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     中愛別山(817.8m)

   

    

薄っすら姿を現した中愛別山

 1/25000地形図「中愛別山」

林道途中に車を止める
轍を利用して林道を進む
前方に西尾根取取付きが見えてくる

  中愛別山は中愛別という地名に因んでそう呼ばれるようになった山である。もちろん、二等三角点も「中愛別山」で、そのまま地形図に表記されたのだろう。地味で目立たぬ山だが、その手頃感や頂上展望など、旭川地区では近年人気の山となっているようだ。特に雪面が硬くなる春先の登山者が多いと聞いている。冬山初心者にとって、スキーに比べてリーズナブルなスノーシューが普及したことに拠るところが大きいのだろう。一般的にはパンケメムナイ川沿いの林道から北西に伸びる尾根を利用して登られることが多いようで、距離はあるがスノーシューに適した緩やかなルートである。我々は札幌朝発の日帰り登山、急俊だが距離の短い西尾根から登ることにした。

西尾根の急斜面を登る

 林道には先導者がいて、四輪駆動車の轍が続いている。我々は普通車、腹がつかえそうできわどい感じになってきたので、途中の少し広くなった除雪スペースに車を置くことにした。最初の急カーブが予定していたルートの入山口、そこまでは轍を利用してラッセルなしで快適に進んで行く。ここからがいよいよ本番である。ラッセルは概ね脛までだが、場所によっては膝くらいまでの深雪、こうでなくてはツアー登山は始まらない…と意気込むしかない。西尾根取付きまでは小沢を右手に見ながら進んで行く。目指す西尾根は木々の間にちらちら見えるが、周りが平凡なだけにせり上がっているようにも見える。取付きが近づくと沢形はかなり浅くなる。帰路の登り返しを考え、小沢を渡ってまっすぐに取付き地点へと向かう。

 取付きから徐々に傾斜が増し始め、大きくジグを切って登って行くが、樹木のない斜面は部分的に雪崩れそうな雰囲気で避けたい気分。それなりには樹林帯とはなっているが、密ではない。出来る限り太い樹木のあるところを繋ぎながらルートを取る。登れば登るほど傾斜が増し、ラッセルの深さも増してくる。地形図とは違い、コンタ650m付近が一番急斜面となって、見方によってはポコのようにもなっている。右側の斜面へとトラバース気味に逃げて、尾根上へと上がる。そこを過ぎると普通の緩い尾根歩きとなり、ほっと一息。このルートはあまり利用者はいないと思っていたが、尾根上には赤布が見られ、それなりにトレースされているようだ。チロロ2さんによれば、この日のものではないが、スノーシューの跡も緩くなってからの尾根上には残っていたとのこと。

 左側の対岸に見えていた尾根の合流地点が頂上、そこまではややあるような感じである。時折、スノーモビルのエンジン音が聞こえる。また、人の話し声も何となく聞こえてくる。ひょっとして近くに居るのではとチロロ2さんが「ヤッホー」と… しかし、無返答。この日の北西風に乗って対岸の尾根から届いているようだ。おそらく林道を走っていた轍の主であろう。深雪ラッセルにもかかわらず、しっかりとシールが利かず、ズリ落ちたり沈み込んだりと何とも嫌な雪質だが、ふと、目にする光景は実に美しい。枝々の角々まで白一色に染まった様子はガラス細工のようで今にも壊れそうだ。凜冽と表現される厳冬期ならではのものと言っても良いだろう。

 合流する尾根が前方に現れる。いよいよ頂上到着である。あっちこっち調子が悪いと言っている割に、近頃のチロロ2さんはなぜか元気が良い。こんな深雪にも関わらず、先行して一気に頂上を陥れた様子。このサイトを始めてから10年になるが、目前の中愛別山は一番最初のつげ山から数え、ちょうど400山目の切りの良いピークとなる。走馬灯のように…と表現したいところだが、そんな感傷的なものでもない。ただ、自分的にはこの記念のピークを一気に踏んでしまう気にはならず、少し遅れての到着となる。

ガラス細工のような木々の枝々が美しい このサイト400山目の中愛別山頂上に到着

 良いと言われている中愛別山のピーク展望だが、雪雲に覆われていては何も見えない。薄っすら陽が見える程度。北西風の吹きさらしの中での休憩は止めにして、すぐに下山とする。300mほど下った地点で小休止、どこで落としたものやら片方のストックの輪っかがないことに気付く。この深雪で輪っかのないストックで下る自信はない。結局、シールを貼ったままの下降とする。シールがない方が下りやすいと言う意見もあるが、これはスキーが上手な人間の論理、下手な自分としてはスピードが抑えられるというだけでも何となく安心できる。

 このルートの下降のメインはコンタ650mから下の急斜面である。シールを付けたまま果敢に突っ込んだが、周りの雪と一緒に崩れ落ちると言った方がぴったりの状態で、滑ったという感覚ではなかった。スキーが雪面に沈み込むため、この日のような深雪ではブレーキがかかってしまう。トップの反りが極端に少ない最近のスキーに原因しているのではと、意識的に後傾で下ってもダメだった。チロロ2さんは登ったトレースを“歩く斜滑降”とキックターンで下っている。そもそも一番の目的は登頂、そう考えればこれが正解かもしれない。頂上からラッセル開始地点の最初のカーブまでは約1時間、およそスキーとは言えない下りだが、結果的には上々の出来と言えるだろう。

 一通過地点に過ぎない400山目だったが、今後どのくらいの山を登れるかは判らない。あと3年ほどで私も定年となる。今後は時間もできるが、その時間的な余裕に反比例して体力・気力は下降の一途をたどって行くことだろう。Ko玉氏(道内1000山くらい登頂)の域への到達は到底無理…いやいや、まだまだ頑張ろう… 400山目の中愛別山ピークを目前に、ついそんなことを考えていた。(2013.1.24)

【参考コースタイム】 林道 P 9:35 → 西尾根取付き 10:30中愛別山頂上 12:05、〃発 12:10 → (途中15分休憩)西尾根取付き 13:00林道 P 13:20   (登り2時間30分、下り55分)   

メンバーsaijyo、チロロ215 山の手温泉(入浴)

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