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      西山(543.1 m) ・・・東西面がまるで違った山だった

伐採地から望む西山頂上(中央)

/25000地形図  「千 軒」

閉鎖された道道115号線ゲート手前に車を置く
道道115号線は荒れ気味で、何ヶ所もで崩れていた
これは楽勝と薄い藪尾根を登ったのだが ・・・

対岸に見えていたのが西山だった

地形図上では狭くなっていた沢形だが、実際はそんなでもない

最後の二股も見た目よりは簡単 (Ikkoさん提供)

  札幌で「西山」と言えばラーメン好きには垂涎の名だが、こんな名の山が歌志内市にあった。標高500m程度の低山で、googleの航空写真を見ると西側は迷路のような作業道で面のように彩られている。森林がかなりの規模で伐採されている様子で、異様な感じというのが私の第一印象だった。今回もピークに立つことが第一の目的なので、もちろんこの迷路のような作業道を使わない手はない。そんなことを考えての計画とする。作業道の広がりは道道115号に一番近いところで260m程度。例え藪漕ぎとなっても、伐採地にはせいぜい30分以内で飛び出すことができるだろうと思った。仮にこの現場まで別の方向から車で入ろうと考えても、その入口は必ず施錠されている。道道115号は、最近いつもゲートが閉じられているが、正攻法としてはやはりこのゲートから歩いて行くのが良いだろう。目的の作業道最短地点までは約2km、このくらいの距離であれば歩いても全然OKである。

 ゲートからいくらも行かぬうちに舗装が切れ、路幅も急に狭くなって、どこにでも見られる林道といった感じとなる。その少し先では道路が崩れており、どうあってもこれ以上先には車は入れない。修復したところで、さらにその先も崩れており、使用頻度を考えても予算など付かないのだろう。30分ほど歩くと右岸へと渡る「西山橋」となり、航空写真に写っている作業道までの最短地点となる。見れば藪も薄く、これなら楽勝だと思った。Ikkoさんを先頭に背の低い笹薮に突入、急斜面を登る。途中からは明瞭なシカ道となって、さらに進むと平行して電線も走っていることに気づく。シカ道ではないようだ。さらに登ったところで立派な電柱も現れた。Ikkoさん曰く「もう260mは過ぎているのでは?」・・・ 確かにそうだった。慌ててGPSで距離を見てみると、なんと400m以上も進んでいた。しかし、そのまま登るより他になく、登り詰めたところで地形図を見る。西山は谷の向こう側で、全く違うところに登ってしまったことに気付く。私の手には航空写真しかなく、感覚的に90°違っていたようだ。ついつい航空写真のみで動いてしまったことによる迂闊な結果だった。

 「谷へと下って、対岸の斜面を登りましょう」とIkkoさん。谷は深く、斜面も立っている。だが、とりあえずは斜面を下って谷底へと向かうしかないようだ。西山を真正面に見ながら、ずり落ちそうな急斜面を笹につかまりながら下って行く。仮に対岸に登るとすれば同じような状況を登り返さなければならない。ここは沢から詰めて行く方が絶対に楽。果敢なIkkoさんにとっては沢からといった選択は二の次で、ヒグマのように谷を横断して藪から再び藪へと考えているようだ。そうこうしているうちに谷底へと到達する。水量が少ないので、とりあえず320m二股まで進んで直登沢の様子を見てみようと提案、そのまま沢筋を進むことにする。スパイク長靴でも何とかなりそうだった。二股からも見える限りでは滝のようなものもなさそうだったので、成り行き上だがそのまま進むことにする。途中、小さな滝が数ケ所出てくるが、難なくクリアする。410m二股の左股はスラブ状の少し長い登りとなっているが、傾斜がないので問題なく登り詰める。そして源頭の沢形に到着。

