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   藻岩(531m)

南22条橋付近から望む藻岩山

1/25000地形図「札 幌」

スタート地点は自宅

北の沢3丁目の住宅街から頂上へと向う

リフト下は格好のお散歩コース
パーキングエリアにてサブローを遊ばせる

我が家の愛犬・サブローのお散歩コースとなっている藻岩山は札幌の顔である。札幌っ子であれば、夏の登山遠足・冬の市民スキー場と思い出の詰まった山といえる。最近の健康ブームで、四季を通じてこの山へ詣でる登山者が急増したとのこと。中には日に何度も登っている登山者もいるようだ。ルートは慈啓会コース、小林峠コース、旭山コース、市民スキー場コース、北の沢コースと5つあり、そのうち慈啓会コースがこの山のメインルートとなっている。観光施設の全面改修工事で、来年はほぼ1年間にわたっていろいろと規制されるとのこと。

仕事が半休となったこの日、いつものように愛犬を連れて自宅を出る。北の沢3丁目の住宅街を上がって行くと市民スキー場の南斜面へと続く樹林帯の踏跡となる。リフトと観光道路との交差地点でスキー場に出るが、そのまま道路を渡ってリフト沿いの小道を登って行く。リフト終点で再び観光道路に出て、いつもであればここで終了となる。しかし、今日は通行車両がないようなので頂上を目指すことにする。藻岩山頂上を目指す場合、ロープウエイの藻岩山中腹駅までは観光道路を歩かなければならず、ここは自動車専用道路なので本当はまずい。この日はシーズンオフなのか一般車両は全く見当たらない。であればと、中腹駅めざしてこそっと道路沿いを歩いてみることにする。何台か車が上がってくるがどれも工事用車両である。中には今はあまり札幌の街では見られなくなったバキュームカーまでが上がってくるので何だろうと思った。南斜面やAコース、兎平と中腹駅までが意外と長い。

中腹駅付近でやっと歩道へと逃げ込む。見るとかなり大規模に工事をしている様子。付近には昔なつかしの汲み取りの臭いが立ちこめている。中腹駅の溜め込み便所の取り壊し前に、中身を空っぽにしているようだ。私とサブローは場違いであるにも関わらず、彼らの前を平気で通過してもだれもなんとも言わない。とは言え、できれば観光道路の通過は避けたいところ。リフト下の歩道から頂上を目指そうと上を見上げるが、頂上付近でパワーシャベルが唸っている。頂上への途中からルートを逸れることも考えるが、やはり歩きやすい観光道路を選んだ方が得策といえる。結局、観光道路へと戻り、サブローをパーキングエリアで遊ばせながら頂上へと向う。

頂上方面から作業員を乗せたマイクロバスが走ってきて来て目の前で停まる。現場監督風の年配の男が降りて来て「ここは入れないんだよね…」。どうすればよいのかと問いかけたところ、とにかくすぐに道路から出るようにとのこと。進んでもダメ、戻ってもダメ、それじゃあ藪に入ればいいんでしょ…と言ったところ。それに頷いてバスは去っていった。いったい何なんだ?もちろんそのまま観光道路を登り続けたことは言うまでもない。

観光シーズンには東洋人観光客で賑わった頂上の展望施設も今は祭りの後の様相で、パワーシャベルのみが黙々と作業を続けている。人があふれ返っていた展望台の通路も霧雨のためか寒々とした感じに見える。まずは三角点詣でである。夏にはカップルが語らいあっていたであろうロマンチックなレストラン、夜景が見える展望窓のすぐ下に三等三角点「藻岩山」は鎮座していた。四方がコンクリート詰めになっていて、息苦しくて悲鳴をあげているようにも見える。我々が日常的に目にしている三角点の天敵は自然環境そのものであるが、ここの厳重さはそれにも勝る人災によるものと言えるだろう。

ガスのかかった藻岩山頂上

頂上で黙々と働くパワーシャベル 息苦しそうな三等三角点

裏コースの森林帯は荒れた感じ

下りは余計な気遣いは勘弁と、少々遠回りではあるが北の沢コースを下る。途中までは慈啓会コースと重複していることもあり、けっこうな泥道で白黒ブチのサブローは泥だらけ、さすがに人の絶えないメインルートである。午後4時に近くなり薄暗くなってきたがさらに中高年登山者は点々と上がってくる。この分だと彼らの下りは間違いなく闇の中となるだろう。ヘッドランプは持参しているのだろうか?つい余計な心配をしてしまうが、彼らはこの山に特化する“藻岩山おたく”いらぬ心配は無用といったところだ。

北の沢コース分岐からは静かな遊歩道が戻ってくる。あまり登山者が通らないのか、遊歩道自体はまったく荒れていない。ただし、やはり裏通りなのか天然林に指定されている表側とは打って変わり、森林は荒れた感じである。何年か前の台風18号によるものと思われるが、自然の豊かさが売りの藻岩山としては看板倒れの感がある。私としてはやはり山全体を豊かな森林帯で覆う方にお金を使ってほしかった。観光設備の充実もよいが、190万都市の市街地に囲まれた自然豊かな藻岩山、これこそが他都市には見られぬ札幌の素晴らしさだと思う。エコが叫ばれる時代となって、今や価値観はかなり変化している。もう一歩発想の転換が望まれるところだ。我が家から約2km離れた地点でサプローのいつものお散歩コースに出る。(2009.11.25)

【参考コースタイム】  自宅(北の沢3丁目) 14:40 藻岩山頂上 15:30 北の沢コース登山口 16:10 帰宅 16:35

 (登り50分、下り1時間5分)

メンバーsaijyo、サブロー

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