上であることは間違いない。悪天のため、予定していた頂上ビールとインスタントラーメンは取り止めて、すぐに下山に入る。トレースを辿って行くが、新たな降雪のために途切れがちである。途中からはスキーのトレースは全く判らなくなり、突いたストックが散らした雪が規則的に続いている雪面を追って進む。天候が悪化してゆく中でそれすらも判らなくなり、ホワイトアウトに近い視界の中、できるだけ方向を変えずに進んで行く。登ってきた尾根の頭へ正確に戻ることは至難の業であるように思われる。つい自分の残したトレースに頼ってしまったが、本来頼るべきは地形図でありコンパスである。この場合、コンパスで進むべき方向を掴んで、地形の微妙な変化を手がかりに正確な位置と進路を地形図から読み取るべきであった。安易に登りのトレースに頼ってしまったことを反省する。尾根の頭からは再び視界が開けトレースも現れる。下降中は日も照ってきて、春山スキーを十分に満喫することが出来る。

春山は深雪のラッセルを強いられることもなくどこでも歩けるため、ついつい簡単であるかのような錯覚にとらわれやすい。しかし、厳冬期の要素も背中合わせで存在することも忘れてはならなかった。雪雲が通過するだけでも視界が全く利かなくなり方向を見失うことはよくあることである。どんな状況でもしっかり読図することの重要性を改めて教えられる山行であった。(2004.3.21)

【参考コースタイム】道道94号線 9:10 → 尾根の頭 11:05 → 信砂岳頂上 12:05、〃発 12:10 →途中約30分の休憩 → 道道94号線 13:45

【メンバー】saijyo、チロロ2

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