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      紋別(865.8m) 

 

NTT無線中継所が林立する紋別岳

 1/25000地形図「支笏湖温泉」

頂上は間近 存在感がある恵庭岳
JRタワーを中心に札幌のビル群も(望遠使用)

入るな!と言われても、ここを踏まなければならない

目立たぬがなかなかの名峰・丹鳴岳(望遠使用) 眼下に広がる支笏湖と風不死岳
一見、アパートの駐車場かと思われる登山口
舗装もされている業務用道路をてくてくと・・
管理道には高いフェンスが設置されている
陽光に輝く太平洋

  今年の冬は地球温暖化の影響もあってか、札幌の町にもなかなか積雪が残らないようである。雪山シーズンの到来を心待ちにしている我々としては、何とも中途半端な日々といえる。こんな時の山選びは難しい。であればと、チロロ3(旧姓naga)さんの術後のリハビリも兼ねて、いつもであれば滅多に訪れることのない支笏湖の紋別岳に登ることにする。この山の頂上にはNTTの無線中継所が設置され、管理維持のための舗装道路が頂上まで続いており、登山というにはいささかもの足りない。ただし、道路や建造物を無視して考えれば、位置している条件は素晴らしく、とにかく冬場も体を動かしていたい御仁には格好のトレーニングの場となる山である。ちなみに、道内に多い「もんべつ」の名であるが、アイヌ語「モベツ」で「静かな川」「小さな川」とのこと。

 登山口には駐車場もあり、至れり尽くせりといった感じであるが、すぐ横にはアパートもあり、一瞬そのアパートの駐車場かと勘違いしそうである。この道路の入口には「この道路はNTTの専用道路です。関係者以外の人及び車両の通行を禁止します。なお、通行の必要のある方又は異常の発見した場合は下記へ連絡して下さい。」とある。この文面から読み取れることは「入るのはすべて自己責任であるが、もし、異常を発見した時には情報提供は宜しく…」ということ。勝手に入って行って何かが起こった場合、道路などの管理責任を主張する輩がいる以上、最終的には何処もこんな結論におさまるのであろう。致し方ないところである。

  ゲートを潜り抜けると、管理道は急激に標高を上げる。それでも登山道とは違って、車の走行を前提としていることもあり、出来るだけ傾斜がないよう、尾根を大きく回り込みながら頂上に聳え建つ無線中継所へと標高を上げて行く。途中、防風・防雪柵が張り巡らされ、せっかくの視界を邪魔しているが、そもそもが登山道ではないので仕方がない。柵の隙間から覗く眺望は素晴らしい。真っ青な支笏湖が眼下に広がり、その向こうには風不死岳の険しい山容やそれとは好対照な樽前山、さらにその向こうには太平洋が日に輝きながら大きく広がっている。道路の方向が変わり、南側から尾根を回り込むと恵庭岳を始めとする西側の山々が顔を出す。さらに回り込むと、遠くに札幌中心部のビル群も見えてくる。仮に観光目的のスカイラインを作ったとして、その利用者はかなりの数にのぼるであろうが、貴重な自然を残すという観点で考えれば、現在の道路自体も無用の長物といえる。無雪期にこの山を訪れたことはないが、一帯は鳥獣保護区・特別保護地区にもなっているようで、かなり自然が豊富な山のようである。

 さらに回り込んで行くと頂上の鉄塔群が間近となる。中継所へ向って送電線が延びており、その下が刈り分けられていて、多くの登山者が通過しているようである。我々もそこを登ってみるが、唯一登山らしい立体感のある雰囲気を味わうことが出来る場面である。頂上・無線中継所の一角に三角点は埋められている。残念なことに建物の敷地内で立入り禁止となっているが、これもあくまで建て前といった感じで、だれもが見つけやすいよう頂上名の入ったプレートまで立てられている。

  我々の下山時、多くの登山者が登って来る。丁度、何時の頃からか盛んに登られるようになった冬場の札幌・藻岩山や室蘭岳のように、スノーハイキングといった感じの軽い登山である。健康ブームと言われる現代にあっては、敷居の高かった積雪期の山も身近な山については広く一般に開放された格好だ。そんな意味ではこの紋別岳、今後は、ますます冬場の貴重な一山となって行くことだろう。(2008.12.14)

【参考コースタイム】登山口 8:20 紋別岳頂上 10:20、〃発 11:20 登山口 12:30 (登り 2時間、下り 1時間10分)

メンバーキンチャヤマイグチさん、saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)  

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