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      ノ峰(1341.4m)

コイボク林道から望む中ノ峰

1/25000地形図イドンナップ岳」

シュンベツ川への降口にて
シュンベツ川の水量は少なかった

コイボク林道のカーブを曲がると、地形図でしか対面することのなかった中ノ峰が姿を現す。何か、会ったことのないメル友にでも始めて対面するかのようである。奥深さということで、引けてしまう気持はあったが、現実に目の前に現れてみると何時もの藪山であり、旧知の関係に近いものを感じる。この山への取り付きは鹿止内沢出合まで行って東面からと思っていたが、さすがにこれ以上林道を歩く気にはならず、約200m下方を流れるシュンベツ川まで斜面を下ることにする。緩い斜面を探していると、カシュツオマナイ沢出合へと下る小尾根があり、ラッキーなことに尾根上には明瞭なシカ道がある。木の根が階段状となっていて、薄暗くなるであろう帰路でも十分に利用できそうだ。

シカ道はどんどん下って行き、行き着いた川原はちょうど2年前、八谷夫妻とEIZI@名寄氏がこの山への登頂の際に取ったルートの取付きであった。ここ数日間、雨はなく、かなり減水していると思われたシュンベツ川であるが、流心ではやはり体を持って行かれそうだ。仮に山中泊となって、雨にでもやられた場合、ここで停滞となる可能性もあり、少なくても今日中にここまでは戻って来たいものだ。斜面を登ると直ぐに、中ノ峰へ向かう沢形へ出る。流域面積が狭く、水の流れはないものと思っていたが、谷間に沢音が聞こえ、水の確保は出来そうだ。また、沢身を辿る予定であったが、右岸側の藪は薄くシカ道が発達しており、これを利用すれば距離もけっこう稼げそうだ。

コンタ900m付近まではシカ道をつないで順調に標高を稼ぐ。水流が消えると徐々に藪が濃くなって行き、終いには背丈以上の笹薮となる。沢形へ逃げるが、こちらも大差はなさそうだ。結局、尾根上に活路を期待、笹薮斜面の正面突破を開始する。30℃を越える炎天下では体力の消耗が著しい。北海道内の山をやっていて、こんな状況での藪漕ぎは年に何度もない。暑さ対策には気を払っていなかった付けが回ってきたようで、体温が上昇し始めたようだ。水は途中で汲んできたが、いくら飲んでも飲み足らず、しまいには熱中症の前兆なのか足裏がつり出す始末である。持ってきたスポーツドリンクは既になく、途中で大量に水を摂取したことによるミネラル不足が原因しているようだ。苦労してやっとここまでやって来て、引き返しという選択肢はありえない。下りは笹の向きが逆になり体力も半分以下に済むであろうから、ここは運動量の制限をしながらでも前へ進むしかないようだ。

何時も以上に休憩に時間を取りながらも何とか尾根上へと抜ける。時折吹き抜ける沢風が唯一の救いである。飛び出した地点の藪は薄く、シカ道も辛うじて確認できる。しかし、ひと登りすると直ぐにまた根曲がり竹の深い藪となり、距離にして約600mが遥か遠くといった感じである。EIZI@名寄氏の記録では1200m辺りから尾根が明確になりシカ道も現れるとあり、そこまでが辛抱と自分に言い聞かせる。

中ノ峰頂上から望むカムエク方面 三等三角点「中ノ峰」 ・・・プレミアもの

何時終わるとも知れぬ根曲がり漕ぎも、1200mを過ぎたあたりから記録通りに藪の背丈が低くなり、前方には目指す中ノ峰頂上部が姿を現す。越えてきたコブとは違い、ひときわ高い高まりとなっている。最後の急登がまた辛い。東側の急斜面は一面お花畑となっていて、夏の花々が咲き乱れているが、どれがどの花なのか、確認している余裕はない。稜線上は背の低い笹とハイマツの混合帯となっているため、お花畑との境界上に獣道を探しながらトラバース気味に標高を稼いで念願の頂上台地上へと飛び出す。カムエクを中心とする日高山脈の主稜線を間近に望むことができる。台地上は背の低い笹薮となっていて、北側の奥に三角点を発見する。天候はあいにくの下り坂、あまりゆっくりとはしていられず、写真を撮って直ぐに下山とする。

帰路は1210mコルから笹薮を下降、沢筋を下ることにする。時折、水流が現れるが、直ぐに背丈以上の笹薮に消える。おそらく、登りでこの沢筋を辿っていたとしても、かなりのアルバイトを強いられていたことだろう。往路で見つけた冷たい湧き水を見つけることが頭のほとんどを占め、他には何も考えられない状態である。無事シュンベツ川を渡った時点では17時を回っており、どうにか日没には間に合ったようだ。林道を歩く頃にはどっぷりと日も暮れ、雨も降り始める。ヘッドランプのほのかな灯かりのみが頼りで、寝不足と疲労のためか樹木や藪が人や動物など、如何様にも見えてくる。700m以上の全山完登まであと百十数坐のKo玉氏、彼にとってはほんの通過地点に過ぎない中ノ峰ではあったが、大きな一山であることに違いはない。(2007.8.15)

【参考コースタイム】 コイボク林道崩壊地点 755 シュンベツ川下降地点 9:45 中ノ峰頂上 14:45 、〃発 14:55  シュンベツ川下降地点 17:50 コイボク林道崩壊地点 1955 (上り6時間50分、下り5時間)

  【メンバーKo玉さん、saijyo

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