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      ニセイ山(1180.4m)

樹林で鬱蒼としたニセイ山

1/25000「トムラウシ川」

予定通りの地点まで車を乗り入れることができる
二ペソツ川からニセイ山直登り沢へ入る
頂上に咲くギンリョウソウ

セイ山の名を聞いて、中途半端な印象を受ける山名であると同行者の一人が言っていた。確かに ニセイ…といった名称は北海道の地図上ではしばしば目にする名であり、ニセイ○○○と続くのが普通である。“ニセイ”はアイヌ語では絶壁を意味するそうであるが、今回目指したニセイ山は絶壁というよりは尾根上のコブといった感じの小山である。山好きであればだれもが知っている二ペソツ山の裏側、南西側に伸びる派生尾根上にある山で、北海道全山登頂でも目指さぬ限り、登ろうなどとは決して考えない山であろう。今回、八谷さんに誘われ同行することになったが、こんな機会でもなければ、おそらく私も一生登らなかったかもしれない。

ニセイ山頂上に到着
ニセイ山の三角点を発見!
下山途中、丸山と東丸山を見ることができる

この山へは林道の走行が第一関門となる。宿泊施設等のある屈足から林道へ入るが、何本かの道が東側へ入っていて、夜間であればなかなかすんなりは入れない。この日も地形図を見ながら走っていたにも関わらず、入口を見過ごしてしまい、戻りながら慎重に林道入口を見つける。入口からは直ぐに舗装も途絶え、林道走行となる。いつ途切れるとも知れぬ草木が被る林道を約15qも耐えなければならず、人も車も忍耐である。我々は夜間走ったが、先行者が八谷さんということもあり、彼は間違いなく行けるところまでは行っているので、八谷車が停まっているところまでは走行可能ということである。予定通りコンタ680mの二ペソツ川本流のカーブ手前に八谷車を発見する。この日はこの地点での車中泊とする。

この夜は雷鳴と短時間ではあるが局地的な豪雨で、林道が決壊し、中で孤立するのではないかとの思いで何度も目が覚める。翌朝も雨は残るが、心配するほどではない。駐車地点の直ぐ手前には新しい砂防ダムも作られていて、最近までこの林道をダンプカーが走行していたようである。そう考えると見た目よりはしっかりとした林道なのかもしれない。いつも思うが、夜の林道は本能的なものなのか、気持ちを萎縮させる何かがあるように感じる。

 地形図上のカーブ地点からの入渓である。沢は昨夜からの雨のため、少し濁っていて水量も増しているが、日も差し始めているため、山行は予定通りの決行である。両岸から流れ込む水流を数えながら、高度計と周りの地形を見て現在位置の確認をしながら進んで行く。要所々にはピンクテープも見られる。この標識はニセイ山を目指したものではなく、おそらく二ペソツ山へのバリエーションルートの一つとして、二ペソツ川本流から二ペソツ山を目指した時に置かれたものであろう。

 まず、コンタ730m近で小滝(45)現れる。右岸には倒木があり、それを頼りに滝上へ這い上がる。直ぐに23mの小滝が現れるが、どちらかと言えばこちらの方が緊張する。ここは両岸が迫り、小ゴルジュとなっている。右岸をへつるが多少妙であり、安定したスタンスまでは大きく足を伸ばさなければならない。その後の体重移動が意外に難しく、足の長い人間であればさほど問題ないが、短い私には辛いものがある。ここの帰りはロープで確保した方が良さそうであり、あれこれ支点探しをするが、確固たる確保の名案は頭には浮かばず、場合によっては水流の中を通過した方がスッキリするかもしれないなどと考えながら、この場では課題を先送りとする。ここを通過して約20分でニセイ山へ北西から突き上げる小沢の出合いである。

 小沢には滝らしい滝はなく、淡々と標高を稼いで行き、やがて藪の中へ消える。沢形が消えると明瞭なシカ道が出てきて稜線上へと向かっている。おかげで稜線までは難なく登ることができる。尾根上コンタ1060m付近は反対方向からの作業道終点となっているが、既に廃道状態で鬱蒼としている。ここから頂上までは少しの藪漕ぎである。三角点のある頂上は木々に覆われ、木々の間から丸山や東丸山を辛うじて望むことができる。二ペソツ山はガスに隠れ、楽しみにしていた雄姿を望むことはできないが、頂上で見つけたギンリョウソウの可憐な姿は実に印象的である。

 下山は稜線上のシカ道を下ることにする。1080mのコブまではわりと明瞭なシカ道が続く。場所によっては登山道よりもはるかに明瞭である。1080mからの下りは多少判りづらいが、次のポイントである1049m標高点のあるコブははっきり見えていて、ほとんど間違えることはない。1049m標高点からはニセイ山と丸山を遮ることなく望むことができる。このコブを越えると往路で通過した難所(小ゴルジュ)の通過はなくなり、この時点で課題はクリアである。その後、途中で何回か古い作業道跡が現れるが、それも利用できそうなものを出来るだけ利用しながら下降して行く。同じような山行を繰り返していると、藪を漕ぎ終えた先に車が突然現れることをつい期待してしまうが、沢への下降地点は駐車地点までは200300m上流であり、今回も残念ながら僅かの誤差を残す結果となる。(2004.8.18)

同行した、EIZI@名寄さんのニセイ山へ

【参考コースタイム】 林道駐車地点 6:00 → 直登沢出合 7:00 → ニセイ山頂上 8:25、〃発 8:55 → 1049m標高点 9:45 → 林道駐車地点 11:00

メンバーhachiya、M.hachiya、saijyo、チロロ2、EIZI@名寄さん、チロロ3(旧姓naga) 

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