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     鷲別(911.0m)

地球岬から見る室蘭岳

1/25000地形図 「室蘭東北部」「鷲別岳」

ダンパラスキー場に車を停める
白鳥ヒュッテは室蘭市が管理する無料の山小屋である
室蘭岳への背後には室蘭市が広がる

  室蘭岳は1/25000では「鷲別岳」と表記されているが、一般的には室蘭岳で通っている。実際登ってみても背後には絵鞆半島に広がる室蘭の市街地を一望に見渡すことができ、正に“室蘭”の名を冠するに相応しい山であることが実感できる。また、街のどこからでも堂々としたこの山の山容を望むことができ、ある意味、北海道らしくない室蘭を視覚の上で“北海道の室蘭”として印象付ける山でもある。

  概ね緩やかな山容であるが北面の通称 “裏沢”は険しく、岳人に豊富なバリエーションルートを提供している。以前、裏沢から挑戦したことがあるが、中州をショートカットした時に二股を見落としてしまい、無理やり藪尾根を辿ったが突然に現れた岩壁に阻まれ、どうにもならずしぶしぶ下山した苦い思い出がある。室蘭からは手頃な位置にあり、地元山岳会にとっては素晴らしい訓練の場でもある。今回は札幌近郊の山を予定していたが、冬型の気圧配置の影響でどの山も荒れ気味の天候であり、あまりこの影響を受けなく、高速道路の利用でアクセスも良い室蘭岳を目指すことにする。

  札幌を出る時には近郊の山は全く見えず、樽前山でさえ頂上部はガスっていて見えない。白老付近からいつも見える徳舜別・ホロホロ山も全く見えず不安になるが、登別付近のトンネルを抜けると室蘭岳は辛うじて姿を現していた。この山は室蘭ICを出ると市街地を通らずに登山口であるダンパラスキー場へ直ぐに到着できるのがよい。スキー場の駐車場に車を停めさせてもらい、約500mも歩くと白鳥ヒュッテに到着する。

一休みしていると多くの登山者が小屋前を通過して行く。足回りを見ると、スキーを担いでスノーシューで登る者、軽登山靴にスパッツの夏山スタイル、多いところではゴム長靴に軽アイゼンなど様々である。毎日多くの登山者を迎え入れているのか、全くラッセルの必要がない。踏跡は 雪の“登山道”となって、どこまでもしっかりと続いている。冬山用のウェアさえ用意すれば夏山のような登り方が可能である。とは言え、この日のような荒れ気味の空模様では帰路を見失ってしまう恐れもあり、それなりの装備は必要である。この山は札幌で言えば丁度藻岩山のような存在なのかもしれない。無雪期には大雪や日高を始め道内各地の山々を転戦し、積雪期になると地元の標高があまり高くないメジャーな山で体を動かして雪が消える春を待つ、そんな地元の夏尾根指向の登山者にとっては最も安心できる山ということであろうか。

室蘭岳頂上にて 室蘭岳頂上が迫ってくる

  ヒュッテから緩い斜面を進んで行くと、踏跡は直ぐに596m標高点を目指し急斜面を登る。スキーでは傾斜が少々きついため、斜面をトラバース気味に登ることにする。標高点を大きく巻いて少し先の尾根上で踏跡に合流する。登山道とは距離を置いて平行に進むが、広い冬山斜面の中で皆が同じ踏跡を辿るため、すれ違いでは譲り合う姿も見られる。冬山で下山するとき、登ってくる人を待つ経験などあまりないので、思わず笑ってしまう。広い斜面の背後には室蘭の街や工場群が広がり、白鳥大橋や測量山も一望することができる。

  潅木の間を縫って登って行くと視界が開け、室蘭岳の頂上部が間近に迫ってくる。あいにくの天候で雪煙が舞っているにも関わらず、多くの登山者が登っている。地元の登山者にとっては“勝手知ったる山”ということであろう。最後の斜面を一登りすると、立派な標識や鐘のある室蘭岳頂上である。西側の伊達方面の稀布岳や伊達紋別岳付近の山々の重なりが、冬山独特の迫力ある景観を作り出している。

  下りは登りでトレースした登山道ルートは使わず、一般的なツアールートである尾根の西側を下る。積雪の状態はまずまずで、頂上からは約20分の快適な滑りで白鳥ヒュッテに到着する。(2005.2.13)

【参考コースタイム】 ダンパラスキー場 9:20 → 白鳥ヒュッテ 9:40 → 室蘭岳頂上 11:30、〃発 11:55 → 白鳥ヒュッテ 12:15ダンパラスキー場 12:30

メンバーsaijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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