やっと稜線に飛び出したのだが、目の前に道路があった! 最初に目に飛び込んできた御料山
二等三角点「西山」と金麦 荒涼とした伐採地に咲くアザミ

 源頭からの藪漕ぎが辛い。気温も上昇しており、一歩一歩がやっとといった状態。稜線まで登れば何とかなると思いつつ、笹薮を掻き分ける。最後は藪の向こうに青空が見えてもなかなか進まず、切れる息を騙しつつ稜線上に飛び出す。頂上からは少し左側にずれてしまったようだ。見れば、何と! すぐ目の前には立派な作業道が通っていて、見渡す限りの伐採地が広がっていた。例えて言うなら「どこでもドア」でも開けたように全く違った世界へと飛び出した驚きである。そのまま稜線からすぐ横の作業道に下りて、Ikkoさんを待つことにする。遮るもの一つない石狩平野を挟んで増毛・樺戸山地の大パノラマが広がっていた。

 Ikkoさんと合流、作業道跡が一番頂上に近づく地点を見ながら作業道を辿り、最後は再び藪へと突入、頂上到着となる。藪の中の頂上で眺望は良くない。少し下ると芦別市街付近の山々が見えるが、よほどのマニアでもなければ山座同定など出来るものではない。もちろん金麦でのどを癒す。視界はなくても頂上は頂上、ルートを大間違えしたこともあって、言わずと知れた満足度120パーセントである。ただ、気になっているのは、どうやって元来た世界に戻るかだ。

 さて、下り。登りとは違って一転してオープンな炎天下での作業道歩きである。下りというのが救いで、かなり急なブル道を下る。もちろん、予定していた作業道だったが、登りでなくてラッキーと思えた。Ikkoさんが言う通りに道道側から離れぬようにルートを選ぶ。まず、適当と思われる土場を目指し、無理やりでも作業道をつなぐ。そうこうしているうちに土場が近づく。振り返ると、登りで見ていた鬱蒼とした樹林帯に覆われていた西山とは正反対の、剥げて頂上のみに樹林が見える別の西山が見えていた。ここまで不毛の山にしてしまう必要があるのかどうかは別として、ここが再び豊かな森林となるには相当な年月が必要となるだろう。

 土場からは古い林道が道道側へと下っていた。IkkoさんのGPSには林道があるとのこと。地図データが古いのかもしれないが、我々のような山歩きでは返って古い情報は役に立つ。ひょっとして楽が出来るのでは・・・ と期待しつつ、どんどん下って行く。楽勝、楽勝、と思いきや、下るごとに怪しくなってきた。そうこうしているうちに、西山橋が近づく頃には完全に藪となって消えてしまった。最後は本格的な藪漕ぎとなり、詰めた沢の出合から西山橋を見上げながら道道へと出た。

 この山へ楽に登る方法として、下りで使った林道跡が一番速いかもしれない。最初少しの藪漕ぎさえ我慢すれば、後は登山道並みの登りとなる。ただし、林道跡の存在そのものを信じることが出来るかどうか・・・? ということになるだろう。一番の正攻法は沢詰めで、登山という雰囲気ではこちらに分がありそうだ。どちらを選ぶかは得意とする登山スタイル次第である。(2016.8.28)

【参考コースタイム】 ゲート前 8:00 → 西山橋8:30 → 西山頂上 10:40、〃発 10:55  → 西山橋 12:00 → ゲート前 12:30  (登り 2時間40分、下り1時間35分)

メンバー】 Ikkoさん、 saijyo

★山行写真

 

西山橋からみたパンケウタシナイ川の流れ (Ikkoさん提供)

上流部 F1を通過 (Ikkoさん提供)

410m二股からの登り (Ikkoさん提供)

頂上からわずかに見える愛別岳 (Ikkoさん提供)

西山頂上の少しの部分を残して刈られてしまった (Ikkoさん提供)

御料山を中心に南側の風景 (Ikkoさん提供)

伐採地からのパノラマ写真  実際の眺望はもっと良い

林道跡を下る Ikkoさん

 

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