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      西昆布岳(803.9m)

    1/25000地形図「昆布岳」

西昆布岳は広い昆布岳の山域にあって、昆布岳から伸びる派生尾根上のコブといった程度の山である。この山名をGooglで検索してみたところ、積雪期の記録が複数ヒットしてきた。笹が積雪に埋まる冬期間、スキー登山の山としては格好の入門ルートとなっているようだ。であればと、我々は無雪期の藪漕ぎにての登頂を目指してみることにする。藪山としてはどうなのか、集材路などがあるのかないのか…まずは登ってからのお楽しみである。

大西山から望む西昆布岳 (Ikkoさん提供)

アプローチは、地形図上の町道から牧草地を通り、山麓を巻くように続く林道へとつながる小道からである。この小路、細くて未舗装だがまずまずといったところだ。しかし牧草地へ入ると判然としなくなり、途中で完全に消えてしまう。牧草地内はさすがにタイヤが取られそうなので、あわてて入口へと引き返し車を停める。この道路は現在、牧草地への連絡路となっているだけで、林道へはつながっていなかった。広々とした牧草地を気持ち良く登り詰めると、いきなり藪が行く手を塞ぐ。林道までは約100m、まずは強烈な根曲がり藪の洗礼である。

藪をひと漕ぎして飛び出した林道はしっかりしていた。遠回りさえすれば普通車でも十分に入れそうだ。植林地も見られ、細々ではあるが作業は現在も行われているようである。予定ルートは南側の小沢を出来るだけ利用、最小限の藪漕ぎで頂上へ到達することである。ところが予定の小沢に着いてみてがっかりさせられた。沢形ではあるが水は全くない。水がないだけであればまだよいが、沢であるにも関わらず、普通の薮漕ぎとあまり変わらない様相である。結局は初っ端からの藪漕ぎとなる。冬場のものなのか、投げ捨てられたペットボトルも見られ、大自然とがっぷり格闘しているわりには俗世間からいま一歩抜け出せない気分である。

このサイトを立ち上げて5年になるが、最近、薮山愛好者の間でよく話題となるのが、どの山に登ってもみんな同じであるということだ。100山、200山とこんな山行を繰り返していれば、当然ではあるが、出て来るものや登るパターンはだいたい決まってくる。ただし、山との付き合い方は人間との付き合いと一緒で、それぞれに個性がありパターンでは解決しきれない何かを秘めている。山を愛する私達であれば、藪漕ぎひとつ取ってもその山独自の個性を感じ、その度毎に新鮮であるはずとの思いがある。同じようでいて、飽きる事の無い面白さ、これはこのジャンルならではのものだ。

話は逸れたが、沢らしさを探しながらの遡行?が続く。沢形を探しながら進んで行くうち、左岸側が不自然に開けていることに気付く。こんなケースでは、林道やブル道、もしくは植林地となっていることが多い。とりあえずは左岸側へ登ってみるが、案の定藪の被った古いブル道が現れる。頂上までは約300m、ひょっとして頂上へと続いていることも考えられる。期待を胸に進むが、すぐにその期待は裏切られる。頂上を巻くように北斜面へと回り込んでしまった。途中、斜め右下へは歩道が何本も延びており、以前は大規模な植林地であったと推測する。そもそも、現在でこそ笹薮が覆い尽くす山とはなっているが、もともとは豊かな森林帯であったと容易に想像される。その後の植林事業が中途半端だったのか、このような樹木の少ない山にしてしまったのであろう。以前に登った伊達紋別岳に状況は酷似している。

 ブル道跡をうろうろしていてもらちが明かないので、強烈な根曲がり藪へと突入する。このことはこの山の山容から見て既に織り込み済みであったが、やはり太い根曲がりが目の前に現れれば現実的な話、四苦八苦である。特にここでは古い竹が多く、ちょっとの油断で思いっきり目を突きかねない。眼球打撲くらいでは済まされないだろう。距離が短いのがせめてもの救いである。小高い笹薮をひと登り、意外と簡単に三角点が埋まる頂上部へ到着する。三角点は笹薮に覆われており、この頂上に立った登山者の多くが、この苔むした三角点を見ていないのではないかと思われた。昆布岳本峰がえらく立派に感じられる。下りはそのまま沢形へと下るが、途中からはやはり古いブル道へと移動する。このブル道を下っていくらも進まぬうち、意外なほど簡単に往路の林道が現れた。(2008.10.19)

※写真データは間違えて消去

【参考コースタイム】牧草地 P 9:30 林道 9:55 西昆布岳頂上 11:45、〃発 12:50 林道 13:50 登山口 P 14:10  (登り 2時間15分、下り 1時間20分)

メンバー】Ko玉氏、saijyoチロロ2

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