<戻る

   長白稜〜白井(1301.3m) 1/25000地形図 余市岳  

         トラックログ

竹の子山へは他の登山者も上がってきた

一番手前の通称;竹の子山

奥手稲山から見た白井岳(左端)と長白稜

 「長白稜」と聞けば、中国の歴史ものにでも登場しそうなおおげさなイメージだが、白井岳北東尾根の呼び名で、半世紀ほど前に登山道が存在していた いにしえのルートである。以前、道道1号小樽定山渓線は冬期間は通行止めで、冬期は国鉄銭函駅から銭函峠を越え、ヘルベチアヒュッテに1泊して白井岳へ登っていたらしい。今考えれば何とも遠い山であった。夏期は北東尾根の夏道から白井岳を目指していたようだが、いつの頃か廃道となったようで、地形図からも消えてしまった。昭和40年代の1/25000地形図には載っていたが、この登山道を使って白井岳へ登ったという話は聞いたことがない。奥深いために利用する登山者はあまりいなかったのだろう。

 Ikkoさんの話しでは、この長白稜をトレースすれば一気に4ピークを踏むことができるとのこと。私は白井岳は既に何度も踏んでいるし、その他に何があるんだと思った。出所は最近密かにブームとなりつつある札幌150峰である。白井岳北東尾根のポコにそれぞれ竹の子山、下白稜、上白稜と名前をつけたらしい。で、あればと、私もいにしえの登山ルートを一度トレースしてみたかったので、この機会に行ってみることにした。

 札幌国際スキー場手前の駐車スペースには既に数台の車が止まっていて、登山準備をしていた。どこに登るのか尋ねてみたところ、竹の子山とのこと。934m標高点のピークを今はそう呼んでいるらしい。竹の子の季節になるとこの山に入る人間が多いのだろう。道道から真っ直ぐにこの山へのスノーシューの跡が続いており、私はワカンだったので、これを利用させてもらった。途中からぐんと傾斜が増して一気に934mの標高点となった。頂上手前で国際スキー場からのグループと一緒になったが、彼らは次の1020m標高点のピーク(下白稜)まで行って、そこから股下山へ向かうとのこと。今は目指すピークもルートも細分化されたのか、それぞれが色々なルートを楽しんでいるようである。

下白稜へは雪庇に注意しつつ進む

 Ikkoさんを待って、ひと足先に次の1020m標高点(通称;下白稜)を目指した。ここからの稜線は雪庇が大きく発達していて、潅木や幼木などを見ながら慎重にルートを選びつつ進んで行くが、樹林帯側も急斜面が多く、そんな斜面を上手く巻くことがこのルートの核心部と言えるのかもしれない。下白稜までに数箇所ほど嫌らしい巻きがあった。下白稜ピークからは次の上白稜が大迫力で見え、頂点までの急斜面を見ていて、その長さだけでも萎えてしまいそうだった。一旦70mほど下るが、そこから標高差で210m、距離にして600mの登りとなる。全く別の山にでも登る感じである。我々は南東面の広くなった斜面を大きく巻きながらコルへと下った。

上白稜までは標高差があって遠い

 この日のように天気でもよければまだ良いが、天候が悪ければ決してこんなルートから白井岳に登ろうなどとは考えないだろうと思いながら、上白稜へと取り付いた。キックステップで一歩一歩慎重に標高を上げたが、上がる度ごとに徐々に傾斜が増してきた。たった今越してきたばかりの下白稜も眼下に見える。最後は木々につかまりながら、足元の微妙なステップを気にしつつ上白稜の頂点に飛び出した。雪庇が発達しているため、あまり際までは踏込むことができず、とりあえず半径3mの誤差範囲内で上白稜に登頂した。雪庇のために展望はあまりよくはない。ここまで登ればまずは一安心と思ったが、ここから白井岳とのコルまでが一番嫌らしかった。

 スキーのトレースが尾根西側の樹林帯の斜面に続いていたが、この斜面もけっこうな傾斜があって、スキーであれば良いが、スノーシューやワカンにはちょっと辛い。たまらず、尾根上へ逃げたが、岩稜の上に雪が乗った状態で、踏み抜く恐れのある岩稜上からも逃げた。そこからの下降は滑落しそうで冷や汗ものだった。木々につかまれればOKなのだが、無いところはバランスしかない。岩稜を通過してコルに出たときはさすがにホッとした。長白稜、侮るなかれである。

 コルからは最後の登り。ひと登りで白井岳の広い頂上台地に出た。スキーツアーのグループが来ていたのでエールを交換。下りは彼らのトレースを使わせてもらうことにした。以前、スキーでこの斜面を下ったことがあるが、こんな時期ともなれば小沢が顔を出していることもあるので、できるだけ先行者のトレースを使わせてもらうのが安全である。そこからは広く緩い斜面を進んで行くうちに白井岳の頂上に到着した。GPSで示す三角点と、頂上標識が設置されたところとは少し離れているが、目測による一番高い地点もまた違っていた。もっとも、一番高いところに三角点が設置されているわけではないし、頂上標識が正しいわけでもない。ましてや、私設のものであればなおさらである。

 前回この頂上に立ったときは悪天候で、それ以前ともなればかなり前のことになるので全く覚えていないが、ここから小樽港と小樽市街が見えたことは新鮮だった。札樽の山々はスキー登山の発祥の地である。いにしえのルートをたどり、ここに立って札樽の山々を見ていると、先人の思いが伝わってくるようだった。(2019.3.31)

上白稜からコルまでの岩稜が嫌らしかった

 

コルからはひと登りで白井岳の頂上台地に出た

 

頂上標識と最高地点、三角点の位置はずれてる

【コースタイム】 道横の駐車スペース 8:45  竹の子山 9:50 下白稜 10:40 上白稜 11:55 白井岳頂上 13:10 道横の駐車スペース 14:50 (登り4時間25分、下り1時間40分 山行時間 6時間5分)    

メンバー】Ikkoさん、saijyo

  <最初へ戻る