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   ニトヌプリ(1080m)

車両旋回場から望むニトヌプリ

1/25000地形図 「チセヌプリ」

チセヌプリの除雪車両旋回場に車を置く
実際の頂上はハイマツの中

  ニトヌプリは初めて山岳会というものに入った30数年前の正月に訪れている。五色温泉からだったので、チセヌプリ往復の計画では帰りの登りが辛かった。正月のこの山域は荒れる日が多く、地図読み等も含め、初心者だった私にとってはそれなりに厳しい山行であった。現在のようにGPSが当たり前の時代ともなれば、そんな苦労も今は昔である。私個人として、この時に苦労させられた地図読みは現在でも生きており、たとえGPSを家に忘れてきても道迷いで苦労することがないのはこの時の経験からだと思っている。花も盛りを過ぎたこの時期だが、夏道のある快適な山歩きを楽しもうと最短コースから久々に訪れてみることにした。無雪期にこの山を訪れるのは初めてで、そんな意味ではやはり新鮮だった。

 チセヌプリの登山口である除雪車両旋回場に車を止めてスタートとする。道路を少し歩くとニトヌプリの登山口となる。有名どころと思いきや、標識は地面に置かれていて、意外に地味な登山口となっている。登山口からしばらくは岩がゴロゴロとして歩きづらい。もっとも、一般的な登山道と思ってやってきたので、余計にそう感じさせられるのかもしれない。斜面を巻くように続く登山道はすぐに登りやすい一本道となる。この日は気温が高く、しばらく続く急登にひと汗かかされる。こんな時に癒しとなるのはやはりこの時期に咲く花々で、種類は少ないがハイオトギリソウと白いニガナが雨後の瑞々しい姿を見せてくれた。

頂上標識と「金麦」
頂上標識と「金麦」

 この日は回転場からの他の登山者は一人だったが、短い登山道ではすでに登頂を終えたようで、足早に下山して行った。頂上が近づくとさらに3人パーティが下山の途についていた。スタート地点では我々のも含めて車が2台だったので、おそらく五色温泉からイワオヌプリを経由してニトヌプリ、チセヌプリと登頂、往復縦走を考えているのだろう。夏のニセコを目一杯楽しもうと考えるのなら、そんな三山登頂の計画もありかもしれない。もっとも、今の私の体力では思わず引いてしまいそうな計画ではある。

ハイオトギリソウ 白いニガナ

 登山口からわずか1時間の登りでニトヌプリ頂上の標識が立つ頂上広場となる。先に頂上に到着したチロロ2さんは「向こうの方が高い!」と、怪訝な様子でさらに先を指差している。確かに十数メートル先のハイマツの籔は間違いなく高かった。こんなケースは意外に多く、登山者のために手前の開けた場所に便宜上標識を立てて頂上としているようである。標識にはニトヌプリ頂上1080mと書かれているが、この地点は1080mではない。まあ、良いのでは・・・との意見が大多数であろうが、ここは私も拘ってハイマツを漕いでみることにした。ハイマツ漕ぎはやはり嫌らしいが、わずか十数m程度のもの。間違いなくニトヌプリ頂上となる。単なる籔の中だが、東側へ数歩進むと草地となって展望は開ける。ハイマツの枝にはピンクテープも巻かれており、世の中には我々同様に本物の頂上に拘る人間がいるということだろう。冬は誰しもが訪れる本当の頂上も、さすがに無雪期ではあまり立寄られてはいないようだ。

 手前の頂上広場へと戻り、大休止。五色温泉側から熟年カップルと若者グループが到着する。頂上標識の前で記念写真のシャッターを依頼される。何の記念か? 皮肉なことに、これでは登頂はしていないよ・・・との証拠写真に他ならないのだが、それはそれでよいのだろう。私も「金麦」を前景に頂上標識をデジカメに納める。チロロ2さんのリハビリを兼ねたニトヌプリ山行、今の地図がガイドチームとしてはこの辺が妥当なところだった。(2015.7.20)

参考コースタイム】チセヌプリ登山口(除雪車両旋回場) P 9:10 → チセヌプリ頂上 10:20、〃発 11:15 チセヌプリ登山口(除雪車両旋回場) P 11:55  (登り1時間10分、下り40分)    

メンバーsaijyo、チロロ2さん

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