<戻る

    似峡岳(744.8m) ・・・ 残ったのは山河のみ 

 

道道61号線から似峡岳を望む

1/25000地形図 藻瀬狩山

やっと見つけた駐車スペース
一番取り付きやすそうな斜面から取り付く

  似峡岳を地形図で眺め、始めてこの名を目にした時には、思わず“二峡岳”と勘違いしてしまった。地形図を見ると二つの河川に挟まれたコンタが混んだ険しい山のようなので、イメージ的に和名と感じられた。そもそもが二峡岳だったのではないだろうか? 調べてみたところ、岩尾内ダムに沈んだ集落が似峡と呼ばれていていたらしく、最盛期には700人ほどの人々が住み、小学校および中学校、郵便局、駐在所、消防団詰所、診療所、農協支所、鉄工所などがあり、昭和30年代には朝日町本町に次ぐ賑わいがあったことを知った。山名が最初ではなく、地域の名前ということであった。語源はアイヌ語のニ・サム・ナイ(木・傍・川)で、木の傍にある川とのこと。その川の近くにある目だつ山だったので似峡岳となったのだろう。もちろん、廃校となった上似峡小学校校歌にも似峡岳は希望の象徴として歌われていた。

思わず“レタス畑”と思った雪崩斜面

 似峡岳をWebで調べたところ積雪期、無雪期を問わず、それなりに登られている。数年前、この付近を通過した折に始めてこの山を見たが、独立峰のようであり、急俊な山容は魅力的で、多くの岳人がこの山に登高欲を感じても不思議ではないと思っていた。私の最初のチャレンジは先日の道北山行の帰り道だった。林道の途中までIkkoさんが様子を見に入ったが、あいにくの雨と強風でこの時は先送りせざるを得なかった。

 林道の雪渓が消えて、ゲートが閉じられるまでのちょっとの期間が狙い目と、改めて今回の計画とする。林道ゲートはまだ開放状態で、車で入ることが可能だった。適当なところに車を置いて歩いて行こうと思っていた。林道は未だ手入されていない鬱蒼とした様子で、倒木の処理もされていない。Uターンする場所を探しつつ奥へと進んで行くが、どこまで行っても適当なところが見つからない。そうこうしているうちに、何と、カーナビには至近距離に似峡岳が現れた。ちょっと近づき過ぎたが、ここまで来てしまってはしょうがない。

 さらに進み、下り始めたところに、やっと広い駐車スペースを見つける。ここから藻瀬狩川へと下る側には下草もなく、けっこうしっかりとしている様子。ひょっとしたら双子森へも行けてしまうかもしれない。期待は期待として、まずは目の前の似峡岳である。ルート的にはこのまま真っ直ぐに登るのみで、何も問題なしといった感じである。下草の薄いところを探して、斜面に取り付く。この時期はダニが活発になる時期で、辺りはシカが多そうなので必ずダニも多いはず。出来る限り笹薮を避けて行動するというのが、この時期の藪漕ぎの基本である。視界前方の青々した部分を探りながら進路を決めて行くが、完璧に笹薮をかわすのは無理というもの。やはりダニが付いてくる。見れば、笹薮の向こう側が一面レタス畑のように広がっていた。この“畑”は登りやすく、ある程度登ったところでひと息入れる。見れば北側の眺望は遮るものなしに大きく広がっていた。岩尾岳の大きな姿以外はよく判らないのが残念なところ。だが、山並みの素晴らしさは見ているだけでも気持が良い。ここからのレアな眺望は我々だけのものである。

二等三角点「似左馬」と金麦
二等三角点「似左馬」と金麦

 再び笹薮へと突入、笹薮を漕いで稜線上へと登る。いよいよ頂上は近い。一見開けた感じの高みが見えて、そこが頂上かと思ったが、頂上はそこからさらに少し進んだ地点であった。到着した頂上には残念ながら眺望は無い。背丈より少し高いくらいの籔なので、脚立でもあれば頂上展望を楽しむことは可能だろう。少し移動すれば見えるとIkkoさん。私は無精者なので、移動せずに三角点写真のみでOKとした。

“レタス畑”から岩尾岳を望む 最後は籔漕ぎで頂上へ

 登りで見た“レタス畑”のようなものはイラクサ科の野草かと思われる。Ikkoさん曰くは、あそこは雪崩斜面じゃないかとのこと。確かにそうだった。植生が辺りと比べて直線状に分かれている様子が人の手によるものに見えたが、雪崩によって笹薮が真っ直ぐに剥ぎ取られ、その後に生えやすい植物が芽生え、新緑の季節を迎えてあのような奇異な光景を作り出したのだろう。自分的には理に敵った推測と思える。並び方にそれなりの規則性があったことについてはなぜか判らないが、偶然の産物とでもしておこう。

 下りはウド採りの時間を入れてもわずか40分。いろいろな山行記録を見る限り、我々はズルをしてしまった感じではあるが、車をUターンできなかった結果が、至近距離からのスタートとなってしまったのだからしかたがない。終ってみれば、予定時間を大幅に縮小してしまった。長年山をやっていればこんなことだってあるし、この逆のことだってある。(2016.5.26)

参考コースタイム】林道 P 7:50 → 似峡岳頂上 8:45、〃発 8:55 林道 P 9:35 (登り55分、下り40分 休憩時間を含む)    

メンバー】Ikkoさん、saijyo

 **山行写真**

似峡岳頂上の二等三角点「似左馬」 (Ikkoさん提供)

頂上からの眺望・北側 (Ikkoさん提供)

柵留山をズーム・中央手前 (Ikkoさん提供)

幾山岳をズーム・中央 (Ikkoさん提供)

 

倒木 (Ikkoさん提供)

   

 <最初へ戻る