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   森川(608.8m)〜南峰(653m)

 

1/25000地形図 「姫 川」

入山口付近から望む 森川山(右)と南峰(左)

「一人歩きの北海道山紀行」はここから発信されている
「北海道南畜産事業共同組合」前に車を置かせてもらう
Wajiさんを先頭に尾根上へとスタートをきる

  斎藤さんの遭難から早1年、五稜郭で開催される斉藤さんを偲ぶ会に出席するため、我が地図がガイドチーム3名も函館へと向かう。私の大好きな函館周辺の山、休暇の取り辛さもあって、定年退職までの1年間は遠方の山は辛抱するしかないと諦めていた。だが、函館までやってきたことでもあり、帰路に立寄れそうな一山ということで、森川山に白羽の矢を立てる。森町の道の駅「YOU・遊・もり」からも近く、会の終了後は、酒を飲まないチロロ3さんの運転で森町まで移動すればよい考えていた。sakag氏に予定をメールしたところ、自宅に泊めて頂けるとのこと。しかも、sakag氏だけではなく、よもぎさん、地元wajiさんも加わって森川山を案内してくれるらしい。幌内山地のやり残しを片付けに行くと言っていたIkkoさん(自称;地図がガイド研究生)だが、何と、山に登るのであれば森町までやってくるとのこと。山仲間が広がるということは楽しくて贅沢なことなのだと、つくづく感じさせられた。

  翌朝、待ち合わせ場所の道の駅「YOU・遊・もり」へと向かう。初対面のwajiさんは体格のしっかりとした方で、話によれば3年前の晩秋の小鉾岳ですれ違ったあの時の登山者だった。エールを送られたため、こちらが疲れて見えたのかと記述したが、実のところは言葉の彩程度で、他意はなかった。登山道のあるこの山は人気の山と思っていただけに他の登山者がいないというのは意外に寂しく、彼のエールにはホッとさせられたのを覚えている。そう考えると、人と人との出合とは面白いものである。wajiさんは森町在住で、この森川山を “庭”としているらしい。昨日は下山ルートにわざわざトレースを付けてくれたとのこと。何とも有難い話である。

急な尾根を登りきると、木材が積み重ねられた現場となる
森川山頂上にて (sakag氏のページより)

 森川山の山名は森町を流れる森川の水源の山ということになるが、水源には583m四等三角点「森山」というのも埋まっており、いずれ機会を見てこちらにも登ってみたいと思っている。入山口となる「北海道南畜産事業共同組合」の横に車を止める。この奥では大掛かりな伐採作業が行われているようで、除雪された道路はさらに奥へと続いている。ただし、帰りのルートは森川山南峰を経由して降りてくることもあり、駐車場所を考えるとここが良いようだ。

 晴れ予想で暖かいはずだったこの日の天候だが、残念ながら向かう森川山は寒々しく冬の様相である。途中500mほど進んだ下山予定地点を見ながら、スノーシューを持って尾根の取付きまで除雪された道路を歩いて行く。道路はさらに続いているようだが、ここからはスノーシューを付けて尾根上へとルートをとる。硬い雪面とは言ってもやはり先頭は辛いもの。地元wajiさんがまず先頭となり、スノーシューのプロフェッショナルIkkoさんが続いて先頭に立つ。ラッセル要員にはこと欠かないのが頼もしい。コンタ370mのコブを越えると送電線が現れ、森川山東面の沢地形を囲むように伐採現場が広がっていた。除雪された道路はこんなところまで続いていた。

 ここからがきつい登り、ひと汗かいてコンタ460m付近まで登る。何と、切られたばかりの木材が積み重ねられている。尾根上に上がってみるとすぐ側には急な道路も上がってきていた。ここまで来れば森川山もあとわずかの登りを残すのみ。Ikkoさんと二人であれば、おそらく彼のサファリでここまで登り、ここがスタート地点となっていたに違いない。となれば、山行記をUPする側としてはかなり辛いことになっていたと想像される。頂上が近づいてくると東側には雪庇も見られ、まだまだ冬の様相である。見えていた駒ケ岳は薄っすら隠れてしまったが、待望の頂上到着となる。どちらかと言えばしっかり樹林帯の中で、展望はあまりすっきりとしない感じである。晴れていたとしても同じかもしれない。wajiさんが彫刻刀で掘ったという頂上標識が樹木に取り付けられている。この山をこよなく愛するwajiさんの山への想いが滲み出ている作品だが、残念ながらこの山に登る人間はあまりいないし、その想いを感じてくれる登山者となると、さらに少ないかもしれない。

頂上標識と金麦

 頂上よりも西側に100mほど進んだ地点の展望が良いと昨夜の会でKamaさんが言っていた。北西側の尾根の頭とのコルだが、行ってみると確かに良い。晴れていれば内浦湾を挟んで後方羊蹄山も望めるらしい。森川山の稜線を前景に薄っすら内浦湾が見える。残念だが大パノラマは次の楽しみとしよう。もちろん私だけだが、金麦で喉を潤し、南峰へと向かう。南峰は見た感じではかなり遠くて登りもきつそうに見えるが、wajiさんによれば40分くらいとのこと。経験上、何となく判るが、感覚的には圧倒されてしまうものがある。これは何年山をやっていてもダメなものだ。

 結果はやはり予定通り約40分だった。きつそうに感じられた南峰手前の登りも見た目ほどのことはなく、難なく南峰頂上に到着となる。メンバーの話によれば南峰は本峰よりも44mほど高く、この山全体の最高地点とのこと。平らな樹林帯のためか、本峰の方がやはりそれらしく感じる。ともあれ、おかげで森川山完全登頂となったことはやはり嬉しい。下りは東へと下る長い尾根を下降、送電線を越えて少し登った地点てWajiさんが昨日付けてくれたトレースへと合流する。

 sakag氏が道新の「まど」で語った「今回のことがなければ、出会えなかった人もいるはず。山を誰よりも愛していた斎藤さんが、最後に私達に山を通して絆をプレゼントしてくれた」だが、偲ぶ会に出席して、今回もそんな思いをひしひしと感じた。そして、帰りがてらちょっと寄って行くだけのはずだったこの山もまた、そんな絆が感じられる思い出深い一山となった。(2015.3.15)

sakag氏の山行記へ

参考コースタイム】 「北海道南畜産事業共同組合」前 P 8:30 → 森川山頂上 10:35、〃 発 10:55 → 森川山南峰頂上 11:40 →「北海道南畜産事業共同組合」前 P 13:40  (登山時間 森川山まで2時間5分、森川山〜南峰 45分、南峰からの下り 2時間)

メンバー】sakagさん、Wajiさん、よもぎさん、Ikkoさん、saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

 

森川山へと歩を進める (Ikkoさん提供)

森川山南峰への稜線から望む駒ケ岳 (Ikkoさん提供) 

稜線上から望む森町の市街 (Ikkoさん提供)

森川山南峰 (Ikkoさん提供)

山行を終えて

 

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